ちなみに海外のビールを含めると,ベルギーのステラ・アルトワ(Stella Artois),デンマークのカールスバーグ・エクスポート(Carlsberg Export.日本で売ってる緑の缶ではなく,金の缶のプレミアムバージョン.全然味が違う),オーストラリア・タスマニア島のカスケイド(Cascade)辺りが好み.オランダのグロールシュ(Grolsche),ハイネケン(Heineken),アムステル(Amstel)も安売りしていれば買っていた.アメリカのビールは飲まないけど,例外的にサミュエル・アダムズ(Samuel Adams)は好きで,学会でニューヨークに行ったとき毎晩飲んでいた.Robert B Parkerのボストンを舞台にした探偵小説でよく出てくるビールで,どんな味だろうと飲んでみたらおいしくて,はまったのである.
閑話休題.Michael GazzanigaのHuman: The Science Behind What Makes Us Uniqueを最近通勤電車の中でちまちま読んでいたのだが,やっと読み終えた.450ページ以上ある大部のハードカバーで,毎日鞄に入れて持ち歩くのが重かったが,中々面白かった.基本的にはGazzanigaのオリジナルな研究というより,心の理論(Theory of Mind; TOM)や道徳性(morality),共感(empathy),二元論(dualism),意識(consciousness)などを中心とするヒトに見られる独特の特性について,進化心理学,脳科学,神経科学の最新の知見をまとめた本と言った方がよいだろう.ただ,高等ほ乳類などに見られる同様の振る舞いをまったく無視するのではなく,重要な相違点を丁寧に議論していて,ひじょうに分かりやすい.参考文献も充実していて,それらを追っていくだけで,結構先行研究がカバーできるのもよい.
くしくもNew Scientistで,Gazzanigaとは対立する立場のMarc BekoffとJessica PierceのWild Justice: The Moral Lives of Animalsが今月の新刊として紹介されていた.Bekoffは,動物の心,感情に関する研究の第一人者だが,同時に彼の議論はanthropomorphicだという批判も多い(anthropomorphicで何が悪いと本人は言っているが).まあ機会があったら買って読んでみようと思う.
先日David J Bullerが進化心理学を強く批判したAdapting Mindsが古本屋から届いたので,次はこれを読もうかと思ったが,ハードカバーでGazzanigaの本以上に大部なので,取りあえず置いておいて,本棚に置いて忘れていたWilliam H CalvinとDerek BickertonのLingua ex Machina: Reconciling Darwin and Chomsky with the Human Brainを読むことにした.なんかBickertonの執筆箇所に変なフォントが使われていて読みにくいが,内容は結構面白そうである.