2009年12月24日木曜日

Cheque, please.

ついに新型インフルエンザに罹ってダウンしてしまった.インフルエンザの流行とは関係なしに普段から手洗いうがいをかなり入念にやる方なのだが,疲れで免疫力が落ちていたのか,はたまた最近やたら電車が混んでいたせいか,原因は不明だが年内の仕事納め直前で困ったものである.講義も3コマ休講しなければならず,発表の予定だった学生の皆さんにも申し訳ない.現在はほぼ回復したが,医者には明日まで外出するなと言われている.酒を飲まずにクリスマスを過ごすのも,成人してから初めてである.

ちなみに病院でリレンザという薬を処方されたが,飲み薬ではなく吸引剤なのでいまいちちゃんと飲めているのか(吸えているのか)自信がない.パイプのようなものを口でくわえて,粉を食道ではなく気管の方へ一気に吸い込むように言われたのだが,微量な粉だしどっちに行ったかどうやって確かめればいいのだろう….

閑話休題.イギリスで2018年までに小切手の廃止が検討されているそうな.イギリスでは銀行口座を作ると小切手帳というのをくれる.30枚くらいの小切手が一綴になった冊子で,それをペリペリ破って,金額を書いて(数字だけでなく英語でも書く),サインをして,必要なら裏書して使うわけである.お年寄りなんかがスーパーのレジで小切手に金額を印字してもらって,さらさらサインをして買い物するのもたまにではあるが見かけることがある(少なくとも数年前までは).私は買い物ではさすがに使わなかったが,電話料金や学会費を払うのに郵便で小切手を送ったりしていた.逆に,小切手を貰うことも結構あって,イギリス言語学会で発表したときは,会計係の人が学生向けの旅費の補助をさらさらと小切手に書いて「はい,どうぞ」と手渡してくれた.それを自分の取引銀行の窓口に持っていって,現金化したり自分の口座に入金してもらったりするわけである.なんとなく趣があって好きだったので,廃止されるのは残念である.デビットカードやダイレクトデビットが圧倒的に多いから,仕方ないのだろうけど.

2009年12月15日火曜日

フィッシュアンドチップス

体感ではそれほど寒いと感じないが,寒波がきているとかで週間天気予報にもマイナス表示が出てきた.そろそろダウンジャケットの時期なのかな.でも通勤電車はガンガン暖房効かせている上に混雑しているから,暑いんだよな.

先週土曜日は予告通り鍋をたらふく食べ,筑前煮を大量につくり野菜不足を解消し,丸太のように眠っていた.日曜日は奥さんを上野まで見送りにいったときに,入谷改札すぐ外のアイリッシュパブでギネスを飲んだ(写真でちょっと量が少ないのは1口飲んだ後だから).ギネスはもちろん美味しかったし,雰囲気も中々出ているのだが,ちゃんとしたフィッシュアンドチップスを出して欲しい.私は色々なアイリッシュパブで飲んでいるけれど,ビールにはこだわっていても,フィッシュアンドチップスがその辺のスーパーの冷凍白身魚フライみたいなのが結構あってがっかりすることが多い(ちなみに私が経験した中で美味しいと思うフィッシュアンドチップスを出すパブは大阪淀屋橋のロイヤルハット.雰囲気もとても良く,カウンターで飲みながらゆっくり本も読める).

大学の方は,そろそろ来年度のシラバスなどを書かなければならない.来年度は前期,後期ともに英語5コマ+言語学2コマである.英語は今年の反省を踏まえ結構いじらないといけない.言語学の方は学部向けに形態論の演習と形態統語論の講義,全学向けに統語論入門,言語類型論の講義である.こちらは統語論入門の中身をまだちょっと考え中である.今日言語学の講義で少し統語論的な概念を導入したけれど,統語論は類型論や形態論と違って「目に見えない」現象が多く,難しく感じるようなので,専門外の学部生に教えるときは注意しないといけない.その目に見えないのが面白いところでもあるのは確かなのだが.

2009年12月11日金曜日

博論

雨である.自宅から駅に行くのに通る青梅街道の歩道はおそろしく狭く,傘をさして歩いていると電柱の箇所でいちいち斜めにしないと通れなくてひじょうに不愉快である.そんな歩道を自転車が傘をさしながら爆走してくると軽く殺意を覚える(いつになったらこの日本のとんでもない自転車のマナーは改善されるんだろうか).

今朝は奥さんが朝6時過ぎの新幹線に乗って,阪大まで博士論文を提出しに行った.大学と違って融通の効かない勤務形態の中,ここ何週間ほとんどまともに寝ないで追い込んで書いていたので,いつか倒れまいか心配していたのだが,なんとかなったようで一安心である.身内ながら実によく頑張ったと心から褒めてあげたい.

私もちょうど4年ほど前にイギリスで博士論文を提出したが,そのときの達成感というのは今でもはっきりと覚えている.なんせ夜型の人間なので,提出前数カ月はほぼ毎日深夜3, 4時くらいまで大学院生の研究室で執筆して,自転車に乗って自宅に帰ってシャワーを浴びて,適当なものを食べて,数時間仮眠をとって,また研究室に戻って,という繰り返しであった.最終的な仕上げが終わったのは,実に清々しい朝であった.大学はWivenhoe Parkという公園の中にあったので,徹夜明けだったが,コーヒーを手に研究室のすぐに横にある湖に行き,カモや白鳥やアヒルを晴れ晴れとした気分で眺めながら,ひとりニヤニヤしていた.

研究というのは終わりとか完成というものは通常存在しないので,研究者は(少なくとも私は)普段達成感というものを得ることはほとんどない.論文を書き終えても,科研などのプロジェクトが終了しても,特に感慨もなく次の段階の研究にさっさと進むだけである.新たな研究課題が出てくることが,すなわち当該研究が意義あるものである証なのだから.しかし博士論文は特別である.長く時に苦しい大学院生活(「入院」生活)を終了し,指導教官から離れ,研究者としての独り立ちするという,人生の経験がそこには絡んでくる.人生におけるある種の分水嶺を越えるわけだから,やはり達成感と呼ぶべき感情が生まれるのだろう.

うちの奥さんがそんな感情を抱いているかどうか不明だが,まあ帰ってきたら鍋でもつついて久々にのんびり家でも食事をしたいところである.なんせここ数カ月,まともに夫婦で食事もしていないのだ.と思ったら,この前関西人の心の友「旭ポンズ」を使いきってしまったのを思い出した.あれがないと「鍋」って感じがしない.東京でどこか売ってないのかなぁ,旭ポンズ.

2009年12月6日日曜日

国研シンポジウム

今日は気持ちの良い快晴.最近忙しくてろくに掃除もしていなかったので,布団と洗濯物を干して,大掃除をする.ただ微妙に体調が優れなかったのが悪化してしまったような気もする.今頃無理したダメージがきているのだろうか.

昨日土曜日は国立国語研究所のシンポジウムがあったので,ふらっと参加してきた.朝日新聞が後援ということもあって,会場は西武百貨店,阪急百貨店,トーホーシネマズ,松竹ピカデリーが入っている有楽町マリオン11階の朝日ホール.言語系の学術会議ではあまりない中々豪勢な雰囲気であった.

国立国語研究所は,Google検索だとまだ旧体制のページがトップに出てくるが,10月1日から大学共同利用機関法人 人間文化研究機構の一部となり,影山先生が所長になって大分印象が変わった(ウェブサイトはこちら).今回は新体制になって初めてのシンポで「ウチから見た日本語,ソトから見た日本語」というテーマで4つの講演があった.どうも一般向けの内容を狙っていたようで,参加者も学者というよりは一般のお年寄りが多かったような....朝日新聞後援だから新聞広告でも見て興味を持った人が,有楽町,銀座で買い物ついでにというノリで参加していたのかもしれない.

ということで,方言(阪大の工藤真由美さん),幼児言語獲得(バーミンガム大の喜多荘太郎さん),類型論(元東大,現国研の角田太作さん)の言語学系の話は,ほぼ知ってることばかりではあった.ただもう1人の劇作家で阪大教授の平田オリザさんの話は大変面白かった(コミュニケーションデザインセンターという中々面白いセンターに所属していらっしゃるそうな).劇作家らしい鋭い言語への考察と実に幅広い知見が感じられ,語用論,談話分析,社会言語学などを専門にしている若手研究者にとっては結構有益だったのではないだろうか.私は専門には直接関係ないが,語学の授業で活かせそうなヒントをいただいた.

帰りに会場を出ると,寒々と雨が降っていた.そのまま帰宅するのもなんなので,研究室に寄ったのだが,結局いつものように夜10時過ぎまで細々としたことをしていて,なんだか体調を微妙に崩してしまった(で,初めにつながる).

2009年12月3日木曜日

お歳暮

太平洋側は冬も天気が良くていいなぁと思っていたら,今日は一日雨.そういえば私と奥さんの恩師にお歳暮をまだ手配していなかったことを思い出し,いつもよりはやく切り上げて,帰りに池袋西武に行ってきた.東口が西武,西口が東武の池袋である.

時期的なこともあってお歳暮コーナーは7階の大催場にあったのだが,8時過ぎという時間のせいなのか不況のせいなのか閑散としていた(デパ地下は結構賑わっていたのだが).一応こんなところも見ていったのだが,あまり参考にならず,結局奥さんに電話で聞いたり,店員さんに相談したりして,まあこんなところかなぁという感じで手続きをしておいた.中々難しいなぁ,贈り物というのは.

帰宅すると,昨日出した論文がPDFなので困るというメールが.やはり・・・.取りあえず出版社にどういうファイルなら大丈夫なのかメールを送って返事待ちだが,どうせtexはだめだろうから,現在latex2rtfで変換したリッチテキストをワード形式にして編集中.latex2rtfは以前よりかなり変換できる部分が多くなって楽ではあるけど,例文と図表が全滅なので,その部分を全部書き直し.はぁ・・・.M$ Officeって名前の通りオフィス用のはずなのに,なんでアカデミックな分野までそんなのが標準になるんだろう.事務書類はまだしも,論文作成に最適化されてるとはとても思えないんだけど.

2009年12月2日水曜日

師走

気付けばもう師走.11月は毎日やることが細々あったり,週末がほぼすべてつぶれたりで,なんだか目が回りそうだった.何しろ時間がないのでブログの更新も滞ってしまった.先週末の神戸大の日本言語学会は,イギリス時代の同僚と3年ぶりくらいに会えるかと思ったが,とても行く余裕がなかったのでパスした.残念だが,仕事がつまっていたのでしょうがない.

そんな中,以前学部の紀要に論文を書くと言ってしまったので,細々とした時間でせっせと書き,一昨日,昨日と徹夜して,なんとか間に合った.とりあえず,ほっと一息である.一応,最近Blevins & Blevins (2009)の中で提案されているようなanalogical proportionとBybee流のネットワークレキシコンを絡めた枠組みを提案してみようと,ぽろぽろ考えていることがあったのだが,まだ詳細がつめきれていなかったので,試論という感じで紀要に書いてみて,結果的にはよかったかもしれない.今後コーパスも使って,少し拡張してみたいところである.

ただ例によってLaTeXで書いたので,生成したPDFを提出したのだが,少し心配ではある.日本はジャーナルなんかでもM$ Word形式を求められることが多いが(とても苦労する),実際のところ学術関係の出版社や印刷所はどういう組版をしているのだろうか.InDesignとかQuarkXpressを使うのだろうか.これらのDTPソフトを使わないので,よく分からないのだが,PDFからテキストや図表を抽出して組版するのと,ワープロのファイルから取るのとでは手間が違うのだろうか.本当は,欧米のCUP, CSLI, John BenjaminsみたいにLaTeXでそのまま入稿できると楽なのだが,やはり理工系以外では難しいのかな.とにかくWordは勘弁して欲しいなぁ.あれで論文書くのは,能率が悪すぎる.

とりあえず少し余裕ができたので,この間大学生協で買って放置していた森博嗣氏の『自由をつくる自在に生きる』を帰りの電車で読んだ.正直に言うと,同じ集英社新書から出ている前の2冊の方が面白かったかな.↑で色々書いたものの,結局のところ私はかなり自由な生き方をしてきているので,当たり前と思ってしまった感が強い.今晩は同じく大学生協で買った村上春樹の『めくらやなぎと眠る女』を読みたいと思う.実は洋書ですでに読んでいるのだが,全集にしか入っていなかった短編もあるので,日本語で読むのが楽しみである.つかの間の休息といったところか.

2009年11月24日火曜日

意見表明

世間は昨日まで3連休だったそうだが,私は休みもなくせっせとやるべき業務をこなしていた.そもそも月曜日の勤労感謝の日は大学は通常業務.我々の勤労は感謝されていないと言うことか・・・.まあ,そもそも普段から土日祝日も何かしらの形で仕事をしているので別にいいのだが,時間的・場所的制約がかかる業務が週末にあると,我が家のような別の場所で暮らして,それぞれ働いている夫婦は週末に会うことができないので,結構つらいものがある.最後に会ったのはいつだったかなぁ.

さて,もう終わったことだし,事業仕分けによる科研費若手の減額についてはあきらめていたのだが,日本認知科学会の会長から内閣府と文科省に意見を書くことができるので是非行動を,とMLに投稿があったので,両方に削減撤回を要求しておいた.仕分けのプロセスがあまりに茶番だったのと,その後の報告が無知を露呈していたので,少し指摘せずにはいられなかったのである.旧七帝大と早慶の9大学の学長・総長も提言を行ったようである.内閣府の方はもう締め切られたが,文部科学省への意見はまだ受け付けているようなので,研究者の皆さんは送ってみてはいかがだろうか.

日本は政府による研究補助,教育投資は主要国の中で最低である,という事実はひょっとしてあまり知られていないのかもしれない.それを知った上で高速道路を無料で走ったり,子供手当をもらうために,科学・教育への投資をさらに減らせと国民が考えているのならしょうがないとは思うけど,本当にそうなのかね.このままずるずると日本の研究は衰退していくんだろうか.

2009年11月19日木曜日

シンボリックリンク

天気予報によると今日はひじょうに寒かったとのことだが,そうだろうか.東京って,あまり底冷えしないというか,しんしんと体の中心から冷えてくらくらするような寒さを感じない.ここ数年雪国に住んでいたから,相対評価でそう感じるだけかもしれないが,気温が同じでも京都とか北陸と寒さの質感が違う気がする.湿度とか日照時間とか風とか複合的な要因でそう思うんだろうか.あるいは,単に断熱や空調に優れた場所が多かったり,人が多かったりするだけかもしれない.

閑話休題.またLaTeX絡みのメモ.私は研究室ではiMac,自宅ではアルミMacBook(今で言うPro)を使っているが,追加したスタイルファイルや文献データベースのbibファイルは,それぞれホームディレクトリ直下にtexmfを作って,そこに放り込んでいる.なので,一方のコンピュータでスタイルファイルを追加したり,文献をデータベースに追加すると,もう一方のコンピュータにコピーしなければならない.これが面倒である.コピーし忘れて,コンパイルでエラーが出たり,文献が見つからないとTeXに怒られたりすることも多い.

そこでDropboxにホームディレクトリ直下のtexmfからシンボリックリンクを貼ると,勝手に同期してくれるのではないか,と思い試してみた.予想は当たり見事にちゃんと同期してくれる(当たり前なのかもしれないが).やり方は,通常のUnixのシンボリックリンク貼り方に従ってターミナルでln -s ~/texmf ~/Dropbox/texmfと打つだけである.実にありがたい.ますますDropboxにぞっこんである.

2009年11月17日火曜日

日本英語学会09

先週末は英語学会.開催地は母校の大阪大学である(学部しか行ってないけど).前回阪大を訪れたのは,千里阪急ホテルで結婚式を挙げた翌日に車で寄ったときだったと思う(奥さんが研究室に本を返しに行ったんだったかな).その後,箕面で猿を見ながら山道をドライブして,山の上にある神社でうどんを食べて,自宅に戻った.新婚旅行というものに行っていないので,今思えばあれが新婚旅行だったのかもしれない,と今でも夫婦間のネタになっている次第である.

話が大きく逸れたが,石橋方面から阪大坂を歩いて登ったのは,多分卒業してから初めてということが言いたかったのだ.まさか坂が全面石畳になって,池が埋め立てられ,さびれた旧看護学科跡地(だったかな)になんか博物館のようなものが建っているとは・・・.随分な変わり様である.ネコがうろうろしているところは変わっておらず,安心したが(狩りをして捕らえた鳩を自慢げにくわえて歩いている黒ネコがいた).

学会の開催場所だった共通講義棟というのは,私が学生だった頃はA棟しかなかったのだが,廃屋のようだったロ号館(名前がいかにも昭和である)がつぶされてB棟とC棟とかいうのが建っていた(イ号館は確か文化財なので健在だった).ただそこは国立らしく,新しく建ててもろくにメンテや掃除をしないので,すでにどことなく寂れていた.最初に発表を聞きに行った教室なんて,小学校みたいな机と椅子で,なんだこれはと思ったら椅子の後ろに「ロ号館」と書いてあって爆笑してしまった.ひょっとしたら12年前私がドイツ語の講義で熟睡していた机と椅子かもしれない.

専門分野のずれもあって,それほど個人的に心躍る発表はなかったが,日本英語学会は日本に知り合いの少ない私でも比較的面識のある人がいるので,中々参加していて楽しい学会だった.学会運営に関しては,色々疑問に思う点もあるけれど,多分同じようなことを私に近い年代の人たちは思っているだろうし,これは時間でしか解決できないだろう.あと10年くらいすると,かなり変わるかもしれない.

それにしても私は言語学者だから疑問に思うのかもしれないけど,日本英語学会にとっての「英語学」ってなんなんだろう.多くの発表が英語以外の言語についての研究だったと思うのだけど.実質は日本「英語学及び理論言語学」会と解釈すべきなのだろうか.こんなことを考えながら,新幹線に乗って東京に戻ってきた.

最近は色々やることがあって,学会前の金曜日も学会後の日曜日もほとんど寝ることができず,これから年末までも大体週末まで予定が入っていて慌ただしい.寒くなってきたし,取りあえず体調を崩さないようにしないといけないなぁ.

2009年11月10日火曜日

Beamer覚え書き その2

本当はウェブサイトの方を更新する方がいいのだが,面倒なので取りあえずここにまたLaTeX Beamerの覚え書きをしておく.

講義や学会発表でPDFでスライドを作った際,配付資料をどうするかという問題がある.言語学はデータが多いので,スライドだけというのはかなりきつい(特に言語類型論の講義なんかでこれをすると学生に不評になること間違いなしだ).ただ,個人的にパワーポイントのスライドをそのまま1ページに6-9枚くらい印刷したようなハンドアウトは嫌いである.小さくて見にくいし,順番が分かりにくいし,参考文献が載ってなかったりするのも多く,最悪だ.ちゃんとしたハンドアウトが作りたい.Beamerの場合,かなり簡単にこれが実現できるので,忘れないうちにそのメモ.
  • プリアンブルの\documentclass[...]{beamer}を\documentclass[...]{article}に変える.
  • このままだとBeamer特有のコマンドでエラーが出るので,\usepackage{beamerarticle}と書いてbeamerarticle.styを読み込む.
  • オーバーレイでカウンターをリセットする\resetcounteronoverlays{...}のコマンドを使っている場合,消すかコメントアウトしておく.
  • \titlepageを\maketitleに変えて,スライドのタイトルページを普通のタイトルにする.
  • 普通ハンドアウトに目次はいらないので,\tableofcontents{}を消すかコメントアウトする.
これでコンパイルすると,ほとんど問題なくごく普通のハンドアウトができあがる.これは便利だ.

2009年11月9日月曜日

事業仕分け

11月は落ち着きそうなんて言っておきながら落ち着くどころか益々慌ただしくなっている.このまま師走を迎え,年明け(=学期末)になり,入試シーズン,年度末という難所をくぐることになるんだろうか・・・.まあ世の中そんなもんだよな.

科研費は出した後は忘れようと書いたのに,ウェブのニュースで関連する話題が目に入ってしまった.政府が打ち出した事業仕分けなるものの文科省のところを見ていたら,ばっちり科研費若手が対象になっている.別に政策上優先順位の高い方にお金を回したいから学術研究予算を削るというのは,日本国民の大多数がそれを選んだわけだから文句を言うつもりはないけれど,こういうのは募集前に発表してくれないかな.先日申請書を提出させたばかりなのに.基盤も対象になるんなら特に問題ないけど,今回は若手全般と基盤Sだけのようだし.万が一若手だけ予算大幅削減になるんなら,基盤A, B, Cに出したのに,という人もいるだろう.これが申請書提出直前に発表された若手Sの応募停止だけに収まるというなら別にいいんだけど,募集段階でどの分野で削減の可能性があるかだけでも事前に説明をしないのはなぜなんだろうねぇ.現総理は大学教員出身のはずだけど.あと学振の特別研究員は削るのはやめた方がいいんじゃあ.オーバードクターが増えて博士が100にんいるむら現象が加速したら,ちょっとただ事じゃすまなくなるのでは.

閑話休題.先日通勤用の鞄を新しいものに替えた.前のやつ(写真右)は4年近くも使っていて,型くずれも激しく,くたくたになっていたので,何かいいものはないかと物色していたのだ.条件は1) B4が折らずに入る,2) 外ポケットに薄い書類やクリアファイルが入る,3) 別の外ポケットに携帯とiPod用の小物入れが2つある,4) 内側に薬とか極小折りたたみ傘とかが入れられるポケットが2, 3個ある,5) 底に鋲が打ってあって地面に躊躇なく置ける,6) カジュアルでもそこそこフォーマルでもいける.これをすべて満たす品は中々見つからなくて,結局前の鞄と同じメーカー(Apiana)になった(写真左).

なんだか前の鞄の革と布の部分をそのまま反転したような感じだが,使い勝手はよく,作りもしっかりしていていい感じ.強いて難点を挙げれば,心なしか前のものより大きいので,電車で膝の上に載せて座ったときなどに,隣の人に干渉しそうで気を遣うくらいか.今後3年くらいは使いたいところである.

2009年10月28日水曜日

早稲田松竹

今日は雑用がまったくない実に平和な一日だった.昼はSUBWAYでローストビーフのサンドウィッチを食べ,夜はスタバで巨大なラテを買って,それを飲みながら早稲田松竹で2本立ての映画を見て帰宅した.

早稲田松竹は所謂名画座で,週替わりで公開の終わった映画を2本立てで上映している映画館とのことである(つい最近知った.ただの古い映画館かと思っていた).雰囲気的には,昔神戸の三宮にあったアサヒシネマみたいな感じである.1,300円で2本見ることができるのだが,連続して見る必要はなくて,学生なんかは朝1本見て,外出許可証をもらって,昼から夕方講義に出て,夜もう1本見て帰る,なんてこともできる良心的な劇場である.家にホームシアターがあるとか(私の親父だ),巨大プラズマテレビがあるとかいうのでなければ,公開終了後の作品でも映画館で見た方が楽しめるのでありがたい.

今週はダニー・ボイルの『トレインスポッティング』と『スラムドッグ・ミリオネア』だった.私はダニー・ボイルのファンで,『トレイン・・・』も何回か見ているが,映画館で見るのは初めてだったので結構新鮮だった.『スラムドッグ・・・』は見たことなかったのだが(天の邪鬼なのでヒットしているときはあまり見ない),これまた実に彼らしく粗雑で繊細,ゆったりはらはら,楽しめる作品だった.今度は『シャロウ・グレイブ』と『普通じゃない』をやってくれないかな.イギリスの反サッチャー映画特集で『ブラス』,『フルモンティ』,『リトルダンサー』とかもやってくれるといいなぁ.

ちなみにイギリスに住んでいるとき,『トレイン・・・』や『フルモンティ』に出ているロバート・カーライルがヒトラーを演じたHitler: The Rise of Evilというドラマを何週かに渡って見て,素晴らしい演技に感動したのを覚えている.調べてみたら,日本でもDVDが売っているようである.ぜひもう一度見てみたい.

2009年10月27日火曜日

Beamerその他覚え書き

本当はウェブサイトのLaTeXのところを更新しなければいけないんだけど,面倒くさいのでとりあえずこっちに覚え書き.私はあまり学会発表ではコンピュータスライドは使わないのだけど,言語学の講義ではBeamerで作ったpdfのスライドを使い,それを大学のポータルに置いておいて学生がダウンロードできるようにしている.長期休暇を挟んだりすると忘れそうな点があるので,ここにメモ.
  1. Beamerは数学環境のフォントまで変えてしまうので見にくい.Math modeのフォントを設定する.プリアンブルに\usefonttheme[onlymath]{serif}
  2. 1枚のスライドをoverlayしていくと,同じ例文なのに例文番号が増えていく.カウンターをリセットして増えないようにする.gb4e.styではプリアンブルに\resetcounteronoverlays{exx}
  3. 日本語を使っているとpdfのしおりが文字化けする.この文字コード問題を解決する.
  • ココからconvert-euc.txtというperlスクリプトをいただいてきて(必要ならば拡張子を.plに変える),texファイルと同じディレクトリに入れる.
  • MacはEUCではなくSJISなので,convert-euc.txtの中のmy $sjis = 0を#でコメントアウトし(#my $sjis = 0とする),代わりに次の行の#my $sjis =1の#を取って,保存.
  • dvipsを走らせるときに,dvips -f hoge.dvi | perl ./convert-euc.pl > hoge.psのようにperlスクリプトを適用する.
  • あとはいつも通り,ps2pdfでpdfを生成すると,しおりが文字化けしていないBeamerのスライドができる.
あとデフォルトでは入っていないpsutilsのpsnupもハンドアウトを2upにして配るときに便利なので,入れておく.
  • CTANのココに行って最新版のpsutilsを入手し,解凍する.
  • MacはUnixなので,解凍したフォルダのMakefile.unixの拡張子を取る(Makefileにする).
  • Makefileを開き,perlの場所の変更.PERL = /usr/local/bin/perlからPERL = /usr/bin/perlにする.
  • ターミナルでsudo make install
  • これでインストールされるので,あとはターミナルでpsnup -2 hoge.ps hoge2up.psなどして,2upのpsファイルを作る.
さらについでにlatex2rtfの入れておく.誰かと書類をシェアするときは,どうせM$ Wordのファイルを要求されるので,多少ずれたりはしてもtexからリッチテキストに変換できると,大分楽だからである.
  • Sourceforgeのココから最新版を入手して,解凍する.
  • ターミナルでsudo make install
  • これでインストールされるので,ターミナルでlatex2rtf hoge.texとするとリッチテキストファイルが生成される.最近のバージョンだと,bibliographyもチェックしてくれたり,数式をImage Magicで画像に変換したりもしてくれるようである.

2009年10月25日日曜日

モルツグラス

今週末は奥さんのいる茨城県ひたちなかの別宅へ.茨城県人というのは,どうも肉が好きなようで,飲食店を見ていると常陸牛だのローズポークだの,やたら肉料理が多い.土曜日外で食べたときは,ハンバーグ,牛コロッケ,牛焼き肉が出てきて,さすがに三十路越えの夫婦にはきつかった.海に近いんだから,肉だけじゃなくてもう少し良い魚を食わせる店があってもいいと思うんだが.那珂湊の方はアンコウが有名らしいので,これからの季節は期待できるのかもしれない.フグは結構食べたことはあるんだが(母親が下関出身というのもあるし,阪大の恩師にも夫婦揃ってごちそうになったことがある),アンコウは馴染みがないので,是非食べてみたい.

今日は車で東京に戻ってくるとき,外環道の川口当たりで事故があって大渋滞とのことで,千葉の流山で常磐道を降りて地道を50km程度走ることにしたのだが,こちらも大混雑で酷い目にあった.埼玉の主要国道が日曜日の夜,あんなに混雑してるとは思わなかった.東京の練馬に入ってからは,ものすごく空いていたのに.結局いつもなら1時間半から2時間で帰ってこられるところを3時間以上かかってしまった.まああのまま高速に乗っていても,多分酷い目にあったとは思うのだが.あの辺は車で走ってないから知らないだけで,ひょっとしたら抜け道があるのかなぁ.

ぐったりして帰ってきたのだが,先日このブログにも書いたプレミアムモルツの職人クリスタルペアグラスが届いていたので,早速使ってみた.プレミアムモルツはなかったので,Grolschをついでみたけれど,中々質感の良いグラスである.持ったときのバランスも良いし,音もクリスタルらしい響きがする.サイズもちょうど1缶で,使い勝手もよい.これから愛用しよう.

2009年10月22日木曜日

臨時休業

昨日は早稲田の創立記念日,今日は臨時の休業日(講義回数調整のため?)で2連休.と言っても,昨日は午前中打ち合わせがあったので,むしろ普段より早起きして,大学へ.3時間弱の打ち合わせの後,皆さんと大学横(内?)のリーガロイヤルホテルで昼食(というとセレブな感じだが,ランチバイキングなので,まあ「そこそこ普通」の値段).

今日は寝不足解消ということで11時まで寝てやった.数時間奥さんの論文のプルーフリーディング(辞書で「校正」って日本語訳になってるけど,proof readingと校正は違う気が・・・)をして,車で某酒屋兼輸入食材店へ.Jameson,箱の豪州赤ワイン2リットル,たまたまあったGrolschビール1パック,ヱビスホップ1パック,イタリアのパスタ・トマト缶・オリーブオイルなどを買い込む.最近冷蔵庫も大型化しているし,オーストラリアの箱ワインはもっと普及してもいいと思うんだけど,中々普通のスーパーあたりだと出回らないのが残念.Grolschは日本で安く売ってるのを初めて見た.イギリスにいるときは,Stella Artoisと同じくよく買っていたけど,もう3年以上も飲んでいないので,味を忘れた.楽しみである.

帰宅後,母親から先月に引き続き自治会報をパソコンで作って欲しいと電話がある.私の両親はメールやウェブサーフィンはできるのだが,ワープロ関係がほとんどできないのである.自治会長が書いたというルーズリーフの原稿をファックスで受け取り,先月の雛形を元に4ページほどのものを作って,pdfをメールで送る.

振り返ると,私が小学校の時代は配布プリントは全部手書きだった.テストも学級報も.中学・高校も手書きの定期試験の方が多かった記憶がある.私はパソコンこそ手が届かなかったものの,小学生高学年(80年代後半)くらいに当時普及し始めたワープロを使い出したので(最初サンヨーのコレ動画もあった)で,次が「ギザギザ文字じゃありません」のシャープ「書院」だった),手書きで原稿を作ったという経験がほとんどない.今の大学生は物心ついたころには,パソコン・インターネットが普及していただろうから,さらに感覚が違うかもしれない.

「研究の秋」とかいいながら全然研究しなかったなぁ,今日.まあいいか,たまにはこういう日があっても.

2009年10月21日水曜日

研究の秋

Apple怒濤のアップデートか.相変わらず,新しいことやってくるよなぁ.Magic Mouseどうしようかな.別に今のiMacについてるマウスで不満はないんだけど.iMacも4月に研究費で買ったばかりなのに,こんなにパワフルになってしまうとは.なんとなく悲しい.別に現状に不満はないのだけど・・・.

Appleといえば,先日うちの奥さんが新型のiPod touchを買ったのだが(池袋のビックカメラはものすごい人だった),私の旧型と比べるとサクサク度が全然違う.Safariなんて,かなり高速になって,とても快適になっている.こちらも現状に不満はないのだけど・・・.

仕事の方は,取りあえず科研費の申請も終わって,一息.最後のつめが結構大変で,疲労感が大きかった(しかも今日は午後3コマ講義の日で倒れそうだった).3年前は,両面印刷した申請書の端を糊付けして,角を三角に黒く塗りつぶして,とかいう原始的なことをやっていたが,e-Radの電子申請になって随分簡単になったのは,良いことだ.私は,LaTeXで作ったpdfをそのままアップロードしたけど,ワードで作ったファイルも,アップロードする際にpdfに変換されるようだ.

科研費は出してから決定まで半年もあるので,出した後は気にせず出来る研究をコツコツやっておくのが精神衛生上良い.取りあえず,バタバタしがちな10月中盤を越えたので,これから少しは落ち着くだろう.明日は大学の創立記念日で休み(午前中打ち合わせが入っているけれど).明後日も臨時の休日だそうな.「研究の秋」である.

2009年10月16日金曜日

概算要求

午後に送られてきた研究推進課からのメールで知ったのだけれど,文部科学省の概算要求見直しのプロセスで科研費の若手Sの新規公募を停止することが決定されたとのこと.スラッシュドットなんかにも色々憶測はあるようだけど,なんとも急な話である.

まあ税収も減っていることだし,若手Sは若い研究者向けとはいえ,5年で3,000万円以上から1億円程度の比較的巨額な研究助成だから(よって私の分野には無縁)カットされてもしょうがないのかもしれないけど,このタイミングはちょっとひどいなぁ.来週あたりが申請締切の機関は多いだろうし(私のところは来週火曜),若手S規模のプロジェクトだと,すでに共同研究者同士で話も詰めて,申請書も準備できているのでは.

該当する人々は基盤S(5年で5,000万円以上から2億円程度)か基盤A(3-5年で2,000万円以上5,000万円以下)に鞍替えして申請するのだろうけど,申請額の幅に微妙なずれがあるから,結構面倒な調整をしなければならない人たちもいるんだろうなぁ.若手と基盤では,競争相手も全然違ってくるし.同情します.

まあ私はお金のかからない研究なので,今回は申請するとしても少額の若手Bで,影響はないんだけど(あったりして...).

2009年10月14日水曜日

数理的機能主義

月曜日は祝日だったようだが,大学は講義回数確保のため通常の時間割(ハッピーマンデー意味無し).昨日は午後から3コマ講義,今日は午後と夜に会議.どの日もどことなく慌ただしく,夜中には疲れて研究室で1時間ほどうたた寝するという,なんだか非効率的な日々である.科研費申請の締切も迫っているので,そろそろ採択されるような形にまとめないといけないんだけど,現状では駄目だろうなぁ.バタバタとした生活のつけが回ってきてる感じだ.

これまでずっと自分の研究はかなり数理的なアプローチで進めてきたのだが,最近Bybee のMorphologyを読み直したり,講義準備の関係でCroftのRadical Construction GrammarやVan Valin & LaPollaのRRGベースのSyntax辺りを参照していると,もう少しポジションを言語使用も重視した機能的な方向に傾けた上で,数理的に形式化する方向に持って行ければ,それが理想的にも思える(ここでUsage-basedと言ってしまうと,そっち方面のラベルが貼られてしまう感じもするのが悩ましい).私が専門とするLFGは,本来機能的なアプローチを取り込んだ枠組みであってよいはずなんだけれど,自然言語処理との関係もあって中々保守的な部分も多いので,「うまいこと」数理的に組み込まないと失敗するのがオチというのが悩ましい.形態論は,次回のInternational Morphology Meetingもfrequencyがテーマになっているくらいだから,こっちの方を中心にしばらくやっていった方がいいのかもしれない.私の元指導教官もLFGとは距離を置いて,結局こっちに戻ってきそうな気がするし.

自身の研究の苦悩はさておき,今学期開講している形態統語論と言語類型論の講義は,準備は結構大変だけれど教えるのは楽しい.受講者の皆さんのコメントも中々新鮮なものが多くて面白いし.今週は適用態,与格交替,使役を項構造と絡めながら話したのだが,ちょっと詰め込みすぎたかもしれない.次は2週に渡って格と文法関係の予定なので,能格言語,活格言語,accessibility hierarchy(日本語で何て訳すんだろう?)なんかを含めて,なるべく面白く話せればと思う.

2009年10月8日木曜日

台風メーロー

大型台風のせいでカオスな一日だった.大学は前日から午前中は休講と分かっていたけど,今朝になってJRは動いてないわ私鉄は混雑で乱れるわ,で大混乱.

大学の対応をチェックしようとしても,5万人の学生の威力はすさまじく,ウェブサイトも繋がらない,ポータルネットもダウンで,まったく情報が得られず.結局Twitterで,早稲田関係者のつぶやきを見て情報収集していた(結局早稲田は(も?)全日休講になった).その絡みで,前任校の同僚を2人発見して,フォローできたので,収穫はあったのだが.

こういうときどの電車がどの程度動いていて,どこが混雑しているとかいう情報は,テレビではほとんど得られなくて,Twitterとか某巨大掲示板の方がはるかに役に立った.いまだに意味もなく海岸でレインコート着て,絶叫してるんだもんなぁ.誰がそんな情報求めるてるのやら・・・.

私は通勤に使う西武新宿線は動いていたものの,駅まで歩いて行くのに風で何か飛んできそうなのと,山手線が止まっているせいで高田馬場がすごそうなので,結局午後から出勤した.その頃には空も晴れ渡り,近所でスズメさんたちが楽しそうに水浴びをしていた.自宅付近にいる私と同じ名前のイヌも,小屋のうしろのトタン板が風でバキバキに壊れていたけど,すやすや幸せそうに寝ていた.のどかである.

大学も閑散としていて,生協も弁当,おにぎりなどを半額で叩き売りしていた(ラッキー).とても静かで,夜11時前までのんびりお仕事.なんでも東武東上線は踏切事故のせいで,夜もカオスだったようだけど,私の路線は混乱もなく,スムーズに帰宅.

休講の穴埋めを考えないと.補講しにくいんだよなぁ,今やってる講義の形態だと.

2009年10月1日木曜日

空気人形

10月に入った.巷ではiPhoneアプリのセカイカメラが大流行のようで,AppStoreもダウンロード制限をかけてるとかなんとか.私はカメラが内蔵されていないiPod touchユーザーで,使うことができずちょっと悲しい・・・.画像とか見てると,『サマーウォーズ』のOzの世界を連想させる.楽しそう.

今日は1日,映画の日ということで,新宿バルト9で『空気人形』を見てきた.午後9時半からの回を予約していたのだが,5限の講義が終わった後,研究室のリクライニングチェアーで本を読んでいたら,いつの間にかウトウトしてしまって,気付いたら8時45分だった.危ないところだった.私は研究室では大体iMacでクラシックとジャズ中心のBBC Radio 3を流しているのだが,時差の関係で日本の夕方はイギリスの午前中にあたるため,実にゆったりとした音楽が多く,これがまた眠気を誘うのである(特に講義の後は).本当はプログレでも流すといいのかもしれない.

で,『空気人形』だけれど,特に難しいことを考えずに見ていると,しんみり心に染みてきて楽しめる内容だった.空き瓶と人形のアナロジーなんかは,ペ・ドゥナの演じる人形の透明感ともシンクロしてとても美しかったし.その後,帰宅しながら考えてると,肉体を持たないが心を持った人形と,肉体はあるが心を失った人間との対比は典型的な二元論的なアプローチだけど,引用される詩のくだりとか,人形から抜けていく空気が風となり,心を失った人間と絡まってポジティブなイメージにつながる辺りは,やはり心をフィジカルなものの相互反応として描いてるのかな,とか思ったりもする.しかし,ゴミの描写はよく分からない.肉体・物質は燃えるゴミで,心はそうじゃないって矛盾してるしなぁ.空気をフィジカルなものではなく肉体と乖離した心のメタファーとして考えれば,筋は通るけど,それじゃあ結局二元論的な話になってしまう.やはりよく分からない.暇があったら考えてみよう.

追記:こんなこと考えない方がいいのだろう.美しい映画なのだから.

2009年9月30日水曜日

講義開始

あっという間に9月も終わってしまう.東南アジア,太平洋地域はフィリピンは台風に襲われ,サモアが大地震,その後スマトラで大地震と,なんともことばを失ってしまうような事態だなぁ.「自然って怖いね」くらいしか思いつかない.前のスマトラ沖地震のときのように募金くらいはしたいと思うが,やるせない気分になる.

イギリスに住んでいるときは「この国は本当に自然災害がなくて,うらやましいなぁ」と感じたもんだが(大地震起こらない,台風こない,山火事めったにない,豪雨もまずない,水不足にもならない,大雪降らない,などなど),その代わりちょっと風が吹くと電線が切れたり,気温が30度を超えると鉄道のレールが歪んだり,という事態はよく目にした.人災だよな,あれは.

大学の方は,昨日から私も午後に3コマ講義があったけれど,2ヶ月ぶりに教壇に立ったので,ぐったりしてしまった.導入だから,大したことしてないんだけれど,人前に立って大声で270分しゃべるというのは,それなりに体力を使う.初回の講義というのは,学生側もどことなく緊張していて,講義室内の雰囲気も少しピリっとしているのだが,これから緩い感じにしていきたいところである.

唯一日本語で講義する言語学(形態統語論)は,予想に反して25人も登録者がいて嬉しい限り.ただ5限という時間でもあるし,面白くない講義だと減ってしまいそうなので,興味を持ってもらえるように工夫してやっていかなければならない.1人1人に話してもらったところ,ほとんどが初めて言語学に触れるようではあるが,皆さん考え方や受講姿勢がしっかりしていて,驚くことしきりである.

2009年9月28日月曜日

スカイタワー西東京

今日から秋学期開始.新型インフルなどの懸念要素はあるけれど,キャンパスは学生が戻ってきて,活気がある.もっとも私は月曜日は講義も会議もないので,一日研究室で仕事をしていただけだが.

昨日,万城目学の『プリンセス・トヨトミ』について書いたが,その中に通天閣のネオンの光は気象台と連動していて,翌日の天気によって色が変わるという記述がある.このことは割と大阪人は知っていると思うのだが,そこでふと私の自宅から500メートルほどのところにあるスカイタワー西東京(通称田無タワー)のことが思い浮かんだ.

この辺りは,東京といってもそれほど高層ビルがないので,日本で6番目の高さだというこのタワーは結構目立つのだが,その高さだけでなく,夜はいつも紫やら青やらに光っていてド派手という特徴もある.単に飛行機がぶつからないように光っているのかと思っていたのだが,『プリンセス・・・』を読んでひょっとしてあのネオンも翌日の天気なのでは,と思って調べてみた.当たりである.

さっき11時過ぎに帰宅したときに,玄関前で撮影したら黄緑色に光っていたので,明日は曇りということか.今の時代,天気なんてネットですぐに分かるのだけど,帰宅時に必ず目にはいるので,便利と言えば便利である.

ウィキペディアの日本の塔の一覧を見ると,私は結構色々な塔を見たことがあることに気付く(名古屋テレビ塔は高校時代の同級生と階段で上まで登ったことがある.高所恐怖症なのに・・・).でも,塔の魅力って高さじゃないな.神戸ポートタワーなんて,この表でいくとあまり高くないけど,ハーバーランドというロケーションと,近くにあるホテルオークラやオリエンタルホテルのライティングとの相乗効果で,夜はずっと眺めていたいほどきらびやかである.東寺の五重の塔も,実家から京都駅に向かうときに,国道1号線から九条で曲がると目の前に現れて,そのあまりの存在感と美しさにいつもハッとしたものである.

2009年9月27日日曜日

新学期

随分更新をさぼっていた(過去最長?).予想通りシルバーウィークは,ずぅっと籠もって仕事,最終日の水曜に至っては丸一日会議という有様(翌木曜日も丸一日会議).ちなみに秋分の日はキャンパス内で大学周辺の商店街が主催の「早稲田地球感謝祭」なるものが開催されていて,4万人も入場者があったとか.どおりで会議室にまでガンガン騒音が聞こえてくるはずだ(まあ祭りだからいいのだけど.祝日に会議してる方が悪いわな).焼き秋刀魚,焼き鳥に早稲田地ビールかぁ.飲み食いしたかったなぁ.

そんなかんなで心がすさんできたので,やることは山のように天高く積み上がっていたけれど,ふらっとメトロ早稲田駅横の成文堂書店に入って東野圭吾の『赤い指』の文庫と万城目学の『プリンセス・トヨトミ』を買った.『赤い指』は加賀恭一郎シリーズらしい話で,さらっと楽しく読めた.『プリンセス・・・』は,まだ読んでいる途中.小ネタ的にはホルモーシリーズの方が面白いけど,中々大作っぽくてこういうのも中々良い.しかし,ホルモーもこれも,関西の土地勘がない人は読んでて分かるのかな.私は京都も大阪もホームグラウンドだったので,地名が出るとぱっと情景が浮かんで,すっと世界が入ってくるのだけど.

さて,明日から大学は秋学期開始である.学期前にしてすでに疲弊しきっている感もあるけど,受講者諸君の積極性を期待して,ぼちぼちやっていこう.

P.S.(?) プレミアムモルツでクリスタルグラスが当たるというので,普段のエビスではなく,こちらを買って点数を集めてネットで抽選したら,当たってしまった.届いたらまたアップしよう.今年は結構色々当たるなぁ.ローソンでコレも当たったし(中々良くて活用している),出張先で夜飲むビールを買ったサンクスでコレも当たった(暇だったからホテルの部屋でiPod touchから応募した.こんなのいらなかった).

2009年9月15日火曜日

秋刀魚

もう9月も折り返し地点である.気がつけば,もう半袖では肌寒く,研究室のエアコンも不要になる季節になっている.北海道産の秋刀魚を肴に一杯やるというのがこの季節の小確幸.

先週後半は慶應SFCで日本認知科学会が開催された.私は結局興味のある発表があった初日だけ参加したのだが(SFCって微妙に遠いから,よっぽど聞きたい発表がないとわざわざ毎日通う気にならなかった),招待講演の神戸大の定延さんは「体験」というものの言語における位置づけを,経験的データを元にユーモアを交えながら発表されていて,とても面白かった.今度ご著書を拝読したいと思う.

今週は教授会を始め諸々の会議があったり,書類を作ってNYのとある知り合いに送ったり,科研費の書類をぼちぼち進めたり(大阪大学理学研究科の山中さんが今回も科研費LaTeXの提供を開始して下さった.ありがたい),頼まれていた論文査読をしたり,慌ただしい.再来週には後期も始まるので,巷で言われているシルバーウィークなんて我々には無縁である.企業の人も決算前で忙しいに違いない.

そんな中,大学に届いていたNew Scientistの特集は中々面白い(イギリスからの国際郵便なので少し前の8月29日号ではあるのだが).特集は次元(dimension)についてで,0次元,1次元,1.5次元,2次元,3次元,4次元,5次元,6次元,8次元,10次元とそれぞれについての話が載っている.知覚を超えたものを考えるというのは,自然科学の神髄である.知覚できるものだけを見ていても深い発見は得られないというのは,言語学にも当てはまる.

2009年9月9日水曜日

労働

ここ数日引き籠もり気味である仕事をしなければならなくて,憂鬱だ.「労働」という感じで,能率が上がらないし,やる気がすぐなくなる.こういう時,私は会社勤務なんかには不適合な人間なんだろうなぁ,と改めて思う(子供のときにすでに気付いていたが).

昨日夜中,気分転換に武蔵小金井の方の古本屋に車で行ってきた.割と古い雑誌やら新書が充実しているところで,進化論を特集している『現代思想』の1987年6月号を見つけた.大型の古本屋にしては,新書もちゃんと整理番号順に古いものから並んでいて好感が持てる.

森博嗣氏の『君の夢 僕の思考』もあったので,こちらも購入した.以前本屋でパラパラと見たときは,「なんだフォトエッセイか」とあまり買う気が起きなかったのだが,今回読んでみるとひじょうに良い.簡潔な表現に鋭い視点が凝縮された文章にはいつもながら感心させられる.

今の気持ちにぴったりなものをひとつ.
人間は仕事をするために生きているのではない.仕事をしないために生きている.それが,人間だけの目的,幻想だと思う.「働かざる者食うべからず」は低級で危険な現実だ.

実に的確.なぜ多くの人々(日本人?)は労働を美化したがるのだろう.一種のマゾヒズムだろうか.努力と労働を混同している人もひじょうに多いし.

2009年9月2日水曜日

科研費

ジャワ島は大地震に見舞われ,メキシコはハリケーンに襲われ,ロサンゼルスは山火事の恐怖にさらせれている.何とも不穏なニュースばかり.

昨日科研費について書いたが,大学の研究推進部から今年度の変更点についてメールが来た.学振のウェブサイトにもアップされているので,詳細はコチラを参照.

まず第一に若手研究に受給回数制限が設けられ,最大2回までしか受給できないことになったとのこと.私は年齢的にはまだしばらく若手かと思っていたが,すでに1回通っているので,あと1回しか出せないということになる.若手は39歳まで応募できるが,すでに2回採択された人は,その後は年齢に関係なく基盤に出せ,ということだろう.まあ若手研究の設置趣旨からすると妥当な変更だろう.

二点目として研究計画書に「研究概要」という欄が追加されるらしい.従来の「研究目的」,「研究計画・方法」の量が多少削られているのか,まだ計画書のファイルをチェックしていないので分からないけど,ちょっと手間が増えるかもしれない.

三点目は,以前から知らされていたけれど,電子申請の認証が府省共通研究管理開発システム(e-Rad)に一括されたとのこと.確か今年度初めにe-Radの登録通知が来ていたけど,e-Radのパスワードは知らない(試しに旧科研費システムのを入力したがだめだった).事務の方に聞いてみないといけない.

あと私には関係ないが,「若手(スタートアップ)」が「研究活動スタート支援(仮称)」と名称が変わり,応募資格も変更されるそうな.その他,細目表に変更があったり,重複応募制限を緩和し若手研究の最終年度前年応募が可能になったり,というのがあるらしい.

一つ気がかりなのは,有志の方が作っていたLaTeXで研究計画を作成するパッケージが今年度も利用できるのだろうか.研究計画書のフォーマットが変更されているので,心配だ.ワードで研究計画書を作成するのは地獄なので,利用できるといいんだけど.

2009年9月1日火曜日

科学理論の価値

あれよこれよとしている間に,もう9月である.後期が始まるまではまだ1ヶ月ほどあるが,9月に入ると会議も増え,講義準備もちゃんとしないといけないので,そわそわしてくる(と言いつつ,毎月1日感謝デーの新宿バルトで映画を見てきたが).

何より秋は科研費の申請について考えないといけない.科研費は大学教員になった2006年に初めて申請して,幸い採択されて研究費をいただいた.それが切れた後,昨年は翌春大学を移ることが分かっていたので申請を見送ったのだが,今年は書類作成の時間を確保して申請したいところである.学振が政権交代で今後どういう影響を受けるのか不明だが,首相になる人が元大学教員で経営工学の研究者なので,悪いようにして欲しくないなぁ(あの人は学者のままでいた方が幸せになれたのではないかと思わないでもない).

先日イヌの進化の話を書いたが,今月のScientific Americanは1冊丸々進化論の特集である.今年はダーウィン生誕200周年,『種の起源』出版150周年ということで,1月号も進化論の特集だったが,今回はOrigins of the Universe, Life, the Mind, Computingを中心として,様々な起源の話が載っている(ポッドキャストのmp3はココ).英語が苦手な人は4ヶ月後には翻訳版の『日経サイエンス』が出るはずので,そちらをご覧になるとよいだろう.

Origins of the Mindといえば,進化心理学(evolutionary psychology)はPinkerあたりの大物でもハードサイエンスの人々にspeculativeだとかpost-hocだとかケチョンケチョンにけなされることが多いけど,同じくScientific AmericanのポッドキャストでLisa DeBruineの進化心理学の真価についての論考が紹介されていた(mp3はココ).彼女の主張は,進化論的視点の真価は,既知の行動に進化論的理由を与えることではなくて,まだ深く研究されていない行動に対して新たな予測を提示することだ,ということ.科学理論における予測可能性の重要さって,今更強調しなくても当たり前のことだと思うんだけど,巷に出てくる目を惹く研究ではこの視点が案外欠けてるのも多いのかもしれないな.言語進化論もこの予測可能性をいかに提示できるか,というのが今後の発展の鍵だろう.

2009年8月27日木曜日

イヌの進化

昨日車検が終わったとディーラーから連絡があったので,取りに行ってきた.購入3年目ではあるけど,走行距離が5万kmほどいってしまっているので,念のためファンベルト,冷却水,花粉フィルター,ブレーキパッド,ブレーキ液など換えて,エンジンやシャシーのスチーム洗浄もしてもらい,15万円ほどかかってしまった.東京に来てからめっきり乗る機会は少なくなったとはいえ,依然として長距離走行,高速走行をすることがあるので,このくらいの整備費は仕方ないか.せっかく車に乗ったので,少し離れた光が丘の「やまや」に行って,ウィスキー2本(ジェムソンとカナディアンクラブ),ビール1ケース,ディチェコのパスタ1キロ,コロンビアのコーヒー豆1キロ,オリタリアのエクストラヴァージンオリーブオイルを買ってきた.

閑話休題.Richard Dawkinsの新刊The Greatest Show on Earthが9月10日に発売される.それに先行して英国新聞のTimesのウェブサイトが第1章と第2章からの抜粋を掲載している.後者がイヌの進化についての話で中々面白い.

基本的にはRaymond Coppingerという人の説を紹介しているのだが,その骨子は「イヌがオオカミから進化したことはよく知られているけれど,野生のオオカミからヒトに飼い慣らされたイヌまでの進化はすべて人工的な淘汰(artificial selection)によるものではなく,自然淘汰(natural selection)によるものも大きい」というものである.つまりヒトが飼い慣らす前段階でオオカミは自然淘汰によってvillage dogと呼べるようなイヌ的なものになっていたというものである.

その証拠として挙げられているのは,人工的に変化させられた家畜化されたり飼い慣らされた動物は,数世代野生に放つと元の形質に戻ってしまうらしいのだが,イヌを野生に放ってもオオカミにはならず,village dogとかpye-dogと言われるような所謂雑種のようなイヌになるということ(うちの奥さんの実家のイヌの写真を参考として挙げておこう).つまり人工交配による形質変化が行われる前段階ですでにオオカミではなく,雑種のようなイヌであったということである.

なぜオオカミが自然淘汰で雑種のようになったかというと,逃走距離(flight distance)と残飯あさりが関係している可能性があるという.逃走距離というのは,天敵などの危険なものが一定の範囲内に近づくと逃げる目安となる距離で,野生動物は種ごとに遺伝的に決定されるらしい.この距離が短すぎると逃げ遅れて殺されてしまうし,長すぎると天敵がうろついているところでは食料が得ることができず餓死してしまう.そのリスクバランスが最適になり,生存可能性が最大限になるよう,自然淘汰で調整されているわけである.

逃走距離は遺伝的に決定されているが,当然突然変異によってこの距離が長かったり,短かったりする個体が出てくる.ここで鍵となるのが,他のオオカミより逃走距離が短い個体が,ヒトの集落周辺にいた場合である.通常の場面では短い逃走距離は襲われるリスクが高いが,ヒトの集落周辺では残飯が出るため,より集落に近づくことができる個体は食料を得やすいのである.つまり,逃走距離が短い個体の方が,ヒトの集落周辺での環境適応度が高いのである.その結果,自然淘汰により逃走距離が短いオオカミが支配的になっていったのが,オオカミから(人懐っこい)イヌへの進化の第一歩というわけである.

当然の疑問としては,なぜ人懐っこいオオカミはイヌのような見た目になったか,である.これに関しては,以前このブログでも紹介したDawkinsのDVDにも登場する話なのだが,silver foxの話が取り上げられている.ロシアの遺伝学者Dimitri Belyaevという人は,その毛皮が高く取引されるsilver foxを育てるのに,人懐っこい個体を選んで交配を繰り返したという話である.彼が人懐っこさの基準として使ったのが,上述の逃走距離に似たようなもので,silver foxの子供をその人懐っこさによって3つのクラスに分類し,最上位クラスの個体のみを交配して育てるという実験をしたのである.するとたった6世代で,見た目が変容しイヌのようになり,とても人懐っこい個体が増えていった.その割合は10世代後には18%,20世代後には35%,30から35世代後には70-80%がイヌのようになってしまったという.

このような容姿の変化は一見人懐っこさの副次的作用に思えるが,進化論ではこのような「一見」副次的作用に思える特性は,深いところでその引き金になった特性とつながっていることが多いので,人懐っこさとイヌのような外見というのは,根本的に関連している可能性が高い,とのこと(人間が「可愛い」と感じるには,一定の感覚的基準があるので,その辺と関係しているのだろう.ムカデなんてどんなに人懐っこくてもほとんどの人には可愛くなりえないものね).

以上が主な内容.英語ができる方は,私の要約なんかより,コチラのDawkinsの素晴らしい原文を読むことをお勧めします.

2009年8月21日金曜日

月刊『言語』

先日ひつじ書房からの「ひつじメール通信」で知ったのだが,大修館の月刊『言語』が12月号で休刊になるらしい.割と普通の書店でも売っているし,それほど値段も高くないし,大手と言ってよい大修館から出ていたわけだから,突然の知らせで驚きである(研究社の『英語青年』休刊のときも同じ印象を持ったが).

月刊『言語』は,専門書というわけではないが,所謂語学書でもない,割と先端の言語学研究をそこそこ教養のある人なら分かるように提供する良心的な雑誌だったと思うのだが,やはり巷に言語学に興味のある人は少ないということか.鉄道雑誌やカメラ雑誌なんて,かなり高価でもそこそこ売れるらしいから,やはりこの手の雑誌は「マニア」がいないと成り立たないのかもしれない.

『英語青年』休刊のときにも似たようなことを書いたが,休刊になりそうだと分かっていたら,支援の意味で定期購読したのになぁ,という研究者はけっこういるのではないだろうか.こういう雑誌は大学図書館にはほぼ間違いなく所蔵されているので,図書館に行ったついでにぱらぱら見て,興味のある特集が載っているときだけ生協の本屋にでも寄って購入する,という程度の読者は私だけではない気がする.

今月の特集は何かなとチェックしてみたら,裁判ことばの言語学(法言語学)だった.私の同僚の首藤さんも書いておられる.裁判員制度も運用が始まり,最近ひつじ書房からも『裁判とことばのチカラ』も出版されたことだし,この辺を素早くフォローするあたり月刊『言語』らしい.残念だなぁ,休刊.

2009年8月19日水曜日

ワンセグ

先日ネットを徘徊していたらMac対応のUSBワンセグチューナ(PCTV-hiwasa mini)がサマーセールで安売りしていたので,衝動買いしてしまった.余り地上波は見ないので,特に利用価値もないのだけど,何となく気になったのと,テレビのない茨城の別宅で使えるかなと.

昨日徳島から届いたので,早速試してみた.外見はコンパクト,シンプルでMacによく合う感じ.ソフトウェアのOneTVも使いやすい.付属の標準アンテナでは,私の環境ではまったく受信できなかったけど,写真のような感じで部屋のアンテナソケットにつなぐことができ,その場合の感度は良好.付属の延長アンテナも,窓際に置いておくと,同等の受信レベルを示し問題なし.画質は所詮ワンセグなので,こんなもんだろう(Youtubeの標準画質みたいな感じ).

録画予約しておくと,Macがスリープ状態にあっても勝手にOneTVが立ち上がって,録画してくれる.さらにiPhone/iPod touch用に無料で提供されているTV Playerというアプリを使うと,wi-fi経由でその録画した番組をダビングできる.試しに深夜にTokyo MXでやっていた変なアニメを録画してiPod touchに転送してみたけど(Tokyo MXって深夜はあんなのばっかり放送してるのね),転送速度も速く,操作性もひじょうに良い.

Windowsも対応と書いてあったので,試しにMacBookでBoot campを使いWindows XPを立ち上げて視聴してみたけれど,こちらは映像が途切れがちで,ソフトの操作性もいまいち.スペック的には問題ないはずなんだけど,何か相性の問題かもしれないが,これはMac用と考えた方がよいかもしれない.Windows用はバッファローやI-O Dataから色々出ているから,そちらを使った方が吉ではないかと.

地上波はほとんど見ないから,どれくらい使うか分からないけど,中々面白いガジェットではある.NHKも民放も面白い番組やってくれれば,もう少し利用価値も上がるんだけどねぇ・・・.

追記:後日VAIO SZにつないでみたところWindows XPでも普通に見ることができた.それでもソフトウェアは基本的な機能のみだが.

2009年8月17日月曜日

夏休み

先週いっぱい大学は全学休業で,私の研究棟も水道・電気が止まって,利用不可能だったので,茨城の別宅に行き,週末は大阪にある奥さんの実家に里帰りしていた.

さすがにお盆の時期に車で東京から大阪まで帰る気は起きなかったので,新幹線を利用した.行きは品川から乗ったので大して混雑もしていなかったけど,帰りの新大阪はすごい人だかりで辟易した.例の東名崩落で車移動をあきらめて新幹線に切り替えた人もそこそこいたからかもしれない.新大阪はもう少し喫茶店的なものを改札内に作った方がいいのでは・・・.

関西を離れてもう10年以上になるが,生まれてから20年間過ごした場所なので,いまだに大阪や京都に着いて,電車内でのアーシーな会話が耳に入り,街を囲む山並みが見えてくると,落ち着いた気分になる.

奥さんの実家では,家庭菜園というよりほとんど小型農園とも言ってもよい畑があって,取れたての夏野菜が実においしかった(収穫後の様子を撮っておいた).オクラ,獅子唐,満願寺唐辛子,ゴーヤ,キュウリ,トマトなど,こんなに味が違うものか,と感嘆してしまう.

土曜日は特にすることもなかったので,義父が車で裏山(信貴山)にある信貴山寺に連れて行ってくれた.世界一福寅という大型の寅の置物があり,2匹のムカデをあしらった文様がつけられた中々ファンキーな寺社である.聖徳太子が飛鳥時代に「信ずべき貴ぶべき山」と名付けたところが始まりだというから,私がよく遊びに行っていた京都の寺々よりも二時代も前である.

そんなこんなで,割と普通の夏休みを過ごし,今日から通常営業だ,と研究室に行ったのだが,どうやら勘違いしていたようで,通常営業は明日火曜日からだった.まあ普通に研究室は使うことができるので良いのだが,1,2階で大がかりな工事を今週いっぱいやるようで,結構音が五月蠅い.9月に入るまで,こんな感じで落ち着かない状態なのかもしれない.

2009年8月8日土曜日

新宿の夜

昨夜は前任校の同僚と飲みに行った.やっと前期も終わって,単身赴任先の福井から東京に前日に戻ってきたとのこと.最後に会ったのは後期入試のときだったから約5ヶ月振りである.近況報告も含め色々話すことができて楽しい夜であった.

新宿NSビルの29階のとある店で2時間ほど飲み,その後さらに2軒はしご.結局12時前まで飲んでいた.初めの店でビールから始まり,日本酒を結構な量いただき,ワインバーでワイン(赤,白),ショットバーでウィスキー(カナディアンクラブ),カクテル(マルガリータ)を.取りあえず飲みたいものを全部いただいた感じで満足である.

新宿NSビルというのは,中が吹き抜けになっていて,1階ロビーから上を見上げるととても面白い.29階からの眺めも素晴らしい.また機会があれば行ってみよう.隣に都庁もあって,見に行ったけど,あまりにも高すぎて写真を撮る気も起きなかった.フレームに入らないよ,あんなの.

さんざん飲んだにも関わらず,普通に電車で立って帰り(金曜日は遅い時間でも混んでるんだよな),特に二日酔いもなく,今日も大学へ.晴海で東京湾岸花火大会が夜7時からあったようで,高く上がった花火は研究室からも見ることができた.墨田川やら神宮やら東京は花火大会が多いなぁ.

今日は早めの9時過ぎの電車で帰ってきたけど,泥酔した爺さん,婆さん,その娘夫婦,孫2人の団体が私の隣に座って大騒ぎしていて,たいそう迷惑だった.幼児でもないのに,まるで理性のかけらが感じられないほど暴れる子供に,その子供以上にうるさい声で叫んで一緒になって戯れる爺さん.あの手の人々に「社会性」という概念はないんだろうか.あんなのが電車に乗るのが許されるなら,よくしつけられたイヌが乗ってもいいはずだ.

2009年8月6日木曜日

顔の白い黒猫

先日「近所に顔の白い黒猫がいた」と奥さんに報告したら,「それは黒猫とは言わないのでは」と返された.今日また見かけたのだが,実際は顔だけではなくて体の半分くらい白かった.人の記憶とはいい加減なものである.今回はもう1匹一緒にいて,2匹仲良く並んだ車の陰で休んでいた.車下兄弟とでも名付けようか.

福井では草刈りさんや山さんを始め,東尋坊ネコなど,結構頻繁にネコがうろついていて,このブログにもたびたび登場させていた.ここらへんではほとんど見ることがなくさびしかったのだが,車下兄弟は駅への道の途中で徘徊しているので,今後も頻繁に会えるかもしれない.

大学に行くと,アマゾンから2冊本が届いていた.Joan BybeeのFrequency of Use and the Organization of LanguageとJoan Bybee, Revere Perkins, and William PagliucaのThe Evolution of Grammar: Tense, Aspect, and Modality in the Languages of the Worldである.Bybeeの研究って,ちょっと毛色が違うかなと思ってこれまでほとんどカバーしていなかったのだが,使用頻度とレキシコンや語彙項目との関係の議論に少し興味があるので,いい機会だからまとめて読んでみることにしたのである.時間が取れればであるが.

2009年8月5日水曜日

ピン

今日大学の帰りに新宿の東急ハンズに行ったら,JR新宿駅新南口あたりに,写真のようなものを見つけた.そう,一部の人々の間で話題になっているGoogle Mapの「ピン」である.日本では東京と京都,海外ではニューヨーク,サンフランシスコ,ロンドン,バンコク,台北,マドリード,パリ,プラハ,モスクワ,クアラルンプール,香港にも登場しているとか.知らないと不気味だろうなぁ,このオブジェ・・・.

ちなみに新宿に行った理由は東急ハンズをぶらぶらするのがメインではなくて,眼鏡を探すことだった.私が今かけている眼鏡は,2年前せっかく福井にいるんだからと(福井県鯖江市は眼鏡フレームの国内シェア90%,世界シェアでも20%),増永眼鏡で作ったもので,確か8万円くらいしたのだが,かけ心地の良さと見やすさは文句なしで気に入っていた.しかし,昨日うっかり左レンズの中心に細かい傷を作ってしまったのだ.それで新宿の紀伊國屋の前にビルが丸ごと眼鏡店というのがあると聞いて,行ってみたのである.しかし・・・展示してあるフレームは中国製ばかりでまったくお話にならなかった.作りの悪さが持った瞬間分かる.

私は視力が0.03しかない上に,職業柄目を酷使するので,眼鏡はひじょうに重要である.10年以上前コンタクトレンズを使っていたときもあるが,本格的に研究するようになると,使えるものではないので,イギリスにいるときに眼鏡に切り替えた.Specsaversというところで安い眼鏡を作ったのだが,なんだかかけ心地も悪いし,見え方もクリアでなく苦労したものである(欧米人向けのフレームは鼻当ての位置が日本人には合わないと増永眼鏡で教えてもらった).

まあ細かい傷なので,このまましばらく使い続けるか,それとも青山の増永眼鏡に行って新しいのを作るべきか・・・.レンズだけ交換してもいいんだが,このレンズはパソコンの画面などからの照り返しをカットする特殊なレンズなので,それを扱っている店を探さなければならない・・・.面倒である.

2009年8月4日火曜日

里帰り

先週末は姉の家族が夏休みで来ている両親の家を訪問.ちょうど開催されていた地区の夏祭りに参加し(私はあの家には住んでいたことがないので,「地元」の思い入れみたいなものは一切ないのだが),姪や甥とUNOやトランプをし,数独を解かされ,姉が連れてきたキャバリア2匹と戯れていた.

日曜日にそのまま車で茨城の別宅へ.ひたちなか海浜公園でRock in Japan Festivalをやっていたので,臨時バスがせっせと駅と公園間を往復していた.調べてみるとこのフェスはRockin' On Japanがやってるのね.懐かしい雑誌名だ.まだあるんだね.夜は奥さんの誕生日が近かったので,少し豪勢にディナーをいただく.

茨城にいる間,高橋昌一郎の『哲学ディベート—<倫理>を<論理>する』を読んだ.取り扱っているトピックは,比較的よくあるものだけれど,比較的等身大の大学生的な意見が出ているのが,実際教鞭を取られている著者らしい.代理出産,安楽死,自殺などは依然として法学系の学生にも一度は考えて欲しい古典的かつ現代的トピックである.

レポートの締め切りも過ぎ,5日までに成績を出さなければならないので,これからせっせと読んで添削しなければならない.今回Course N@viという早稲田の授業支援システム(MoodleやWebCT, Blackboardのようなものの早稲田オリジナル版とでも言おうか)を使ってレポートを受け付けたが,締め切りがある課題をいつ提出するのかという分布が比較的はっきり見られて面白い.大体,1割くらいがかなり余裕を持って提出してきて,大半の人は締め切り日の早い段階で,ごく少数がぎりぎりに,そしてちらほらと締め切り後に相談してくる,というのが共通しているようだ.私は多数派の締め切り日の早い段階に出すカテゴリーに属するんだろうな.明日できることを今日やらない,と前任校の同僚が言っていたが,言い当て妙である.

2009年7月31日金曜日

美しくなる女性

/.jpで知ったのだけど,進化心理学的に女性がどんどん美しくなっているという記事がイギリスのThe Sunday Timesに掲載されたそうな.記事をまとめると
  • 美しい女性は普通の女性より多く(16%多く)の子供を授かる.
  • その子供は男性(息子)より女性(娘)である割合が高い.
  • 娘は母親の美しさを受け継ぎ,大人になると親と同じパターンを繰り返す.
  • その結果,美しい女性の割合が増えていく.
ってことらしい.で,これは女性の美しさというのが子孫繁栄,遺伝子保存に有利に働くから(いわゆる性選択(sexual selection))という主張.

元々これを言い出したのは,いろんな意味で有名なLSEのカナザワ・サトシさんで,統計的に見た目の良い親は息子より娘を授かりやすいという主張.美しさというのは遺伝し,見た目の良い両親は息子より娘を授かりやすいということならば,当然女性はどんどん美しくなっていく,という帰結が得られるというわけだ.

一方,男性は美しさという淘汰圧(selectional pressure)を受けることはなく,天敵に対して狙われやすい妊娠中の女性を守る能力,現代の枠組みでいうところの経済力の方がより重要で,統計的には金持ちほどたくさんの配偶者と子供を持つことに現れているとのこと(じゃあ金持ちの男性は増えていってるのかしら.資産は生物学的に遺伝しないから増えないと答えるんだろうな・・・).

美しさをどう客観的に計ったのかは,元の論文を読んでないので分からないので,あまり決定的な批判はできないけど,David BullerのPop EP (Popular Evolutionary Psychology)への批判は講義で取り上げたことがあって,Bullerの論法でいけばかなりこの手の研究というのは懐疑的にならざるおえないだろうなぁ.

2009年7月30日木曜日

統語論

やっと晴れたと思ったら,夕方から雨の予報.洗濯物を干すのもあきらめて,家を出た.一応梅雨は明けてると思うんだけど,東京は.いつまでこんな天気なのかしら.ベランダにでて青空の写真を撮ってみた.芸能人で毎日ひたすら空の写真をブログにアップしてる人がいた記憶があるけど,誰だったかな・・・.

やることはたくさんあるのだけれど,来年度に統語論入門を半期教えることになりそうなので,ごそごそと研究室で本をあさっていた(気が早い).形態論と違って統語論というのはtheory neutralに教えるのがひじょうに難しい分野である.変形文法の人なら,あまり迷うことなく己の道(チョムスキーの道?)を行くのかもしれないが(私も学部時代そういう講義や演習を受けた),さすがに自分の専門であるLFGや近接理論のHPSGを中心にやるのは気が引ける.いっそのこと情報工学系の自然言語処理の講義みたいに,数学の集合論から入って有限状態文法,文脈自由文法を導入していこうかとも思ったが,「言語学」に興味を持って受講する人文系の学生は拒否反応を示しそうだ(これまた学部時代にWescoat先生がMathematical Method in Linguisticsを土台にモンタギュー意味論を教えようとして,文学部の学生がくたばっていっていたのを思い出す).まあ,まだ半年ほどあるので,ねちねち考えておこう.

統語論と関連して,最近ちょっと興味を持ちつつあるSBCGをちゃんとフォローしようと思って,Ivan Sagの"Sign-based Construction Grammar: A Synopsis"を読んだのだけど,ちょっと理論の全体像が掴みにくいなぁ.Fillmore, Kay, Michaelis, and Sagで本が出るみたいだから,そちらに期待したい.

2009年7月28日火曜日

バッファローHDD問題解決

少し前に書いた特定の型のバッファローの外付けHDDがMac OS 10.5.7で認識されない問題が解決したので,備忘録としてここに書いておく.

日本のバッファローは有償基盤交換で対応しているみたいだけど,米国Buffaloではディスカッションボードのココでパッチが公開されており,私の環境(HD-H250U2を2 GHz MacBook 13inにUSB接続)ではこれでうまくいった.リンク先に英語でやり方が書いてあるけど,日本語にしておこう.試される方は当然自己責任でやること.
  1. FTPのココにアクセスして,Buffalo Drivestation OS 10.5.7 Fix.zipというファイルをダウンロードしてきて,「デスクトップ」に保存する(UsernameとPasswordを求められたら,どちらもbuffaloと入れる).
  2. zipファイルを解凍してできたBuffalo Drivestation OS 10.5.7 Fixというフォルダを開く.
  3. その中に入っているREAD ME FIRST.txtに従ってパッチを当てる.
以下がそのREAD ME FIRST.txtの内容.
  1. Mac OSのバージョンをチェック: アップルメニューから「このマックについて」をクリックして,アップルのロゴとMac OS Xの文字の下に書いてあるバージョンが10.5.7であることを確認.もし10.5.7でない場合は,以下の作業を実行してはならない.
  2. 管理者アカウントでログインしているかチェック: アップルメニューから「システム管理設定」をクリックして,「アカウント」に進み,「マイアカウント」の中のユーザーネームの下に「管理者」と書いてあるか確認.パスワードを設定していない場合は,右側のメニューで好きなパスワードを設定する.
  3. デスクトップにあるBuffalo Drivestation OS 10.5.7 Fixというフォルダを開く.フォルダ名を決して変更しないこと.またこのフォルダは必ずデスクトップに置いておくこと.さもないとスクリプトがちゃんと動かない.
  4. RunAfterReading.bashというファイルを見つけ,右クリック(もしくはCommand + クリック).メニューの中から「このアプリケーションで開く」> 「その他」を選ぶ.開いたメニューで「アプリケーション」>「ユーティリティ」>「ターミナル」を選択.(要はRunAfterReading.bashをターミナルで実行する)
  5. ターミナルウィンドウでパスワードを求められるので,Passwordのところに管理者アカウントのパスワードを入力(文字は表示されない).アップデートが無事終了したら,コンピュータを再起動する.
これでうまくいくはず.いちいちBootcampでWindows XPを起動してHDDを接続する必要がなくなって,ひじょうに便利.まあ通常の状態に戻っただけなんだけど.

2009年7月21日火曜日

クロール

梅雨は明けたはずだけど,なんだか曇りと雨ばっかりの天気.明日は皆既日食(東京は部分日食か)らしいけど,この調子だと全く見られないだろうなぁ.

昨日は海の日といういまだに馴染めない祝日だったようで,小中高は先週の土曜日から夏休みだったとのこと.最近大学は8月上旬まで授業があるところが多いので,学生は7月いっぱいは忙しいようである.一昔前なら,大学生の夏休みが小中高校生より遅くに始まるなんて考えられなかったけどなぁ.

昨日はまずまずの過ごしやすさだったので,夕方に池袋ジュンク堂内クロールをしてきた.クロール(crawl)というのは,日本語だと泳ぎ方を指すけど,英語だと「巡回」という概念全般を表し,割と応用の利く表現である.Googleのウェブサイト巡回もGoogle crawlだし,欧米の大学でpub crawlとかbar crawlといえばみんなで飲み屋をはしごして酔い潰れるイベントである.私は高校生のときは梅田や難波で各所にある中古CDショップや楽器店をクロールしていた.大学生になると曾根崎の旭屋書店内や堂島のジュンク堂内をよくクロールしたものである(阪急梅田の紀伊國屋は広い1フロアに人がうじゃうじゃいるので,クロールには向いていない).

で,首都圏では池袋のジュンク堂がおそらく一番巨大な書店なので,9階から1階まで眺めて回るのを池袋ジュンク堂内クロールと勝手に呼んでいる(B1階は漫画なので回らない).洋書だと東京駅前の丸の内オアゾ内の丸善が一番品揃えが良いので,あそこもたまにクロールすることがある.

専門分野である言語学や認知科学の新刊は各出版社や紀伊國屋,丸善がカタログを送ってきてくれるので,カバーできるのだけど,専門分野外や過去に出版されていて見落としていたりするのが,たまにあるので,こうやって本棚をじろじろ見て回ってチェックするわけである.

残念ながら昨日は特に目欲しい本はなかったけれど,大型書店というのはたまに行くといいもんだ.去年までは出張で大阪や東京に行ったついでにしかできなかったことが,気軽に行えるのが素晴らしい.福井に住んでいるときは,金沢に大型の書店があると聞いて,車で高速を飛ばしてクロールしに行ってみては騙された気になったものだった.箱だけ大きけりゃあいいってもんじゃないんだよね,書店ってのは.

2009年7月18日土曜日

夏祭り

梅雨が明けたとたん毎日猛烈な暑さでまいってしまう.朝起きると汗でべたべた,掃除をして汗だく,シャワーを浴びても,すぐべたべた.こんなときは男前豆腐と黒豆枝豆でも食べながら,ビールをぐびぐび飲むのが正しい過ごし方だな.

そんな中,今週末は花小金井の夏祭りである.ふらっと行ってみると,まあこぢんまりした都市型祭りという感じであった(東京に祇園祭や天神祭規模の夏祭りがあるのか知らないけど).それでも結構人はいたので,夜店でちょこっと食べ物とビールを買って,ぶらぶらして帰ってきた.ここらへんは我々の年代くらいの人々が多いので,小さい子供がたくさんはしゃいでいた.子供にはこのくらいの祭りがいいのかも.

大学は今週で授業期間が終わり,とりあえずほっと一息.学生の皆さんは来週がテスト期間なので,大変だと思う.1年生は慣れないだろうし,法学系科目は量も多くて一層辛いだろうけど,まあ試練と思ってがんばってほしい.終われば,長い夏休みだしね.

学生にとっての休みは,我々にとっての本番.ここらで研究をぐいっと加速させたいところ(論文査読の依頼が来てしまって,いきなり失速したけど).とりあえず,ネタは結構たまっているので,それらを形にしていかなければ・・・.

2009年7月15日水曜日

梅雨明け

暑い.うだるような暑さとはこういうのを言うんだろう.英語ではa sweltering hot dayと言う.私もバテ気味だし,学生もバテ気味に見える(来週から学期末試験なので,余計疲れているのだろう.法学系科目の試験は大変そうだしね).昨日関東も梅雨明けしたとのことである.まあ暑くても梅雨よりはいいかな.

先日注文していたCroftのExplaining Language Change: An Evolutionary Approachが届いた.10年近く前に読もうと思っていたにもかかわらず,まだ手にも入れていなかったRadical Construction Grammarを注文したついでに買ったのだが,ぱらぱら見たところでは正直まあそれほど面白そうではないかな.今はTomaselloのConstructing a Languageをちまちま読んでいるので,それを読み終えたら見ていこうと思う.

CroftにTomasello?乙黒はLFGやってるんじゃなかったの?Functionalistになったのか?と言われそうだけど,別に認知言語学派に入ろうというわけではない.ただ言語進化を認知科学的な枠組みで考えると,holisticな認知基盤を前提として考えるのは妥当ではないかと思えるし,個人的に共感するところが多いformalistでgenerativistなBickertonも本質的にはそれに近い考え方を持っているようにも思える(本人は否定するだろうけど).ということで,constructionalなアプローチを再考してみているところなのである.GoldbergやHPSGのSag & Ginzburgあたりの,言語現象に特化したかなり狭義でのconstructionalな研究は割とフォローしてきたけど,TomaselloやCroftはもう少し幅白い視点からの見方が結構新鮮で,細かいことをやってきた私には面白い.

ということで,前期も終わって研究に没頭できるのが楽しみである.もう一つ特定課題絡みで形態論の割と細かい研究もあるし,言語学系の仕事で事務的なこともいくつかあるけど,まあやりたいことで忙しいのは良いことだ.ここ数年そういうことができなくて鬱積したものもあったことだし.

2009年7月12日日曜日

都議選

今日は都議選投票日.私の選挙区では自民,民主,共産の3候補で,一応各々の政策指針,主張などを見比べてみたのだが,正直に言うとどなたもあまり訴えるものがなかった(実質2人しか見てないのだけど).そうなると取り敢えず政党で選ぶしかないのだが,現状だと中々それも難しい.霞ヶ関絡みで色々自民が問題があるのは分かっているけど,かといって売国と受け取られてもしょうがない政策を掲げ,財源に対する認識も素人目に見ても甘い民主も気が進まない.公明党の候補者が入れば,そいつを落とすためという理由だけで別の政党にどこでも入れるのだが….

考えてもしょうがないので,出たとこ勝負で取り敢えず投票所に向かい,その場でひらめいたほうに投票してきた.しかし,投票所遠かったなぁ.まあ色々集計などの都合もあるのだろうけど,すぐ近くに小学校があるんだから,そっちにも投票箱を設置してくれるとありがたいんだが.

とりあえず投票も済ませ,今日はいつもは電車で帰る奥さんを車で茨城まで送っていくことにした.東京に住んでいて,毎日朝家を出て帰宅が夜11時過ぎという生活なので,まったく車に乗ることがなく,たまには動かしてやらないといけないからである.例によって大泉ICまでが相当混雑していたけど,高速は快適だった.途中,祭りのような守谷SAで色々買い食いをして,車がないと中々できない買い物をして,別宅へ.今晩は『鴨川ホルモー』を読んでしまおう.舞台が慣れ親しんだ京都で面白い.中々いいなぁ,万城目学.

2009年7月7日火曜日

お役所

そろそろ免許の更新期限が迫ってきたので,昼過ぎに江東運転免許試験場へ.職場の早稲田からだと東京メトロ東西線で20分ほどで行かれるので,結構便利である.私はイギリスに行ってすぐに最初に取った免許の期限が切れてしまって,その後3年以上1度も日本に帰ることができず,完全失効となった(ひどい制度だな,本当に).帰国後,福井の大学に着任して,車がないと生活できないので,2006年にもう一度免許を取得した.よって,今回は初回更新で2時間の講習を受けなければならない.

福井で免許交付の時は,実質交通安全協会費が強制徴収だったが,東京ではさすがにそういうことはないようだ.しかし,例によって高圧的な教官の実につまらなく,常識人には分かり切っている講習を2時間も受け(講習料にはまったく見合わないだろう),本籍地だけが空白で,暗証番号でICチップに埋め込まれた情報が端末に表示されるという,なんだか中途半端な免許証が交付された.

すべてにおいてお役所的な手続きだなぁ,と思うわけだけれど,実際のところ私にとってはこんなのはまだましである.だってイギリスのうんざりするような在留ヴィザ更新と労働許可証交付を過去に経験しているのだから.

私はイギリスで2回のヴィザ更新と1回の労働許可申請をしている.修士課程を終えて博士課程に進むときと,博士号を取った後研究員になるときのヴィザ更新と,博士課程以降TAや研究員として働く際の労働許可申請である.労働許可はそれほど大したことはない.地元の役所に電話して予約を取って,日本でいうところのハローワークみたいなところにいって,取調室のような場所で1時間くらい面接を受けるだけである.

面倒なのはヴィザ更新である.まずお金が結構かかる.修士課程から博士課程の更新はそれほど急がなかったので郵送で確か3万円くらいだったが(でも手続きに1ヶ月以上かかる),研究員になるときは結構急いでいたので,ロンドンの移民局に直接行って即日更新(express serviceという)しなければならず,15万円くらいとられた.

そもそもその即日更新の予約が取るのが大変だった.在英のブルガリア人の友達が朝受付が開く瞬間に電話をかけると良いと教えてくれたので,必死に電話してなんとか予約ができて,数週間後ロンドンの移民局に行ったのだが,とにかく時間がかかる.朝9時に行って,うんざりするような手続きや面接の後,最終的に発行されたのが夕方5時くらいである(その後,そのブルガリア人の友達の家で夕食をごちそうになった.旦那さんは有名なオランダ人言語学者で,話も盛り上がって楽しかった).面接で揉めてる移民がかなり多く,大変時間がかかるのである.

当時は結構うんざりしたし,もう少しスマートな仕組みはできると思うが,その背後にある精神は大いに理解できる.私は,所得税や消費税(VAT)は納めていたけど,所詮イギリス人ではなかったのだから.「国」というのは,理知的な「範疇」なのである.宗教や感情的な思想でその範疇をなくそうとすると,そこに歪みが生じるということが,分からないおめでたい人々が日本にもいるようである.その代表者がスタンフォードで博士号を取った人だというから,あきれてしまう.経営工学以外は何も学ばなかったのだろうか.政権取るのもいいけど,そこだけは直さないと国が沈むよ,本当に.

2009年7月5日日曜日

MLF

予告通り,昨日,今日と東北大学で学会だった.東京より北部の距離感がよく分からないのだけど,上野から仙台までたった1時間半で着いてしまうとは,驚きだった.仙台の街も思っていたより遙かに都会でなんだかイメージが変わった(どんなイメージを持っていたのか・・・).

学会はこじんまりしていて,雰囲気も良かったし,面白い発表も結構あって,楽しめた.ちなみ2日目の小泉さんの語彙アクセスの認知脳科学チュートリアルで出てきたStockall & Marantz (2006)の論文の話でふと思い出したのだが,あの論文のMEGによる実験から得られる帰結は,DMを支持しているというよりは,realizationalなアプローチ全体を支持しているだけではないだろうか(あの主張はMarantzが言ってることだから,当然小泉さんとは直接は関係ないのだけど).MarantzはDMの提唱者なんだから当たり前だろと言われればそうなのかもしれないけど,最近時々見られるMEGとかfMRIとかのデータを持ってきて特定の理論的モデルをサポートする方向に持って行く議論というのは,そもそも方法論として適切なんだろうか.
まったく話は変わるけど,仙台といえば牛タンということを聞き,初日の夜ホテルにチェックインする前の早い時間に,牛タンの炭火焼きをいただいた.歯ごたえがあって,肉の旨味が出ていて,とてもおいしかった.店を出たときには,外に結構並んでいたので,早く行って正解だったようだ(まあホテルで仕事しなきゃいけなかったので,早く行くしかなかったんだけど).他にも仙台は笹かまぼことかずんだ餅が有名だそうで,次回行くときに試してみよう.来年春の日本言語学会が東北大らしいので,その時かな.

2009年7月3日金曜日

形態統語論

火事があったのはもう1週間前のことか.なんだか細切れに色々あって,落ち着かない週であった.前期が終わりに近づいているからかもしれない.企業でいうところの,決算前みたいなものか・・・.

今週やったことといえば,まず髪を切った.私はできるだけ散髪のスパンを長くとろうとするのが,さすがに暑くてうっとうしくなったので,駅前の美容院で短くしてもらった.以前のブログによると,前回切ったのが大阪の千里阪急ホテルで2月15日だったから,4ヶ月半振りである.大体,3ヶ月経ったくらいから,そろそろ切ろうかなと思い出して,実際切る決心をするまで1ヶ月くらいかかるので,いつも通りといった感じか.

散髪の帰りに近所のBook offで綿矢りさの『インストール』と『蹴りたい背中』を買って,その日のうちに読んだ.前者は17歳の時の作品で文藝賞,後者は19歳のときで芥川賞ということで,当時話題になっていたのは,ネットのニュースなんかで知っていたのだが,なんせ日本におらず,わざわざイギリスに輸入(?)してまで買おうと思わなくて,なんとなく読まないままでいたのだ.先日の柴田さんと高橋さんの本で取り上げられていたので,どれどれ,と言う感じで手に取ったのである.読んだ感想は,素晴らしいの一言.非の打ち所がない表現のセンスにはただただ感心してしまった.昔,吉本ばななを初めて読んだときに受けた印象に近いかな.最新刊も読んでみようと思う.

あとは,今週木曜は言語情報のオムニバス講義の担当が私だったので,形態統語論について話してきた.木曜は普段でも3,4,5限と講義があって結構体力的に消耗するのだが,それに加えての講義で,午後1時から8時前までずっと話すことになって,かなり疲れた(最初の3コマを英語で教えて,最後が日本語だったので,なんだか混乱したし).まあ90分で突っ込んだ内容はできないので,複合語(compounding),能格性(ergativity),逆受動態(antipassive),一致(agreement)などの多様なトピックをいろんな言語を見て,実際自分たちで分析してもらいながら進めたけど,楽しんでもらえただろうか.課題でどの程度面白いレポートが出てくるか,楽しみである.

さて,今週末は東北大の学会に顔を出すため,仙台に出張である.東京(上野)から仙台って1時間半しかかからないのね.初めて行く土地なので,ちょっと楽しみである.牛タンが名物なのかぁ.

2009年6月27日土曜日

読書の夏

暑い.猛暑である.しかし幸いにも土曜日なのでTシャツ,短パン,サンダルという快適な恰好で研究室へ.

馬場下町の交差点で信号待ちをしているとき,見たことある人がいるなと思ったら,自民党の与謝野財務大臣だった.ブログのネタに2ショット写真でもお願いしようかと思ったが(←ミーハー),おもむろにしゃべりだした.都議選の応援演説をしにきたようだ.ああいうのって,もっと高いところに立ってやるもんじゃないのかな.まあ,土曜日の人気の少ない大学付近で(早稲田はいつでも学生がうろついてはいるけど),ご苦労様です.

結局,昨日の火事現場はよく分からなかった.ちょっと奥に入ったところだったのかもしれない.今日は西門の前で,大型バイクがタクシーと接触事故を起こしたようで,人が倒れており,坂の下の交番からお巡りさんが自転車で駆けつけてきたところであった.命に別状はなさそうだったけど,なんだか不穏だなぁ.

昨日は火事があったので書き忘れたけど,木曜日に大学生協の本屋をぶらついていて目についた本を3冊買った.柴田元幸,高橋源一郎の『柴田さんと高橋さんの小説の読み方,書き方,訳し方』,森博嗣の『森博嗣の半熟セミナ 博士,質問があります!』と『DOG & DOLL』.今朝3冊とも読み終えた.

『小説の・・・』の方は,東大教授で翻訳家の柴田さんと小説家で明治学院教授の高橋さんの対談.頭の使い方が違うのか,私が無知なのか,作家や作品の細かい議論は正直よく分からなかったが,面白そうな作品の情報を仕入れるという点では,有益な本だった.私は1人の作家にはまると,その人の作品ばっかり読み続ける習性があるので,こうやってたまに新しいインプットをして,裾野を広げていけるのは,ありがたい.柴田さんって,英文学会でお見かけしたことが何度かあるけど,しゃべったことないな.門外漢なので,なんてしゃべりかけたらいいのかも分からないし・・・.

森さんの『・・・半熟セミナ・・・』は,知識のひけらかしのような嫌みがなく,ウィットが効いていて,奥様のささきすばる氏のイラストが実にかわいくて,楽しい読み物だった.『DOG & DOLL』の方はTOKYO FMの会員限定ウェブに書いていた音楽に関するエッセイをまとめたもの.こちらも「森さんらしい」語り口でひじょうによい.

その『DOG & DOLL』の中で,森さんの元勤務先国立N大学の近所の大学(名古屋工業大学だね)にいる友人の研究室に,ラルクのkenさんが所属していたと書いてあった.私は中学・高校時代から仲の良い友人が名工大出身なので,この話は知っていたのだけど,ウェブでkenさんを検索すると(洒落ているわけではない),懐かしい名前が出てきた.

なんでも今kenさんがやってるソロツアーのサポートで,白田`Rudee'一秀(昔はRudyだったよね)さんが参加しているそうな.私は日本のロックギタリストの中では今でも白田さんが一番好きで,高校1年生のとき心斎橋のオンユーという楽器屋であったセミナー(当時最新技術だったフェルナンデスのサスティナーのプロモだったかもしれない)にも参加して,目と鼻の先くらいの距離で食い入るように見ていた.あれは確か皇太子と雅子様がご婚礼の儀を執り行った日で,白田さんは(いつも同様)2時間くらい遅刻してきて,友人と雑居ビルの廊下に座って待っていたのを覚えている.

現れた実物の彼は背が高く,男前で,ラフトレッドの長髪で,当時出たばかりのグランドスラムの『INSIDE or OUTSIDE』の曲を鳴らしながら,がんがん弾いていて,本当に恰好よかった.サインももらって,握手もしてもらった(当時からミーハーである).今も相変わらず恰好良くて,ハードなギターを弾いているのを見て,うれしくなった.

先日なんばHatchで,そのkenさんのライブがあって,結構あちこちのブログにも書かれていた(リフが最高に恰好いいグランドスラムの「INTO THE NIGHT」もやったそうな).東京でも7月にShibuya-AXであるみたいだけど,チケットは売り切れなのね.まあメインのkenさんのことを,これっぽっちも知らないので(すいません),仮に行くことができても,よく分からないってことになるんだろうけど.また見てみたいなぁ,生白田さん.

幸福な時間が・・・

金曜5限の講義が終わった後というのは,幸せな時間である.1週間無事に(無事じゃないことも多々あるが)終わって,研究室でゆっくりコーヒーでも飲みながら,論文や研究書を読むのである.

今日もそんな感じでまったり過ごしていたのだが,夜10時を過ぎた頃,何やら外が騒がしくなってきた.何かが破壊される音が続いた後,けたたましいサイレンが鳴り響き,拡声器で叫ぶ声が聞こえる.なんか物騒だから,もうしばらく研究室にいようと思ったのだが,今度は警報機が鳴り出した.廊下に出て確認してみたが,私の研究室がある建物ではないようだ.窓を開けてみると,騒がしい音とともに,すごく焦げ臭い匂いがした.

間違いなく火事である.どこが燃えてるのかよく分からないし,のんびり本を読んでる場合でもなさそうなので,取りあえず家に帰ることにした.私の研究室から一番近い大学の出口は「西門」といわれる場所なのだが,明らかにそちらからサイレンとか警報機の音が聞こえるので,別の門から早稲田通りに出た.消防車だらけである.地下鉄の駅に向かう途中にもどんどん消防車がやってきていた.

帰宅してまちBBSで確認してみると,私の研究室がある建物のすぐ近くが燃えていたようである.正確な場所と被害状況はよく分からないけど,30分くらいで鎮火した模様.明日研究室に行く途中に通るときにどこが燃えたのか分かるかもしれない.

2009年6月22日月曜日

日本言語学会

更新を随分さぼっていたけれど(なんだか先週は精神的にぐったりするようなことが多かったもんで),先週末は神田外語大学で日本言語学会,今日は玉川大学でG-COEの講演に参加してきました.

梅雨入り後,雨ばっかりだったが,言語学会初日は太陽も出ていて,猛暑日だったとのこと.行きは総武線の幕張駅から歩いたら,結構距離があって,到着時にはへたってしまった.帰りは逆方向に歩いて,京葉線海浜幕張駅から東京駅経由で帰ったら,今度は京葉線のりばと東京メトロの大手町が,所謂「東京駅」の両端に位置しているので,すごく歩く羽目になった.「乗り換え」っていうのかな,あれ.しかし幕張ってのは,近未来都市みたいだな.土日でオフィス街ががらんとしているから,余計そんな雰囲気が漂っていた.あと帰りに舞浜で乗ってきた千葉ネズミーランド(冗談ですよ)帰りの人々のテンションがもすごくて,辟易した.有限状態文法のソースコードをちまちま読んでいたんだけど,あまりのノイズにあきらめてしまった.まあ気持ちは分からないでもないけど,子供じゃないんだから・・・.

言語学会初日の研究発表は中々楽しめたのだけど,首を傾げたくなるような発表もあった.(・・・後から読み返すと辛辣過ぎた気もするので,具体的批判は削除することにしました.ああいう発表が今後ないことを祈ります)

今日は,言語学会の公開シンポで来ていたRizziその他の発表が神田外大で引き続きあったようだが,上述したように玉川大学にもグローバルCOE関係でカナダのマクマスター大学からDaphne Maurerさんが共感覚について講演に来ていたので,私はそちらに顔を出してきた.割と少人数のこじんまりした講演だったけれど,内容はひじょうに面白く,勉強になった.共感覚と言語の起源あたりの議論は,あまり知らなかったので,ちょっと文献を掘り下げてみたいところである.

そんなこんなで大学巡りみたいに,あちこちに行っているわけだけど,自宅には3月まで住んでいた永平寺町から住民税の請求が来ていた.東京だとゆうちょ銀行で払うしかないので,面倒である.まとめて払うと結構な額なので,ATMではなくて銀行の窓口でお金も引き出さないといけない.3時までしかやってないからとても不便である.クレジットカードで払えるようにしてくれたら,払う側と処理する側どれだけの人間の手間が省けることか.さらに,自動車運転免許の更新もしなければいけない.色々考えただけで嫌になるなぁ.

2009年6月15日月曜日

フラワーアレンジメント

昨日姉の義理の母親(義理の兄の母親.この関係を一言で表すことばはあるんだろうか)から,フラワーアレンジメントが届いた.この手のものを扱うお店を京都で経営している方なので,本格的である.ありがとうございます.

早速玄関に我が家の「ギャング」たちと一緒に飾らせていただいた.薄桃色の薔薇が使われていて,明るく上品で良い感じ.ギャングのうち,キウィ(ニュージーランド出身)とトロル(ノルウェー出身)は以前このブログにも登場したと思うが,真ん中の青いネコは今回初登場ではないだろうか.名前をピルチャード(Pilchard)といい,Bob the Builderという働く自動車がたくさん登場するイギリスで人気の子供向けアニメで,主人公Bobが飼っているネコである.

ピルチャードは購入以降数年間をイギリスで過ごし,奥さんが留学するときにオーストラリアについていき,帰国後福井に住み,今は東京にいる,我が家の古株である.背中を押すと「ニャー」と2回鳴く.青い見た目同様,中々クールなやつである.

2009年6月14日日曜日

誕生日

昨日6月13日は私の誕生日であった.欧米では13日が誕生日なんて,不吉なのかもしれないが,私の実家は父親以外全員13日生まれである.当たり前だが,だからといって特に不幸な目に遭ってきたということはない.

金曜日仕事から帰宅後,車で茨城の奥さんの家に向かったのだが,大泉学園付近で日本国旗を持った大勢の群衆がいて,警視庁の交通整理が行われていた.そのせいで大泉ICまで到達するのに,結構時間がかかってしまった.夜8時頃だったのだが皇族でも来ていたのだろうか.ちなみに戻ってくるときも,大泉学園付近は渋滞していて,通過するのに随分時間がかかった.保谷駅付近も例によって道が狭くて歩行者も多く,気を遣う.なんとかならないのかなぁ,あの辺.

三十路を越えると誕生日なんて正直どうでもいいのだが,奥さんが何かくれるというので,3着ほど夏用のシャツを買ってもらった.会社勤めの方はクールビズが広まってきているとはいっても,そこそこのフォーマルさは求められるようで,暑い時期は特に大変だと思うが,大学教員は普段着で出勤でき(まあスーツの人も結構いるけど),適当にその辺の服を着られて楽である.講義も会議もなければ,誰にも会わないので,Tシャツ,短パン,サンダルで行っても別に非難されることもない(と思う).

東京に戻って今朝は,友部SAで買った藁に包まれた本格的な水戸納豆を食べてみた.パックのやつと劇的に違うのかと思ったら,それほどでもない.ただ,豆の歯ごたえがあって,匂いが少し強めのようである.毎回これを買おうとは思わないが(処理が面倒くさい),中々おいしい.

奥さんは東洋大である研究会に行ってしまったので,私はのんびり家で本でも読んで過ごす予定である.特に健康を害することもなく,仕事や家庭で悩みもなく,のほほんと生きていけることに感謝をせねばならない,とまた一つ歳を重ねて一応思ってみる次第である.

2009年6月9日火曜日

WWDC

昨日はAppleのWWDCということで,いつも通り仕事を終えて帰宅後,その模様をネットで視聴してみた.当然スピーカーはSteve Jobsではないので残念ではあるが,内容的にはSnow LeopardとiPhone OS 3.0で盛りだくさんといったところか.私は現状のiPod Touchで満足しているので,新しいiPhoneにすることはないけど,Snow Leopardは良さそうだなぁ.自宅のMacBook(これも今回のラインナップではMacBook `Pro' 13 inになったのね)と研究室のiMacと併せて$49でアップグレードできるみたいなので,しばらく様子をみて評判が良さそうなら,アップグレードしよう.

今日は講義が4時過ぎで終わる日で,時間的に余裕があったので,先日採択通知がきた特定研究課題助成を使って研究に必要な本を選定していた.取りあえずアマゾンで洋書を5冊,生協で和書を5冊注文させていただいた.6万円ほどの出費(今更ながら思うが研究書は高いねぇ).これから粛々と研究を進めたいと思う.

写真は少し前に買って飲んで忘れていたエビスの限定醸造「超長期熟成」というやつ.通常のエビスの2倍の時間をかけて熟成したとのこと.まあおいしいけど,これはエールと解釈していいんだろうか.そうならば他にもっとおいしいイギリスやアイルランドのエールがあるからなぁ.ラガーだとすると通常のエビスやエビスホップの方が好きかなぁ.ちなみにこれを買ったときに,くじを引いたら当たりが出て,キリンの糖質ゼロとかいう訳の分からない発泡酒をもらった.ちょっと飲んでみたけど酷いね,これは.麦茶を炭酸にしたみたいだ.需要があるのかねぇ,こんなものに.

2009年6月8日月曜日

クワガタ

先週土曜の晩,おいしいインド料理が食べたいねと話していて,ネットで検索してみると,田無駅の側に中々評判の良い店があったので,青梅街道を歩いて行ってみた.その途中小さいクワガタが自販機の前をうろついているのを発見.東京とはいってもこの辺は北多摩で大きい木とか公園が多いので,割と普通のことなのかもしれないが,クワガタなんて見たのは久しぶりである(福井でも蛍はよく見たが,クワガタは見たことなかった).

結局インド料理店は混んでいたので,そのすぐ近くにあるタイ料理店に入った.ヤム・ウン・センがものすごく辛かったが,中々おいしい店であった.田無は割と飲食店があるので,また探索してみよう.

そういえば,ネットを徘徊していて,筋少の初期作品がデジタルリマスターで再販されると知った.『SISTER STRAWBERRY』は昔買い逃して後悔してたから,忘れず購入しよう.その流れで横関敦は最近何しているのか調べてみたら,『JET BEST』なる25周年のベスト盤を出していた.『DINOSAUR』とか『SEA OF JOY』とか高校生のときカセットに入れて通学中にウォークマンでよく聴いてたし,欲しいなぁ.iTunes Storeで販売してくれるとありがたいんだけどなぁ.

2009年6月3日水曜日

スパム?

近頃スパムなのか,フィッシングなのか,本気なのか判別しにくいメールをよく受け取る.「あなたの博論を出版しませんか」とオファーしてくるドイツの無名の出版社(少なくとも私は聞いたことない)とか,「linguistlistであなたのことを知りました.ぜひ我々のプロジェクトに参加してください(私の専門に全然関係ない)」とか誘ってくるアメリカの企業とか,「イラクの図書館には本が不足しています.早急にあなたの論文を全部送って下さい」といきなり要求してくる自称イラクの大学教員とか.

こういうのは,不特定多数に同じメールを送っているわけではないし,一応細かい専門領域は知らないまでも私が誰か分かって連絡してきているので,スパムとは言えないのだろう.ただ,何か詐欺めいたものがあるかどうか微妙なので,取りあえずこの手のものは全部無視することにしている.真剣に送ってきているのなら申し訳ないと思うが,やはり頼み方というのがあるだろう.

会ったこともない人間にいきなりメールでコンタクトを取るというのは,結構難しいものである.大学院生の頃,ギリシャ人の友達とケンブリッジの学会で会ったときに意気投合してYork-Essex Morphology Meeting(友人がヨーク大で,私がエセックス大にいたので)というのを立ち上げたことがある.2003年のことである.今思えば,よく学生2人であんなことしたなぁと思うのだけど,イギリス言語学会に資金援助のお願いをしたり,会ったことのない有名な学者たちにも発表に来てもらえないか交渉したので,無礼で無味乾燥になりがちな電子メールを使って,どのようにこちらの誠意と熱意を伝えるかというのを意識した.よい社会勉強になったと思う.

閑話休題.先月さらっと申請した大学内の特定研究課題助成金が採択されたと連絡がきた.ちょうどそろそろまとめに入らないとなぁ,と思っていた研究があるので,それに使わせていただこうと思っている.今年度末までのものだし,そんなに大袈裟な助成ではないので,国内学会で多少発表しようかしら.実は日本語で研究発表したことないんだよな.さて,どうしたものか.国内学会で英語で発表するというのもありなんだろうが,なんか変だしな.

2009年6月1日月曜日

英文学会

先週末は日本英文学会が予定通り東大駒場で開催された.英文学会は,言語学系の発表はそれほどたくさんはないのだが,結構頻繁に参加している(うちの奥さんが英語文学が専門なので,ついでに同行しているという感もあるが・・・).

今回はあいにくの悪天候だったが,開催校が東大ということもあって,結構な参加者数だったようである.私も2日とも参加したのだが,初日は類型論絡みのシンポジウムが中々面白かったものの,2日目は個人的にはなんだか実りの少なくて残念であった.あとは出版社の書籍展示が割とたくさん開かれているので,研究費で3冊(くろしお出版2冊,ひつじ書房1冊)注文して,大学に送ってもらった.くろしおから買った角田太作さんの『世界の言語と日本語:言語類型論から見た日本語』の改訂版と土屋俊さんの『言語哲学コレクション2:心の科学の可能性』は,もう届いていた.まったく毛色の違う2冊であるが,どちらも面白そうで,読むのが楽しみである.

本と言えば,先日話題にした村上春樹の『1Q84』を発売日前に買ったのだが,週末が学会だったので,まだ上巻すら読み終えていない.学生時代なら,大学をさぼって徹夜で読んだだろうが,さすがに今やると仕事に支障が出るので,細切れな時間でぼちぼち読むしかない(それでも寝不足になるのだが).学部生のときに恩師が「学生時代は夢中になって本を読みなさい.それで授業をさぼったって構わない」と授業中に学生に向かって話していたのを思い出す.まったく同感である.多感な時期のむさぼるような読書体験は,そのときにしか得られない財産になる.そんなことができるのは,大学生の時期くらいなのかもしれない.

2009年5月26日火曜日

マスター?

通勤中,西武新宿線の電車内にアサヒが新しく出したビールの広告を見た.取りあえず,新しいビールが出ると飲むことにしているので,買ってみたのだが,う〜んいまいち.ドイツのピルスがどうのこうとうんちくは書いてあるのだけど,なんだか香りに乏しいビールだなぁ.そもそも,私はアサヒのビールでおいしいと思ったことがないので,相性が悪いのかもしれない.一番相性が良いのはサッポロで,エーデルピルス(普段は売っていないが)とエビスはコクと苦みがあっておいしいと感じる.黒ラベルも中々である.キリンも割と好きで,ラガーは余り好みじゃないものの(今は一番搾りの方が主流なのかな),ハートランドは名作だと思う.それらに比べアサヒは,スーパードライも私の舌には味気なく感じるし,熟選もこれがプレミアムビール?という印象である.

ちなみに海外のビールを含めると,ベルギーのステラ・アルトワ(Stella Artois),デンマークのカールスバーグ・エクスポート(Carlsberg Export.日本で売ってる緑の缶ではなく,金の缶のプレミアムバージョン.全然味が違う),オーストラリア・タスマニア島のカスケイド(Cascade)辺りが好み.オランダのグロールシュ(Grolsche),ハイネケン(Heineken),アムステル(Amstel)も安売りしていれば買っていた.アメリカのビールは飲まないけど,例外的にサミュエル・アダムズ(Samuel Adams)は好きで,学会でニューヨークに行ったとき毎晩飲んでいた.Robert B Parkerのボストンを舞台にした探偵小説でよく出てくるビールで,どんな味だろうと飲んでみたらおいしくて,はまったのである.

閑話休題.Michael GazzanigaのHuman: The Science Behind What Makes Us Uniqueを最近通勤電車の中でちまちま読んでいたのだが,やっと読み終えた.450ページ以上ある大部のハードカバーで,毎日鞄に入れて持ち歩くのが重かったが,中々面白かった.基本的にはGazzanigaのオリジナルな研究というより,心の理論(Theory of Mind; TOM)や道徳性(morality),共感(empathy),二元論(dualism),意識(consciousness)などを中心とするヒトに見られる独特の特性について,進化心理学,脳科学,神経科学の最新の知見をまとめた本と言った方がよいだろう.ただ,高等ほ乳類などに見られる同様の振る舞いをまったく無視するのではなく,重要な相違点を丁寧に議論していて,ひじょうに分かりやすい.参考文献も充実していて,それらを追っていくだけで,結構先行研究がカバーできるのもよい.

くしくもNew Scientistで,Gazzanigaとは対立する立場のMarc BekoffとJessica PierceのWild Justice: The Moral Lives of Animalsが今月の新刊として紹介されていた.Bekoffは,動物の心,感情に関する研究の第一人者だが,同時に彼の議論はanthropomorphicだという批判も多い(anthropomorphicで何が悪いと本人は言っているが).まあ機会があったら買って読んでみようと思う.

先日David J Bullerが進化心理学を強く批判したAdapting Mindsが古本屋から届いたので,次はこれを読もうかと思ったが,ハードカバーでGazzanigaの本以上に大部なので,取りあえず置いておいて,本棚に置いて忘れていたWilliam H CalvinとDerek BickertonのLingua ex Machina: Reconciling Darwin and Chomsky with the Human Brainを読むことにした.なんかBickertonの執筆箇所に変なフォントが使われていて読みにくいが,内容は結構面白そうである.

2009年5月25日月曜日

イケベ

月曜日は授業も会議もないので,小汚い格好+髭面(肌が弱いので必要のないときは剃らないのです)で研究室に籠もっているんだけど,今日は贈り物をしなければいけないのを思い出し,帰りに池袋の西武に行ってきました.池袋西武のギフトコーナーって,ブルガリとかの高級品が並ぶところの横にあって,↑のような格好の私は場違いな気がしたけど,ちゃんと丁寧に対応してくれて粗品(洗剤)までいただきました(ありがとう,西武のおばさん).

その後時間もあったので,池袋と言えばあそこだよなと明治通りを歩いてイケベ楽器を覗いてきた.ビックカメラに加えて,すぐ横にヤマダ電機LABIまでできていて,まるで秋葉原のようだったけど(三越跡がさらにヤマダになるらしいですね,やれやれ),イケベは昔のままたたずんでいた.何も買わずに出てきたけど(すいません),あの雰囲気はいいなぁ.

楽器店に関しては,私が高校生だった15年程前は東京とその他の地域の格差は大きかった.私の生息域だった大阪でさえ,心斎橋に石橋楽器と三木楽器(ちょっと高い.梅田にもあった),梅田にナカイ楽器(これまた高い),ワタナベ楽器(狭い)と少し離れた扇町にKEYがあったくらいで,東京ほど選択肢がなかった(まあその他の地域よりは大いに恵まれていたののは重々承知だが).オンユー(心斎橋,梅田)やWEST(心斎橋アメリカ村)のような親切な小規模の店にもお世話になったけど,いつも東京を羨ましい目で見ていた.

当時,私の父親が東京に単身赴任していたので,東京に行く機会があったのだが,その際初めて御茶ノ水の楽器店街を見て,「東京ってすげぇな」と感心することしきりであった.新宿のブートレグ屋街を徘徊して,「うわ,Eric Johnsonが地元テキサスでやったライブ映像があるやん」なんて興奮してたのもこの頃である.

そんなことを思いながらギターを手に取ると,懐かしい感触が蘇ってくる.昔から比べると随分恵まれた環境にいることだし,またちゃんとギターを弾き始めるかなぁ.最近のテクノロジーの発達のおかげで,家に籠もって弾いていても,中々楽しめそうだし.腕も大分落ちているし,昔ほど時間もないけど,やっぱり楽器を弾いているときの快感というのは,他のものには代え難いものがある.

2009年5月23日土曜日

神経科学リテラシー

今日は東大駒場で「神経科学リテラシー」というシンポジウムに出席してきた.新型インフルエンザの影響でどうなるかな,と思っていたが,何事もなく開催されて良かった.朝10時から夕方6時前までと,中々の長丁場だったが,興味深い話が多く,楽しめるシンポであった.

ここ数年,メディアにやたら登場して何でも脳に絡めて与太話をする脳芸能人がいたり,脳を鍛えるとかいう触れ込みのゲームやら本やら訳の分からないものが巷に溢れていたりして,ひじょうに気味が悪い.気味が悪いくらいで済めばいいが,この手の偽科学が広まるのはかなり危険である(子供に見せたくない番組というのを毎年PTAが発表しているが,そこに登場する常連番組より,脳に関する偽科学を扱った番組の方が,教育上遙かに危険だ).

そういう危険を察知してか,東大駒場の科学哲学の人たちが脳科学,神経科学の専門家(脳芸能人ではなく本物の)と,神経科学のリテラシーを高めるという目的で立ち上げたプロジェクトが今回のシンポの主催者の方々である.教科書を執筆し,学部教養課程の学生向けへ導入した試みを初め,脳科学・神経科学と社会との関わり,脳疾患と精神疾患,法体系の再整備,人間観の変化などについての議論も多くあり,想像以上に根深い問題がありそうだという印象を持った.

私自身,法学部に身を置く認知科学者であるので,リーガルマインドと科学リテラシー,神経科学リテラシーとの関わりというのを考えてみる良いきっかけを与えていただいた.普段教えている感触からすると,法学専攻であっても早稲田の学生はそれほど自然科学にアレルギーがないようなので,もう少し社会・法との関わりを感じられるように,脳・認知に関わる諸問題を提示できる方法を模索してみようと思う.

2009年5月20日水曜日

Boot Camp

今日はやけに暑く,うちの近所では光化学スモッグまで発令されていた.そんな中,とうとう東京でも新型インフルエンザの感染者が出た.アメリカから帰ってきたそうだけど,それ以前にもいたんじゃないのかなぁ.神戸,大阪であれだけいて,京都,名古屋,東京でゼロって・・・.要は実態を正確に把握するといったこととは別次元の発表する側の都合なんじゃないかしら.今のところ,私の勤務先の大学がどういう対応を取るのかは不明.今週初めからすでに普段より体調不良で欠席している学生が多いような気が(サンプルが少なすぎて,私の印象だけでは何とも言えないけど).

それはさておき,ネット上の各所で話題になっているけど,先日のMac OS 10.5.7のアップデートでバッファローの外付HDDがMacBookで認識されなくなってしまった.Tigerのときにも同じ事が起こって,当時使っていたMacBook Proで認識されなくて困ったのは記憶に新しい.あのときは電源をマニュアルにして,HDDの電源を入れてからUSB接続することで解消されたのだが,今回はそれでもうまくいかない.

中々アップデートで対応もしてくれなさそうだし,こんなことが頻繁に起こっては困るということで,前からやろうと思っていたBoot CampでMacBookにWindows XPを入れてデュアルブート環境を構築することにした.以前からWindowsのOfficeで作成された事務書類を処理するのに,MacのOffice 2004だと結構レイアウトがずれたりして不都合を感じることが多かったのだ.幸い大学が所有するWindows XPとOfficeのボリュームライセンスで,私のMacBookにインストールできるということなので,メディアを借りてきて,早速試してみた.

パーティションを切った後,Windows領域を一旦フォーマットせずに,そのままインストールしようとして,ちょっと失敗してしまったが(少し前のLinuxとWindowsのデュアルブートじゃないんだから,こんなの楽勝だろうと思って,マニュアルを一切見なかったのがいけなかった.反省),すんなりインストールできた.最初トラックパッドの挙動が摩訶不思議な感じであったが,アップルが提供するアップデートを実行するとまったく違和感なく動くようになった.キーボードで問題を抱える人が多いようだが,私のMacBookは英語キーボードなので,こちらもまったく問題はなかった.

Mac OS使用時に比べちょっと発熱が大きいようだが,今は奥さんの手に渡ったVAIOと同じような感じで快適に使える(CPUもメモリも同じような仕様だから当たり前だが).ちゃんと外付HDDも認識してくれて,ほっと一息である.

追伸:これを投稿した直後に大学からメールが来て(執行部の方々,深夜にご苦労さまです),通常通り講義を行うそうです.発熱等により自宅療養を必要とする学生には特別な配慮をするとのこと(これ,新型インフルエンザに限らないんですよね,当然・・・).

2009年5月16日土曜日

那珂湊

今週末は茨城の別宅(というとブルジョワな響きがするけど,単なる奥さんの住むワンルーム)に来ています.まだこの辺りを探索していなかったので,車で那珂湊と大洗の方までふらっと行ってきました.

夏には東京,埼玉,栃木からの海水浴客で大混雑するらしいけど,今日はそれほど天気も良くなかったし,もう夕方前だったので道も割と空いていた.昼ご飯を食べていなかったので,那珂湊の魚市場の辺りにある久楽というお店で魚介類をいただくことに.私は写真にある刺身定食,向かいの奥さんは久楽丼という海鮮丼.刺身はまぐろ,たこ,はまち,えび,あじのたたきの5点盛りで,どれも口の中でとろけそうなくらい新鮮でおいしかった.しじみの味噌汁も出汁が良く出ていて,満足.他にも色々メニューがあったので,また来てみよう.

その後,大洗の海のすぐ側にあるアウトレットパークに寄る.こちらは中々賑わっていた.私は何も買わなかったが,うちの奥さんは色々と物色していたようである.結局7時過ぎまでうろうろして帰宅.久々に「遊んだ」休日であった.

ネットをチェックしてみると(テレビがないのだ,この家は),新型インフルエンザが神戸,大阪の高校生の間で感染確認とのこと.大学はどうなるのかなぁ.学会も割と多いシーズンだし,関西言語学会は神戸松蔭だよな,今年は.どうするんだろう.

2009年5月14日木曜日

1Q84

村上春樹が今月末に新刊を出すとのことで,予約だけですでにアマゾンに上下巻ともランクインしている.すごいなぁ.我が家も『ウォーク・ドント・ラン』みたいな廃刊のものも含めて,村上作品はすべて揃っており,今回の新刊も楽しみである(私が初めて村上作品を読んだのは小学生のときだから,20年以上も前なんだなぁ).

「村上春樹の新刊」といって思い出すのは『海辺のカフカ』である.私がイギリスで修士を終えたあたりに発刊されて,うきうきしながらbk1で日本から取り寄せたのだが,なんと私の生まれて初めての学会発表(マンチェスター工科大学で開催されたイギリス言語学会)の前日に届いたのだ.翌日は指導教官のAndrew Spencerと朝早くに待ち合わせて,一緒にマンチェスターに向かう予定だったのだが,誘惑に勝てず徹夜して上下巻読んでしまったのを覚えている.まあ,寝てないわけだから,寝坊する心配もなくよかったのかもしれない・・・.

『アフターダーク』も同様にbk1で日本から取り寄せたのだが,届いたときにちょうど奥さん(当時はまだ結婚してなかったが)がイギリスに来ていて,私が細々とした仕事をしている隙に,先に読まれてしまっていたのを覚えている.また,せっかくイギリスにいるのだから,と大学の本屋で英語翻訳版も結構買って,主要作品は全部英語でも読んだものである(The Wind-up Bird Chronicleなんて,John Irvingもびっくりするくらい長かったけど,ストーリーを知っているからか,一気に読んでしまった).

今回の新刊は金曜日発売のようだから,仕事帰りに買って帰って,週末ゆっくり読めるなぁ,と思っていたら,土日が日本英文学会だな.困ったなぁ.金曜日の夜に読んでしまいそうな気もするけど.

そういえば,村上氏は私の現勤務校の出身なんだった.先日,学生が数人『中国行きのスロウ・ボート』を持って,何やら話し合っているのを見たけど,何かの授業で使われているのかもしれない.早稲田はベンチに座って本を読んでいる学生を見ることが割と多くて,自分の学部時代を思い出して嬉しい気分になることがある.電車の中なんかでは,漫画雑誌を読んだり,携帯をいじっていたりする人が多くて,なんだがげんなりするけど,少なくとも大学はそこまで浸食されていないようで,ほっとするひとときである.

2009年5月9日土曜日

フォーラム

今日は日本認知科学会と東大のCoREF共催の「総合学術辞典フォーラム−学問の危機と学問2.0−」というフォーラムが東大本郷であったので,ふらっと参加してきた.場所は赤門を入ってすぐのところにある情報学環の建物で,福武ラーニングシアターという中々ゴージャスなものでありました.ワインが並ぶカフェなんかもあったりして,モダンな感じのする建物.何回か東大本郷には来ているけれど,私の出身大学によって形成された「国立はぼろい」という固定観念を打ち砕かれる.歴史ある建物をきちんと維持し,モダンで綺麗な建物も違和感なく融合させていて,ヨーロッパの大学のようでいい感じである(慶應も私の勤務校の早稲田もこの辺をちゃんと考えていて,キャンパスを歩いていると何となく楽しい).

フォーラムは,昨年度末で東大を退官された原島さんの科学の歴史と今後の方向性に関する話で始まり,産総研の橋田さん,国立情報学研究所の方々の技術的な話があり,最近東大に移られた三宅さんのCoREFの取り組みについての話で終わるという流れで,中々楽しめた.特に原島さんの,パラダイムシフトが起こりえない現在の競争的資金による研究から脱却し,ギボンズ流の2つのモードとは違う第3のモードへの転換へと向かうというくだりは,研究者の端くれとしては,中々ぐっとくるものがあった(と言いつつ第1のモードでちまちま研究するのがやっぱり好きなんだけど).三宅さんは東大前総長が提言して始まった俯瞰講義について触れておられたけれど,もう少し時間がたって成果が見えてこないと,認知科学的な学習という観点からのつっこんだ話は難しいのかな,という印象はあった.始まったばかりだし,これからでしょうね.

分野横断的にそのつながりを見えるようにするという俯瞰講義の理念はひじょうによく理解できるけど,東大とはいえああいうのを学部1年生に導入するのは,中々難しいだろうなぁ.自分の経験を顧みても,取りあえず興味のあることをひたすら追求して,何か自分なりに研究と呼べるものを生み出すことから始まって,ふと周りを見渡し,なんとなくその周辺とのつながりが見えてくる,というのがむしろ普通なんじゃないかという気もする.そこから,とめどなく興味が広がっていくのが研究の面白さでもあるのだろうし.もちろん,ほとんどの人は研究者にはならないわけだし,学部生にも学問の輪みたいなものを実感してもらえたら,素晴らしいのだけど.

2009年5月4日月曜日

ダーウィン

先日richarddawkins.netで注文していたThe Genius of Charles DarwinのDVDが大学に届いていた.今年はダーウィン生誕200周年,『種の起源』出版150周年ということで,色々なところで進化論が取り上げられているが,地元イギリスでもオックスフォード大学のドーキンスがChannel 4で特番をやっており,それをDVD化したものである.ドーキンスはCharles Simonyi Professorの任を昨秋解かれたようだが,まだ積極的にメディアには登場しているようで,喜ばしい.

3部構成の割と長いドキュメンタリーだが,連休中で時間が取れたので,全部見ることができた.第1部はダーウィンの自伝的な話と,自然選択を含めた進化論の概要を紹介するのが主な内容.ダーウィンが進化論へ辿り着くまでの過程を丁寧に説明している.ライエルの『地質学原理』(Principles of Geology)からのインスピレーション,マルサスの人口論から得た自然選択へのひらめき,徹底したempiricalなアプローチ,どれもよく知られたものだが,明快で分かりやすく提示されていて,感心する.ロンドンの高校生(親の宗教上,創造論に毒されている学生が多い)にレクチャーしたり,ガラパゴス島に連れて行ってアンモナイトの化石を一緒に探したりという場面もあり,最後はその高校生たちが心境の変化を語って締めくくられる.

第2部は,Social Darwinism(進化経済学,ナチズムを含めた優生学(eugenics)など)に見られる安易な進化論へのアナロジーや誤解に対する批判,ヒトの心に関する進化論的アプローチとして進化心理学の概要が紹介される(ピンカーが第一人者としてインタヴューされていた).性選択(sexual selection),血縁選択(kin selection)といった現代進化論の重要な概念も導入され,ドーキンスが利己的な遺伝子(selfish gene)を提唱するに至った利他主義(altruism)の問題も取りあげられる.それと同時に,ヒトの親切心,道徳性という特異な利他性は利己的な遺伝子理論では説明できないもので,むしろ高度に発達した脳の利己的な遺伝子への反旗的な振る舞いである,という近年のドーキンスの見解も披露される.

第3部はドーキンスの本領発揮というか,おなじみの進化論vs創造論である.奥さんが敬虔なキリスト教徒であったダーウィンの苦悩,彼が抱いていた将来科学が世界を正しい道へ導く事への期待,それに反して創造論がいまだにはびこる現状が紹介される.例によってあきれるくらい無知でくだらない創造論者がたくさん登場する(人の話を聞かないところが,日本のテレビで醜態をさらす元社民党議員をどことなく思い起こさせるWendy Wrightやら,地球が誕生から6,000年経っていないとのたまう科学の教師などなど).一番穏健だったのがArchbishop of Canterburyだったのがなんとも皮肉なことである.ドーキンスとは違った視点から進化論を語る哲学者で,Darwin's Dangerous Ideaの著者であるデネットも後半に登場する(もう余命長くないとのこと).

全体を見て,いつも抱いている思いを一層強くさせられるDVDであった.日本はそれほど創造論がはびこっている国ではないが,slippery slopeは至る所にあると私は思っている.メディアには超自然的,オカルティックなものが多く登場し,優秀な大学生でも霊,占い,縁起などを信じるものが結構な数いるくらいである.欧米や中東,南アジアのように強く生活に密着した宗教がない分,その代替物に足をすくわれ易いこのような状況は余計に危ういとも言うことができる.90年代のオウムによる一連の事件のようなことを再び起こさないためにも,科学的思考法,科学リテラシーとはなんたるかを学生にきちんと伝えるというのは,我々のような大学教員の重要な役割なのだと強く思わずにはいられない.

2009年5月3日日曜日

Mazda3

まだ新型インフルエンザの脅威は去っていないようだが,外界とあまり接触を持たない我が家はいたって平穏である.先日までは一応警戒してイソジンでうがいをしていたのだが,かえって喉の調子が悪くなるのでやめた.ネットで調べてみると,どうもイソジンは割ときつい消毒剤で喉の細胞まで破壊するおそれがあり,健康なときに使うとかえって有害だ,という意見もあるようだ.水道水の方が軽い塩素が入っていて予防効果が高いという実験結果もあるようなので,今までの習慣通り水道水に戻した.

あえて外出したと言えば,マツダに行ったくらいか.前からオイル交換をしなければいけないと思っていたのだが,こちらに引っ越してきてから中々時間が取れず,今日初めてこちらのディーラーにお世話になったのだ.随分丁寧な対応で,担当営業,担当整備士,所長まで挨拶に来て,逆に恐縮してしまった.今のアクセラに乗り始めて2年半,走行距離も5万キロ弱なのだが,「新しいアクセラが6月に出ます」とカタログを渡された.正直新型は微妙だなぁ.フロントグリル以外あんまり変わっていないような気がする(アテンザに似せすぎてるような気も・・・).取りあえず今の車に不満はないし,10万キロは乗りたいので,「オートマチック車を買う気はないので,今後もマニュアル仕様をなくさないで下さい」とだけ要望を出しておいた.

外界(?)とのその他の接触は,警察が家にやってきたくらいか.我が家はほとんど来客がなく,休日にチャイムが鳴るとすると,宗教か新聞の勧誘くらいなので(もちろんどちらもインターフォン越しに断る),「xx警察署の者ですが,ちょっとよろしいですか」と言われて,少しびびってしまった.出てみると「巡回連絡カード」なるものの記入のお願いだった.

素直に記入して渡したけど,ネット上にはこの個人情報収集のやり方に反感を持つ人も多いようである.まあ私の場合,職業柄勤務先や年齢なんて名前でググればすぐ分かってしまうので,あの程度の個人情報を書くことにあまり違和感はない.むしろ警官が巡回することで不審者が近所に住む防波堤になるのなら歓迎したいくらいなのだが,個人情報に対する考えが甘いのだろうか・・・.地元の人間がみんな顔を知っている,まさに文字通りの「お巡りさん」がいて,ある程度お互いの情報共有があった方が,見通しの良い安全な地域になりそうな気もするのだが.

2009年4月28日火曜日

意識

世間は豚インフルエンザ(swine flu)の話題で持ちきりである.日本に感染者が出た時点で,私の大学は全学休講,立ち入り禁止になるとの通達が出たけれど,今日は通常通り.ちょうど良い(?)ので講義でもパソコンでswine flu関係のBBCニュースを流したりしてみた(ついでにYou swine!なんて表現も教えておいた).

帰宅時にブルーレットおくだけを買うため薬局に寄ると,普通のマスクがほとんど全部売り切れていて,ウィルス防御マスクだけが少し残っていた.普通のマスクだと飛沫感染は防げても,ウィルスは簡単に通り抜けると思うんだけど,ウィルス防御マスクは高いからみんな気休めで普通のマスクを買うんだろうか・・・.

この手の感染症で記憶に新しいのはSARSである.当時,私はイギリスで大学院生だったのだが,広まったのが長期休暇中で,私のいた大学は留学生が多かったので,休暇が終わって香港を中心とするアジア諸国から留学生が戻ってきたら危険なんじゃないだろうか,と心配したものだった.テレビでもBBCだったかChannel 4だったかが,SARS--Killer Bombなんていう怖いドキュメンタリーを放送していて,かなり恐怖心をあおられた.

もう少しさかのぼると,留学初年度の2001年に学内でノロウィルスが流行ったこともあった.夏にイタリアから中学生くらいの語学留学生がたくさん大学に来ていたのだが,その子たちの間でまず流行だし,全学に広まった.フラットメイトが感染して,ずいぶん酷い目にあっていたが,私は結局大丈夫だった.さて,今回はどうなることやら.

先日授業でFirst Wordを著したChristine KenneallyがNew Scientistに載せた論文(記事?)を読んだこともあって,彼女についてネットで調べてみるとAuthors@Googleの1つとして彼女のトークがYoutubeにあったので見てみた(ちなみにChomskyやPinker, Jackendoffのトークも同じAuthors@Googleシリーズで見ることができる).

彼女はメルボルン大学でBA,ケンブリッジ大学でPhDを取った言語学の専門家だが,大学の教員や研究所の研究員にはならずに,サイエンスライター,ジャーナリストになった才女である.自然科学,社会科学,人文科学どの諸分野も,程度の差はあれ細分化され専門家されているので,専門外の人々向けに自分の研究領域について語るというのは中々難しいのであるが,彼女の語り口は専門家の目から見た学術的正確さと門外漢の人にも理解できる明快さのバランスがうまく取れており,その能力の高さが伺い知れる.

「言語」というのは,身近な存在ということもあって,比較的一般の人々の興味を誘いやすい領域ではあり,彼女のような人がライターとして活躍し,Pinkerの本がベストセラーになるのもうなずける.他方日本では各出版社からは様々な言語に関する新書に類するものが出版されているにもかかわらず,「言語学」の中身はちっとも一般に浸透していないし,大学においてですら欧米で言うところの言語学科,認知科学科にあたるものもほとんど存在しない.だから結局fMRIなんかを使って脳科学的な側面から研究しても,「外国語習得には年齢は関係ない」というような俗物的・即物的な研究しか話題にならないのだろう.問題なのは研究をしている側ではなく,研究を取り上げる側,受け止める側の意識だろう.

2009年4月24日金曜日

TIPA

今週も無事終わった.金曜日が終わるとほっと一息,という感覚は最近芽生えたものである.ここ10年くらいは土日も平日もあまり変わらず研究室にいるという日々が多かったので,金曜が終わっても「あっ,明日,明後日は授業ないな,ラッキー」くらいの感覚だったのだが,最近は土日は体を少し休めようと思うようになってきたということか.

研究室のiMacはもうフル稼働している.以前MacBook環境整備で備忘録を書いておいたので,色々設定したり,ソフトを追加するのに,いちいち何をするか思い出さなくて済んで楽だった.さらにDropboxのおかげで,いちいちMacBookからコピーしてこなくてよいのも大きい.このストレージは本当に秀逸だと思う.Jammingの後継辞書ソフトのLogophileもOS Xと親和性があって中々良いソフトである.

ひとつTeX関連で気付いたことは,TIPAを入れるときのtipa.mapの場所がどうも間違っていたらしいとのこと.dvipsのときにどうもtipa.mapを読めてないなと思っていたのだが,私の入れているTeXの最新バージョンでは,TIPAのマニュアルに書いてある通り$texmf/dvips/configの中に放り込むのではなくて,$texmf/fonts/map/dvipsの中に適当にディレクトリを作って,そこに入れておくのが正解のようだ.これでupdmap --enable Map tipa.mapとすれば大丈夫の模様.備忘録としてここに書いておこう.

2009年4月22日水曜日

iMac到着

今日は快晴であった.気分も晴れやかだったので,研究室に彩りを加えるため,観葉植物を家から持って行った.元々前の研究室に置いていたものの1つなのだが,引っ越しの際に自宅に移していたのである.鉢植えを手に電車に乗るのは奇妙な感じだったが,植物が目に入ると殺風景な研究室でも気分が休まって良い.

研究室に入ると,大学生協から留守電が入っていて,注文していたiMacとブラザーのレーザープリンタが入荷したとのこと.早速電話をして夕方に持ってきてもらうことに.大学教員の多くは講義やら会議やらで研究室にいないことも多く,代わりに電話を取ってくれる人もいないので,研究室の電話に留守電がついているとひじょうに便利である.研究に没頭しているときは,居留守を使っても用件が分かるし(冗談ですよ).

午後の会議が予定通り2時間で終わって,しばらく研究室にいるとiMacとプリンタがやってきた.24インチというのは思ったより大きい.当初は,もう1つ縦にしたディスプレイを繋げてデュアルディスプレイ環境にしようかと思ったが,ここまで大きいならこのままでよさそう.設定はまだまだできていないけど,とりあえずDropboxを入れてみた.福井の時は自宅のネット環境がしょぼすぎて使う気にもならなかったが,今は自宅,研究室ともに高速回線だから,気軽にファイル共有できる.自宅のMacBookにも入れて使ってみたけど,実に快適.もうUSBメモリにファイルを入れて持ち運ぶ必要もない.ウェブでもアクセスできるから,iPod touchでDropboxに入れた書類や論文を見ることもできる.何よりFinderでまるでローカルに保存してるかのように使えるのがうれしい.そのままDropboxのフォルダ上でtexファイルをコンパイルしても何の問題もないのだ.SSHで大学のストレージにファイル転送して共有していたことを考えると隔世の感である.

あとは,明日以降iMacに細々としたソフトを入れなければならない.Jammingの後継ソフトLogophileが出て,Jammingのライセンスを持ってる人は優待価格で使えるそうなので,こちらも試してみようかな.Leopardは付属の辞書ソフトが結構いけてるので,どれくらい使うことになるかは分からないけど.
 
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