2010年12月6日月曜日

Hard Rock Cafe Ueno

久々の更新でまた食べ物の写真.Hard Rock Cafe UenoのカリフォルニアバーガーにSamuel Adamsである.Hard Rock CafeはEdinburghとLondonでは行ったことがあるのだが,日本で行くのは初めてである.コストパフォーマンスは決して良いとは言えないが,味は悪くないし,何よりSam Adamsが飲めるというのがうれしい.

私にとってSam AdamsといえばRobert B Parkerのボストンを舞台にしたSpenserシリーズで主人公のSpenserが愛飲しているビールである.アメリカのビールはBudもCoorsもラガーのくせに甘くて好きではないけど,このSam Adamsは所謂エール的な甘さなので見つけると飲んでいる(日本やヨーロッパではほとんど見かけないけれど).

そんなビールを愛飲するSpenserは,作品と一緒に歳を取る主人公で,初期の70年代の作品ではボクシングを引退した凄腕探偵で若々しかったのだが,2000年以降は年齢的には初老と言ってもいいくらいであった(相変わらずケンカ最強で凄腕ではあったが).このSpenserは料理もうまく,日本限定ではあるが『スペンサーの料理』なんていう,作中に登場した料理のレシピ本と酒ガイドまで出版されているくらいである.このままいくと後期高齢者になるぜ,と思っていたのだが,今年1月に作者のRobert B Parkerが亡くなってしまって,Spenserも幾分歳は取ったが敏腕探偵のまま歴史に残ることになった.

元々Spenserシリーズを読み始めたのは,まだ小学生の頃で,親父に何か面白い本はないかと聞いたときに勧められて,はまったのである.高校の終わり頃になると,英語のペーパーバックで読むようになって,ずっと新刊が出るたびに読んでいた.そんな愛読する作家が1人いなくなるというのは,結構さみしいものである.最初に英語のペーパーバックで読んだA Savage Placeは,今見ると一晩で簡単に読めてしまいそうなくらいだが,当時は結構時間をかけて頑張って読んだことが思い出されて,ちょっとしんみりしてしまう.

2010年11月18日木曜日

eps

このブログ記事をちょっと前にアップしたと思っていたのだが,どうもアップし損ねていた模様.なので,ちょっと前の写真だけれど,大手町つばめグリルのビール(大)である.我々夫婦は時々大手町の丸善に洋書をあさりに行くのだが,ついでにご飯を食べるとなると,色々考えるのが面倒なので,すぐ上にあるつばめグリルに入ることになる.何を食べても結構美味しいし,何よりインパクトのあるビール(大)が飲めるのがうれしい.こいつは1リットルもあって,グラスではなく厚い陶器なので,飲んでると腕が疲れるくらい巨大なのだが,他では飲めないので,なんだがそれだけで心がうきうきするものである(実は私はレーベンブロイがそれほど好きではないので,中身はハーフ&ハーフだったりするのだが).先に出てくるソーセージとザワークラウトで半分くらい飲んで,ハンバーグで残りを飲み干すと,もうお腹いっぱいである.

閑話休題.久々にLaTeXネタを.今年もせっかくなので紀要に論文を書くことにしたのだが,世間のほとんどの印刷所同様LaTeXの入稿が不可能である.PDFもだめなので,MS Wordで仕方なく入稿することになる.その際の,LaTeX文書からMS Wordへの変換の作業の効率化のための個人的ノートを書いておこうと思う.

まずLaTeX2rtfが必須.ちょっと前まで,それほど変換の精度が良くなかったのだけれど,最近のバージョンはかなり強力で,地文はセクション分けもイタリックやスモールキャピタルなどのフォント指定も問題なく変換してくれるし,参考文献も大丈夫である.一応出力はリッチテキストだが,MS Wordで保存し直せば大体問題はない.

あとは難所の例文と図表である.例文はもう諦めて,手打ちするしかない.図表は私の場合,treeとAVMだが,こいつはMS Wordでやると大変面倒くさい(もちろん方法は知っているが,あんなことするくらいなら,最初からLaTeXで書かないほうがよい).そこで画像にして入稿することになる.私のあまり多く無い経験からいくと,やはり画像はepsで提供するのが無難なようである(さすがにIllustratorが使えない印刷所はないだろうし).

ということで,せっせとtreeやAVMを1つ1つepsファイルにしていく.具体的には,以下のようなtexファイルにソースを書いて(コピーして),コンパイルしてdviを作る.

\documentclass{article}
\usepackage{必要なものを}

\begin{document}
\thispagestyle{empty}
ここに図表のソースを
\end{document}

その後,以下のような感じでdvipsしてやると,図表だけのきれいなepsができあがる.

dvips -E hoge.dvi -o hoge.eps

これで生成されたepsファイルを上述のテキスト部分のMS Wordファイルと一緒に入稿すればよい.やりたければMS Wordファイルにepsを挿入することもできる(Macだととてもきれいに表示されたのだが,試しに同じファイルをWindowsで開いてみたらおぞましいガビガビの画像になっていた.OSの質の差か...).

で,入稿後,結局「図表はフォントの統一性などもあり,こちらでもう一度作らせていただくかもしれません」というメールが来たりするのだけど... まあ,もちろんありがたいんですけど,本当はこの辺は前もって細かく打ち合わせた方がいいのかもしれない(そういう立場にないので,何ともできないのだけれど).

2010年11月8日月曜日

PACLIC 24

2ヶ月くらい様々な事情で更新をしていなかったので,リアルで接触のない人にはついに逝ったかと思われているかもしれない.一応まだしぶとく生きています.

9月,10月と色々なことがあった気がするけど,いざ振り返ると10日ほど前の10月末にタイトなスケジュールの中無理矢理温泉に行ったことくらいしか思い出せない.大したことではないが,前回の熱川のように渋滞に巻き込まれる失敗はするまいと,奥さんの住む別宅のひたちなか市からスルッと北上していわき市の(なんでどこもかしもひらがなの地名なんだ)いわき湯本温泉に行ってきたのである.

ちょうど台風が直撃していたのだが,前任校で吹雪の中,別のキャンパスまで毎週100kmの道のりを車で往復して教えに行っていたことを考えれば,そよ風みたいなものである.温泉は湯の質も良く,料理もアンコウ鍋や地元名産目光の唐揚げを,地酒の大吟醸と一緒にいただいて,大変満足.帰りは高速ではなく地道を台風で荒れる太平洋を横目に,日立帝国を通過する道のりをゆっくり走ってきて,中々楽しかった.東京に来てから,冬にタイヤをスタッドレスに交換しなくなったので,しばらく雪が降りそうな地域にはいけないのが残念である.ジャッキアップして,自分でせっせとタイヤ交換していたのが懐かしい.

そして先週末は東北大学でPACLIC 24であった.私はプログラム委員長ということで,主な仕事は学会前に終わっていて,当日はゆっくり楽しもうという魂胆だったのだが,まあなんだかんだで色々忙しかった.とりあえず表面上は大きなトラブルもなく,無事終わったので一安心である.裏方で東北大の大学院生の皆さんがよく動いてくれて,とても助かった.アジアからの留学生もたくさんいて,雰囲気も良く,てきぱき働くのを見て,中々微笑ましいものがあった.もう少しゆっくり皆さんと話す時間があれば良かったのだけど.

役割上,学会前に発表者と色々やり取りすることがあり,実際それらの人たちと直接会って,話すことができたのはとても楽しかった.元々イギリスにいるときから,この手のことはよくやっていたのだけど,帰国後しばらく孤立した環境にいたので,再び学会運営を通じて様々な研究者と交流を持てるようになったのは喜ばしいことである.あと,東北大で研究員をやっているイギリス人が,お互い院生時代に何度か学会で顔を合わせていた人で(彼は当時オランダの大学にいたのだが),実に7, 8年ぶりに再会できてとても懐かしかった.シンガポールでしばらくポスドクをやった後,東北大でもう1回ポスドクをして,今は研究員ということだけれど,相変わらず私には全然ついていけないゴリゴリのformal semanticsで,思わずニンマリしてしまった.

あとは余談としては,韓国からきた人に,ホテルのテレビをつけるとよく早稲田の野球選手が出ているけどなんでなの?と聞かれたり(斎藤君のことだろう),香港から来た人に,村上春樹本に載っていた観光コースに従って早稲田大学界隈を歩いたと言われたり,研究とは別の意味で早稲田の影響力を実感したりして.

11月はあと日本英語学会も日本言語学会もあるし,割と色々なところに出没することになりそう.気づけば休日が1日もない月だけれど,まあカレンダー上は休みの週末も休むことは稀なので,あまり変わらないのかも.

2010年9月10日金曜日

iPad出張

前回のブログでイギリスに出張中にも細々とした仕事をしていたと書いたが,今回は実はMacBookは持って行っていない.ロンドンで滞在するホテルでも,リーズに向かう電車の中でも,学会会場のCollegeでもwifiが使えることが分かっていたので,iPadとリュウドの折りたたみキーボード,写真取り込み用のiPad Camera Connection Kit,それにiPadをプロジェクタにつなぐDock Connectorだけで済ますことにしたのである.

リュウドのキーボードは中々秀逸なもので,軽量かつコンパクトで,bluetoothで簡単にiPadとつながるので,大変使い勝手が良い.簡単な文書なら,もちろんタッチパネルキーボードで充分なのだが,仕事上ちょっとした長文のメールを書く必要があるときなんかは,こいつを取り出してぱたぱた入力すると,とても快適である.普段使い慣れた英語配列というのもありがたい.以下のような感じで専用ケースもついている.
iPadはノートPCと違い常時起動しているので必要なときに即使うことができる,且つバッテリーの持ちが良い(10時間)ということで,出張先で細々した仕事をするには,本当に役に立った.iAnnotate PDFでPDF原稿の校正もできるし,飛行機の中で論文が読めるのもうれしい.ただ,空港のセキュリティチェックで鞄から出さなくても良いとの謳い文句であったが,Heathrowでは「iPadが入っている」という言うと,「出してくれ」と言われた(成田では何も聞かれなかったので,鞄に入れたまま通して問題がなかった).

一点戸惑ったのは,メールでファイルを添付したいときである.iPadやiPhone/iPod touchの標準のメーラーは,そもそもファイル添付機能がないので,書類等をメールで送るとき困る.SafariでGmailにアクセスしても添付はできない.そもそも標準のiPadの仕様では,可視的なディレクトリでファイルを管理するようになっていないので,ちょっと不便である.解決策としては,Dropboxのアプリを入れておいて,必要な書類はすべてそこに保存しておく(私の場合,普段からそうしているので問題ない).いざ添付ファイルとしてメールで送るときは,wifi環境下でGoodReaderからConnect to ServersでDropboxにアクセスして,ファイルを取ってきて,Manage FilesからE-mailを選ぶと,添付ファイルとして送ることができる.この辺りの手順は知らないと途方に暮れるかもしれない(Air Sharing HDを使っても良いようだ).

プレゼンにiPadを使う場合,Dock Connectorでプロジェクタにつなぐことになるが,これは単に画面を出力するわけではないので,アプリが対応している必要がある.私の場合,LaTeXのBeamerでPDFのスライドを作るので,PDF Presenterというアプリを使っている.CloudReadersでも可能なのだが,割と落ちることがあるのであまり使いたくない.PDF Presenterは,映写しているスライドの前後のスライドを見ることができるのもありがたい.

問題は,iPadでLaTeXをコンパイルすることが現状ではできないため,直前にちょっとスライドを変更というようなことが不可能というのがある.出発前にすべて完成させておかないといけないのである.「飛行機の中で,最後の仕上げをしよ♪」とか「発表は3日目だから,学会中ホテルで完成させよう☆」とかいうことができないのが,いろんな仕事で忙殺されて事前に充分な準備時間が確保できない人にはちょっと辛い.Keynoteを使っている人は,iPadにもアプリがあるので可能だと思うが,私はLaTeX以外でスライドを作るのはちょっと難しいので,悩ましいところである.誰かがiPadでLaTeXを動かせるようにしてくれることを切に願う(TeXShop for iPadなんて,誰か作ってないのかな.10,000円でも買うけど).

2010年9月9日木曜日

LAGB2010

9月初めにイギリス言語学会(Linguistics Association of the Great Britain; LAGB)がリーズ大学で開催され,ふらっと発表しに行ってきた.出発前も学会中も細々とした仕事があって,ぱちぱちとメールを書いたりして,多少落ち着かない感じはあったけれど,学会自体はとても楽しかった.

最後にLAGBで発表したのは,2005年のケンブリッジ大学のときだから実に5年振りの参加である.ちなみにMAのときの生まれて初めての学会発表もLAGBで,今は亡きマンチェスター工科大学(University of Manchester Institute of Technology; UMIST)で行われた2002年秋季大会であった(当時は春と秋,年2回開催されていた).その次の2003年春季のシェフィールド大学でも発表したので,ある意味大学院の研究の進捗の目安のとしてLAGBで発表してきたとも言える.もう1つの目安は国際LFG学会で,こちらは2003年米国ニューヨーク州のSUNY, 2004年ニュージーランドのカンタベリー大学,2005年ノルウェーのベルゲン大学で発表して,それ以来ご無沙汰である(要は日本に帰国後,早稲田に移るまであまり発表してこなかったということか...).

今回は,初日にHenry Sweet LectureとしてMax Planckの大物Stephen Levinson,最終日にLinguistics Association Lectureとしてこれまた大物のJoan Bybeeの招聘講演があったので,うきうきである.Levinsonのトークは,言語のinfrastructureについてで,cultural productとしての言語という観点から,類型論的,進化論的な議論を展開していて,大変面白かった.同日のワークショップでも同じくMax PlanckのNick Enfieldが同種のトークをしていて,こちらも中々良かった.Bybeeの方は,exemplar-based model (Usage-based model) として彼女が昔から主張している,言語使用における各表出形式のトークンの頻度の重要性や使用状況とペアにした記憶のメカニズムなどを,実例とともに丁寧に議論していた.どちらは所謂機能主義的な立場からの話だったので,チョムスキー派の人々にはあまり楽しくないトークだったかもしれないが(後からパブで聞いたところによると,UCLの某H v K氏は相当不満だったようである),広い意味での認知科学的なアプローチとして,とても興味深い話で勉強になった.来年はMark BakerがHenry Sweet Lecturerの予定ということなので,チョムスキーな人たちは来年楽しめば良いのではないだろうか.


学会も無事終わり,割と古くからの仲になるSurrey Morphology Group (SMG)の2人とナイロビでフィールドワークをしているSILの人と,タクシーに乗り駅前に行き,パブで飲んで,街をちょっとぶらぶらして,一緒に電車でロンドンに戻った.

ロンドンではEuston Squareの横のホテルに止まっていたのだが,翌日空港に向かうため地下鉄に乗ろうとすると,イギリス日曜名物engineering workでCircle LineとHammersmith & City Lineが動いてなくて,結局Victoria Lineで南に下って,Oxford CircusでBakerloo Lineに乗り換えて再度北上してPaddingtonに行く羽目になった.何のためにEuston Squareにホテルをとったのか分からないが,まあイギリスらしいと言えば,そうである.

空港に向かうHeathrow Expressの中では,アンケートに協力してくれと言われて,色々質問に答えた.「いつも思うけどたった15分の道のりで片道18ポンドはねぇだろ.高ぇよ.学生時代は絶対乗らなかったね.いつもPiccadilly Lineで行ってたよ」と言いたいところだったが,最近の円高でなんとなくお得感もあったので,細かい質問に答えた後,
まあfastでgoodなサービスなんじゃない,と無難な全体の感想を述べておいた.

帰国して,BBCを見てみるとtubeのストライキのニュースをやっていた.まあ,これに巻き込まれなかっただけでも幸運だったと言えるかな.さすがイギリス(まあこういうところが案外好きだったりするのだけど...).

2010年8月20日金曜日

モルツ・ザ・ビター

バタバタしているうちにお盆も終わってしまった.去年同様,大阪にある奥さんの実家に行っていたのだが,一時期は「もうだめか」と思われた犬が,目を疑うような復活を遂げていて驚いた.依然として色々健康上の問題はあるが,雑種というのは強いもんである.大阪では,特に目立ったこともせず(昨年末のように義父と浴びるように酒を飲んで記憶をなくすこともなく),ぼーっと3日間過ごして,東京に戻ってきた.

それにしても連日正気の沙汰とは思えない酷暑である.私は気楽な服装で,冷房の効いた室内に籠って仕事をしていればいいので,とても恵まれていると思うが,ネクタイを締めてスーツの上も着て,炎天下の中,営業などに回っている人を見ると本当に同情する.ああいう恰好で来られると顧客も見ているだけで暑く感じると思うのだが,半袖にノーネクタイかニットタイではいけないのだろうか.あれではまるで我慢大会のようである.帰宅時の電車も結構悲劇的な匂いが漂っているし.

そんな暑いときにはビールである.新しいビールが出ていると飲んでみることにしているので,先日やまやで見つけたモルツ・ザ・ビターを買ってみた.どうもこのモルツはイオン系の店でしか売っていないようで,昨年も限定発売されていたそうな.最近はプレミアムモルツは好調なようだが,普通のモルツの方はぱっとしない.昔は,居酒屋なんかでもモルツの生を出す店がもっとあったように思うが,近頃はあまり見ない.よく考えてみれば,和久井映見が「うまいんだな,これが」とCMしていたのは,もう15年近くも前である.私は,モルツはちょっと薄いというか水っぽい感はあるが,味は割と好きなので,このビターも楽しみにして飲んでみたところ,期待通り中々良い.サッポロのエーデルピルスとまではいかないが,こういう苦味がガッツリくるビールは好感が持てる.限定発売とか言わず,ずっと売って欲しいものである.

2010年8月18日水曜日

真鯛

先週は大学も一斉休業期間であった.去年は研究室が古い建物で工事をしていたせいか,休業期間は1週間停電断水で大学に来ることはなかったのだが,今年は一応研究室も使用できた(不便であるのに変わりはないが).一斉休業前は,今年はオープンキャンパスの模擬講義担当だったので,40分ほど認知科学としての言語学と言語類型論を絡めた話をしてきた.果たして法学部を志望している高校生に,どの程度面白さが伝わったかは分からないが,まあ現在の私だとあんなところだろう(終わった後,質問に来てくれた学生がいたのはうれしかったが).

こういう機会があると,一般向けに言語学を紹介する試みにはどういうものがあるのか気になるもので,研究室の本棚をぼんやり眺めていたのだが,実のところあまり一般向けの良い言語学の本というのはないのではないかという気がする.ネット配信されている映像でも,Steven PinkerのTED talk(すっかりLFGから離れてしまって寂しい)や以前このブログでも紹介したChristine KenneallyのAuthors@Googleのtalkなんかも改めて観てみたが,やはりちょっと一般向けと言うにはテクニカルだし高度である.書籍では,PinkerのLanguage Instinctはよく勧められているが,あれも予備知識なしで読むにはハードルが高いようだ(イギリスでTAをしているとき,学部1年生に勧めたら,意欲的な学生数人から質問の嵐を受けた).ということで見ていくと,Mark BakerのThe Atoms of Language(郡司隆男訳『言語のレシピ』岩波書店)が一番ましかもしれない.化学とのアナロジーに若干無理があるし,P&Pのパラメータを強調している辺りが不満だけれど,その辺のテイストを薄めると,認知科学的な言語類型論という視点で中々秀逸である.他には専門書ではあるけれど,Daniela Isac & Charles ReissのI-Languageも議論のもっていき方がうまいので,結構参考になる.

オープンキャンパス後は,茨城の別宅に行っていた.ROCK IN JAPANという夏フェスが近所の海浜公園で開催されていたようだが,特に混乱もなく平穏な日々であった.せっかくだから,近所の港に行って,前にもこのブログで取り上げた店で,晩ご飯を食べたのだが,いつもにも増してコストパフォーマンスが高い食事であった.今までは,港なのでついつい刺身のような新鮮さ命の料理を注文していたのだが,今回は焼き魚定食を頼んだら,真鯛が2匹ものったものが出てきた.程良い塩加減,焼き具合で絶品であった.今度は煮魚定食を頼んでみようと思う.

2010年8月3日火曜日

映画の日

もう8月になってしまった.学会運営関係の仕事が一段落し,春学期の成績も全部出して,やっと自分の研究に目が向けられるかな,というところである(6日のオープンキャンパスで高校生の前で言語学の模擬講義をする,という業務が残っているが).

8月は映画の日である1日が日曜日で,奥さんが茨城の別宅に帰る前に有楽町・銀座で映画を観ることにした.2人とも週末に自宅でやらなければならない仕事があったのに,こういう計画を立てて,その後酷い目に遭うのだが,まあこういう無理矢理の息抜きも必要である.

特に目ぼしい映画もなかったので『ソルト』を観ることにする.夏休み・日曜日・映画の日・公開2日目という好条件が重なったせいか,丸の内ピカデリーは満席の盛況ぶりであった.内容は,頭を空っぽにして大画面でアクションを観るにはちょうど良い感じ.話的には,同じスパイもののボーンシリーズの方が面白いと思うけど,観てがっかりするようなものでもない.アンジェリーナ・ジョリーも「らしくて」良かったのでは.

そういえば,奥さんの誕生日がそろそろなので,何か欲しいものはないか聞いてみると,今絶賛はまっているモンティ・パイソンのDVD-Boxを所望された.まずAmazon JPで調べてみると,結構高くて25,000円くらいする.どうも『空飛ぶモンティ・パイソン』は,日本語吹き替えが山田康雄なんかがやっていて,ある種プレミアになっているようである.我々は別に日本語吹き替えなんていらないし,英語でそのまま観た方が遥かに楽しめるので,Amazon UKで調べてみると同じ8枚セット1,327分のものがたった13ポンド(1,800円弱)であった.もちろんこちらを注文した.イギリスからの郵送は結構早いので,数日中には到着するようである.私も楽しみだ.

モンティ・パイソンは古典とも言えるけれど,現代でもイギリスのコメディというのは,ウィットに富んでいて本当に面白い.私が住んでいたときはThe Officeが大人気だった.私はCouplingが大好きで,帰国後また無性に見たくなってDVDセットを注文した.Dead Ringersなんかも,よくテレビで観たものである.コメディに限らず,Top GearGrand Designsや各種料理番組など,イギリスのテレビ番組はとても面白いので,字幕や吹き替えなんてつけなくてもいいから,いつかCATVやネットで日本でも気軽に見られるようなシステムが整備されて欲しいものである.

2010年7月29日木曜日

エグザム

相変わらず多忙のため更新頻度が低い状態であるが,学期も終わり,いくつかの仕事も片付いて,なんとか山を越えた感じである.物理的な忙しさもさることながら,精神的に気を使う業務が多くて結構気分的にぐったりしてしまった.夏の間にやりたい研究も色々あるので,あんまりのんびりしている場合でもないのだが,まあ少しはよかろうということで,取りあえず映画を観に行くことにした.

調べてみると,シアターNでナイトショーでやっているイギリス映画『エグザム』(原題:Exam.なぜ『イグザム』にしないのだろう)が面白そうだったので,さっさと仕事を片付けて渋谷へ.9時上映なので,7時半くらいにチケットを買って,しばらく街中をうろうろする.まず先日不正請求に気づかせてくれたApple Store渋谷へ.昨日Twitterで,品薄のiPad Camera Connector KitがApple Store銀座と渋谷に大量入荷しているとTLで流れていたので,期待して見に行ったのだが,やはりすでに売り切れであった.残念.あとはパルコ,ハンズ,ロフトをぶらぶらを見て時間を潰す(グレゴリーのショルダーバッグで面白いのがあったが,自動車税を払ったばかりで,心理的な浪費感があったので買わなかった).

上映20分前に劇場に戻ると,ロビーは結構な人だかりであった.マイナーな映画だとは思うが,公開しているのがシアターNだけで,水曜日は1,000円デーなので,この手の映画が好きな人たちが集まったのだろう.結局立ち見まで出ていた(私は13年前『普通じゃない』を梅田OS劇場で立ち見で観て辛い思いをして以来,絶対に着座じゃないと映画は観ないことにしている).本編前に,和製ホラー映画の宣伝が流れて,暗い団地で顔が変形した人が追いかけてきたり,便器から長髪の女性が飛び出してきたりして,本当に怖かった.ああいう人を選ぶ映画の広告を半ば強制的に見せるのはやめて欲しいと切実に願う.

肝心の内容は映画の性格上あまりネタバレしない方がいいので大まかに言うと,設定はとても面白いので,あとは登場人物のやりとりとオチが命だと思うのだが,序盤でちょっとダレて,中盤盛り返して,一番期待したエンディングで「うーん,もう一歩」という感じであった.イギリス映画なんだし,もう少しシュールで小気味いい笑いがあってもいいと思うのだが,それがほとんどなかったのが残念.エンディングも落しどころが難しかったのかもしれないけど,ありがち感が強かったなぁ.設定がとても面白いだけに実に残念であった.

ということで,少し消化不良気味なので,次の映画の日(毎月1日)も何か観に行こうと思う.8月の映画の日は日曜日だし,夏休み中で混むかもしれないので,今から物色しておこう.

2010年7月9日金曜日

不正請求

1ヶ月近く更新をしていなかったので,リアルな世界で接触のない人には,死んだか倒れたか,と思われているかもしれないけど,一応生きています.今年度はかなり忙しいのだけれど,特に最近は色々なことが何重にも降りかかってきててんやわんやである.ひと仕事終わって一山越えたなんてこともなく,ずっと山脈である.7月末まではこんな調子だろう.予測はできていたことだけど,事前に対処することができない類のことだったので,あきらめてふらふらになりながらなんとかこなしているところである.

そんな中,予期せずして面倒なことが昨日起こった.きっかけはiPadでプレゼンする用のディスプレイ出力ケーブルをアップルストア渋谷に買いに行ったときである.ちゃんと在庫があり2,980円だったので,いつもならこの程度の金額なら現金で支払うところを,なんとなくカードを使ったのだが,レジのお姉さんに使用不可になっていると言われた.おかしいなと思いながら,その場は別のカードで払ったのだが,気になったので,不可になっているカードの発行元の三井住友カードに電話で問い合わせてみた.すると,返ってきた答えは「お客様のカード利用が限度額の月額100万円を超えています」と.100万???月額???

うちの奥さんがよく冗談で,家族カードで100万くらいの中古車買うわ,と言っているが,いくらなんでもそんな破天荒なことを何の相談もなしにリアルにやるとも思えない.自分でもそんなに使った記憶はないので,担当の人に「何かの間違いでは?」と聞くと,「デンマークで8,847.51ユーロ,99万6千円の支払いが行われています」と... デンマーク???8,847ユーロ???もう大混乱である.

そこでピンと来たのが,Association for Linguistic Typologyへの会費支払いである.この学会費はMouton de Gruyterが発行しているLinguistic Typologyの購読料も含むので,ドイツの代理店のようなところに払うことになっている.で,この代理店のようなところが,ドイツの企業とは思えないくらいしょぼくて,セキュアなオンライン支払いのシステムを持っていない.しょうがないので,自分でクレジットカード情報をパスワードロックをかけて,電子的に送ったのだが,所詮素人のロックなので,通信過程のどこかで情報が抜き取られて,簡単に解除されて見事に不正請求に使われたのだと思う.ひょっとしたら,代理店が間違った額をうっかり請求してしまったのかもしれないと思って問い合わせてみたが,答えはそんな請求はしていない,とのことだった.

幸い,三井住友カードの担当の方は適切に対応してくれて,今朝正式に請求が上がってきた段階で連絡をくれて,すぐに支払い拒否の手続きを取って,今後のためにカードも停止してくれた.請求元は,デンマークのネットで中古車を販売するサイトだったそうな(ちなみに,うちの奥さんがデンマークで中古車を買ったわけではない).

本当に精神衛生上よろしくない出来事であった.もちろん私が軽率だったのは確かだし,これからは面倒だが電話でやりとりしようと思うが,Moutonも立派な国際的出版社なんだから,もう少し金銭取引をちゃんとオンラインでセキュアにできる代理店を使って欲しいものである.くしくも今日こんなニュースを見て,全世界で同じような目に遭っている人はどれくらいいるんだろう,と思ってしまった.忙しいときに限って,こういうことが起こるからたまったものではない.

2010年6月14日月曜日

33

ほぼ放置状態だったこのブログだけど,書くことはないこともないけど,わざわざ書くだけの暇もない,という状態であった.そうこうしているうちに,昨日6月13日の誕生日がきて,33という見た目の切りが良い年齢になった.鏡を見て髪をそっと上げると白髪が急に増えていた気がしたが,まあそういう年齢である(そっと上げると毛根が消滅しているよりは良いだろう).

誕生日は,うちの奥さんも色々仕事が詰まっている中,別宅から帰ってきてくれたので(本人曰く,おいしいご飯とケーキを食べるためとのことだが),丸の内のつばめKITCHENでたらふくドイツ料理を食べ,その下の丸善で本を物色して過ごした(この辺りが職業病に犯された夫婦である).

ちょっと前,その丸善で以前から気になっていた『数学ガール』シリーズを買って,今読んでいるけれど,中々面白い.私の通っていた中学高校は変態的に数学ができる人間が結構いたので(中1の5月でもう高校数学をバリバリやっているやつがいた),「ああ,あいつらはこんな感じで数学を見ていたのかもなぁ」と今更ながら身近にいた秀才たちを思い出している.

今日は,シンガポールから来客があったのだが,少し寝坊して(深夜仕事をしていたらいつの間にか気を失っていた),時間ぎりぎりで駅に行ったら,人身事故で電車がまともに動いていないという事態に見舞われ,なんとも苦いスタートであった.幸い,同僚の先生に急遽お願いして対応をしていただいて,私は後から合流する形で事なきを得たけれど,やはり時間的余裕を持って行動しないと,こういうことになってしまう.少し生活サイクルを見直さないといけないかもしれない.

と,なんだか良く分からない感じで,33年目のスタートである.

2010年5月29日土曜日

iPad到着

日本中の人がブログに書いている話題とは思うが,我が家にも発売日の5/28にiPad (wi-fi 64GBモデル) が到着した.普段金曜日は午後6時に授業が終わった後,週末に持ち込みたくない細々とした仕事をダラダラと片付けてから帰宅するのだが,昨日は午前中にクロネコさんから不在配達通知がメールで来て,ウェブで午後8時から9時の間に再配達に来てもらうようお願いしてあったので,さっさと大学を出て,急いで夕飯の買い物をして,帰宅した.ドアに挟んであった不在配達通知票に,配達の人が「品名: iPad?」と書いていたのが可笑しかった(外箱からは分からないけど,同じiPadの配達が結構多いのだろう).我が家はクロネコの集配センターのすぐ近くなので,帰宅後ほどなくして持ってきてくれた.

実は特に発売を心待ちにしていたというほどでもないので(でかいiPod touchくらいに思っていた),土曜日に再配達してもらってもよかったのだが,ニュースで銀座のアップルストアに行列とか,Twitterで手に入れた人の感想なんかを読んでると,何か当日手にしないと損した気がするというミーハーな感情がむくむくと沸き上がってきたのである.そして実際手にしてみると,これは・・・.

いやぁ,結構衝撃的だった.初代iMacを触った時も,はんぺんiBook G3でOS Xを動かした時も,iPod touchを初めて使った時もAppleの革新的な使い心地を感じたけれど,このインパクトは凄い.タッチパネルなんて,それこそ銀行のATMや定食屋の券売機にも導入されていて,普段から触れているものだけれど,だからこそこのiPadのレスポンスの心地良さが実感できる気がする.Safariもさくさく動くし,メールもカレンダーもiPod touchとは桁違いの使いやすさである.

iPadの最大の売りの1つである電子書籍も,iBooksやi文庫HDで使った限りでは,pdfも含めすこぶる快適に読むことができた.仕事上のとある事情で2年ほど前,当時米国で本格的に売り出し始めたKindleやその他の電子書籍リーダーをかなり詳しく調べたことがあるのだが,それらと比較しても,タッチパネル同様既存のインターフェイスをまるで新たな体験のように感じさせる使い心地の良さには唸るしかない.
一緒に専用ケースを注文していたので,角度をつけてソフトウェアキーボードの使い心地も試したのだが,こちらは机に置くならもう少し角度が欲しいところである.特にグレア液晶がかなり光を反射するので,真上に照明がある私の自宅リビングのような環境では,結局膝の上に置いて使わないと画面が見にくい.ソフトウェアキーボード自体の使い心地は中々良好である.これで論文を書こうとは思わないが,メールくらいなら今後MacBookを使う必要もないくらいである.

今後どの程度iPadや似たようなデバイスが広まるかは分からないが,少なくとも電子書籍はかなりの勢いで普及するだろう.学術書出版業界は,いつの時代も採算が厳しいと言われているが,だからこそぜひ学術書の電子書籍化に積極的に取り組んで欲しい.大学生協書店がインフラを提供して,各学術出版社が電子書籍を生協のサイトを通じて提供し,研究者が簡単に研究費で決済できるなんていう仕組みをなるべく早く確立していただきたいと思う.

大学の講義も,このような端末がノートのように普及すれば,いちいちハンドアウトをコピーして講義室で配布するなんてことはしないで済むかもしれない.今でも当然講義資料は電子ファイルで利用出来るようにはしているが,やはり講義のはじめに「今からこれをダウンロードしてね」なんて指示することはまだ現状では不可能である.実現すれば印刷と配布の手間も省けてとても楽だし,紙とトナーの節約にもなるだろう.

2010年5月25日火曜日

横浜

なんだかポカポカ陽気の春なんてちっともなく,異常な寒さの後はうだるような暑さと梅雨のようなじめじめした気候が交互にやってきているような気がする.忌々しい.

今日は比較的好天気だったので,2コマ授業をした後,図書館で論文をコピーし本を借り,研究室に戻る途中に生協の本屋でお茶の水大学の戸次大介さんがお書きになった『日本語文法の形式理論』を購入した.理論系と情報系のバランスがうまく取れていて,かつ細かくデータを扱っていて,とても面白そう.ぼちぼち読みたいと思う.

昨日は生憎の悪天候だったけれど,研究打ち合わせで横浜の新社屋に移転した富士ゼロックスにお邪魔してきた(これを書きながらふと思い出したが,私の学部時代の同級生が富士ゼロックスに入社していたはずだが,彼女は社内でどういう仕事をしているのだろう).皆さんとても優秀な方々なので,打ち合わせは面白くて,今後どういう方向に進めていこうかと考えるだけでも楽しみである.

打ち合わせ終了後,みなとみらいに夕食に繰り出す前に,博物館のように色々展示物があるロビーをうろうろしていたのだが,そこにPARC(Palo Alto Research Center, ついCentreと書きそうになる)の1973年のコンピュータが展示してあった.適当に写真を撮ってしまったので,ピンぼけで変な構図になっているけれど,とても存在感がある. これは40年近く前のものだが,今のテクノロジーの産物で,40年後にこうして展示するような「モノ」はあるのだろうか,とふと考えてしまった.iPad? 3DのTV? 展示物としてはいまいちピンとこない.革新的な技術がモノではなくなっているからかもしれない.Googleの検索サイト公開の瞬間とか,展示できないし.

くしくも,富士ゼロックスの社屋に行く途中,日産の豪勢なビルを通ったが,軽自動車が展示してあって,そのギャップにちょっとのけぞってしまった.ディーラーじゃないんだから,歴代のGT-RとZをすべて展示して欲しいなぁ.日産の誇るべきものは,そこにあるんじゃないのかしら.

それにしても,横浜って神戸みたいなもんだろうと思っていたけど,全然違うのね.横浜はピカピカ,ギラギラ未来都市の雰囲気で結構インパクトがあった.震災復興後も元々のこじんまりした佇まいのある神戸とは,同じ港町でも随分と違うもんだ.どちらが好みかはあえて言わないけど.

2010年5月19日水曜日

ファイブスター

この前パスポート更新の話を書いたが,どうも期限が切れてしまうと,更新ではなく新規作成になってしまうらしく,また戸籍抄本などがいるとのこと.私は本籍地が離れているので,以前にも書いたように結構面倒である.自動車の運転免許も留学中に失効してしまって(長年帰国できなかったんだから更新の仕様がない),一から取り直す羽目になったが,「またか」という感じである.まあパスポートは偽造なんかの問題もあるし,仕方ないのだろうけど.

昨日,今日と所用があって新宿サザンテラスのFedEX Kinko'sに夕方行ったのだが,その近くには新宿みやざき館KONNEというのがある(ちなみにサザンテラスには広島ゆめてらすというのもある).宮崎の特産品を買うことができたり,冷や汁とか地鶏炭火焼きなどが軽く食べられたりするところである.「あぁ,口蹄疫で大変だなぁ」と思いながら通り過ぎたのだが,先ほどネットで調べてみると,募金を集めているとのこと.ある意味自然災害みたいなものだし,畜産農家の人も大変な思いをされているようなので,今度通ったときは募金しようと思う(ついでに冷や汁と地鶏も食べて,親父に渡す焼酎でも買おう).それにしても,同じサザンテラスにあるKrispy Kreme Doughnutsはいつも結構並んでいるが,そんなに美味しいのだろうか.並んでまで買うなんて,なんかドーナツ的でないような気がするけど…

このブログでは新しいビールが出ると,とりあえずその感想を書いているような気がするので,一応サッポロのファイブスターも載せておこうと思う(プレミアムモルツのグラスに注いで,スタバのコースターに載せているのはご愛嬌).結論から言うと,まあなんてことない.プレミアムビールのパイオニア,サッポロビール園でしか飲めない,ドイツ風の本格的な高濃度,との謳い文句で,確かに(あまり私が好きでない)ドイツのレーヴェンブロイに似ているような気がする.昭和47年にヱビスの発売に伴って,販売をやめたそうだが,確かに個人的には普段愛飲しているヱビスの方が,コクと深みがあって遥かに美味しいと思う.イベント的にこういうのも復刻させるのもいいけど,頼むからサッポロはエーデルピルスを常時販売して下さい.2008年の限定販売以来,再販売を心待ちにしております.別に大々的に宣伝せずに,キリンのハートランドみたいに,ひっそりと売ってくれればいいので.

2010年5月18日火曜日

パスポート

ちょっと時間が経ってしまったが,先日予約開始と同時にiPadのwifi 64GBをApple Storeで注文した.Twitterで大学生協では当分扱わないという情報が流れていて,Education Storeでも通常と同じ価格だったので,おそらく一般向け販売だけでいっぱいいっぱいなのだろう.一応奥さんに買っていいか確認したところ「買わないと,どうしようどうしようと言ってうるさいから,さっさと買ってくれ」ということだったので,遠慮なく最上級のモデルとケース,アダプタを注文させていただいた.

MacBookは重いので,これで学会出張などのときiPadだけで行けるようになるとひじょうに嬉しいのだが,まだその辺は未知数である.iPod touchだけだときつかったメールは問題ないだろう.書類もPagesでいけるかもしれない.プレゼン資料なんかは私は全部pdfなので大丈夫.LaTeXを動かすのは無理だと思うが,良いテキストエディタはそのうち出てくるのではないかと思う.あとは,期待通り本や論文が快適に読めて,電池が長持ちすればそれで十分である.5月28日が楽しみだ.

学会出張と言えば,今朝メールが来て,9月にイギリスのリーズであるLAGBで学会発表することになった.LAGBは2002年まだ修士の学生時代に,マンチェスター工科大で生まれて初めて学会発表をした私の中では中々思い出深い学会である.その後大学院生時代にシェフィールドやケンブリッジを含め3回発表したのだが,しばらくご無沙汰していて今回は実に5年振りである.本当は一昨年私の母校のエセックス大学で開催されたときや去年エディンバラ大学であったときにも発表したかったのだが,中々スケジュール上折り合いがつかず断念していたので,今年久々に発表できそうで嬉しい.元指導教官にも会えるだろうし,Joan Bybeeが招聘なので,それも楽しみである.

と考えていると,パスポートが切れていることを思い出した.今持っているものは1999年末,大学3年生の終わりから1年間オーストラリアのANUに留学するときに,生まれて初めて取得したものである(英語は使うことができたが,それまで一歩も海外に出たことがなかったのだ).改めて見てみると,当時は体重が40kg台後半のガリガリで(身長168cm),写真なんて全然身分証明になっていないくらい違う.住所もここ10年で日本国内で5回,オーストラリアで2回,イギリスで2回変わっているので,どれが正しい住所なのか分からない有様である.

ヴィザを見ていても色々思い出す.緊張しながらオーストラリア大使館でまっ更なパスポートに学生ヴィザを貼りつけてもらったり,イギリスで研究員になるときに,移民局に電話をかけまくって予約をして,早朝から夕方までまるで囚人のような扱いを受けながら面接を受けて,驚くほど高い手数料を払って発行してもらった就労ヴィザなんかが貼ってある(確かに写真付きの立派なものだが).

アメリカのフィラデルフィアのやたらしつこい入国審査や,中国系の警備員に呼び止められて訳の分からない質問をされたせいで危うく飛行機に乗り損ねそうになったことも思い出す(ヨーロッパとあまりに扱いが違うので,アメリカなんか二度と来てやるかとその時は思った.単なる運だろうけど).その他の入国印を見ると,今経済的に大変な状況にあるギリシャや,カフェがやたら大麻の匂いがするオランダ(ユトレヒトは本当に美しい街だったが),腹が立つほど物価の高いノルウェーなんかも思い出す.イギリスに住んでいると地理的にヨーロッパ諸国が近いので,割と気軽に学会でいろんな国に行かれたのは,幸運だったと思う.

そんな10年間が詰まったパスポートを更新するのも何か寂しい気がする.それにしても,日本からだとやはりヨーロッパは遠く感じる.5年近くの留学中,1度しか日本に帰国しなかった(しかもニュージーランドで学会発表する途中に寄っただけ)のも,まあうなずけるのではなかろうか,と自己正当化してみたくなる距離である.

2010年5月11日火曜日

国研コロキアム

GWも私はぽつぽついくつか打ち合わせが入り,奥さんも仕事があったりして,なんだかよく分からないうちに終わった.まあ春の連休の教訓もあるので,特にイベントもなく過ごすというのが正解だとは思うが.

先週末は早稲田の高等研究所の知り合いが誘ってくれた国立国語研究所のコロキアムに行ってきた(Google検索でいまだに旧ページがトップにくるのは,どうにかした方が良いのではないだろうか).今回のコロキアムは,私も元指導教官のAndrew Spencerを経由して間接的によく知っているAndrej Malchukovのトークである(AndrewとAndrejはThe Oxford Handbook of Caseの共同編集者である.Elsevierから出ている本に私とAndrewの論文とAndrejの論文が一緒に載っていてお互い知っているというのもある).

いつもとは逆方向の電車に乗って,玉川上水で多摩モノレールに乗り換えて高松という駅で降りたのだが,道路も歩道・自転車道も広く,無機質な建物群と広々とした芝生が目立っていて,なんだか「つくば」とか「けいはんな」に似た雰囲気の場所である.ここにアメリカ軍がいたのか,と思いながら歩いていくと,ほどなくして国立国語研究所に到着.2005年に建てられたばかりで,名前のイメージとは裏腹にピカピカモダンな研究棟である.

トークは格についてで,広範なデータとそれらの機能的および最適性理論での分析が秀逸で面白かった.私は博士論文がまさに格についてなので,データ自体はほぼ全部身近なものだったが,私は数理的な分析が主なので,機能的なアプローチは中々新鮮であった(ちなみに日本ではなぜか機能的というと認知言語学的と考える人が多いようだが,何故だろう?).トークの後,他の参加者と一緒に立川で夕食+飲みに行くこともできて,そちらもひじょうに楽しかった.

格はなんせずっと博士課程の間研究してきたので,ここしばらくあまり食指が動かなかったが,やはり面白いテーマなので,またぼちぼちより深めた研究をやってみようと思う.類型論の講義でも,格は割と学生が興味を持つトピックだし.

2010年4月30日金曜日

Xpert

ゴールデンウィーク直前の28日午後6時から,大学が開発している講義サポートシステムのバージョンアップと5月に新しく導入されるXpertという講義録画公開用システムの説明会があったので,参加してきた.日取りや時間が悪かったのか,参加者は数名しかいなかったが,内容は中々面白かった.

現在でも早稲田はオンデマンド講義といって,予め録画しておいた講義を履修登録者にストリーミング配信することはできるのだが,Xpertはそのオンデマンド講義をスタジオに行かずにパソコンでスライドなんかを操作しながらウェブカムとマイクを使って,個人で簡単に録画作成するソフトとのこと.

海外に学会発表しにいったりする際,休講にはしたくないけど,わざわざスタジオにオンデマンドの録画をしに行くのも躊躇われるなんていう時にはいいかもしれない.もっとも私の場合,語学系の授業はオンデマンドは無理なので,言語学の講義科目に限定されるが(それも割と学生の反応を見ながら講義する方が好きなので,結局使わないかも).学生にもライセンスは与えられるらしいので,プレゼンを録画してもらうというのも面白いけど,プレゼンは聞き手とのやり取りが肝要だから,これも微妙と言えば微妙だ.

システム的にはWindowsのみ対応というのと,スライドはPowerPointが前提というのがネック.私みたいにMacでLaTeX+Beamerを使ってpdfのスライドを作っている人は,BootcampでWindowsを立ち上げて,pdfの各スライドを範囲指定して画像として1枚1枚取り込む必要がありそう.韓国で開発されたソフトのようなので,この辺は日本のシステム会社に要望を出しても中々難しいんだろうなぁ.

まあ,実際使ってみないとなんとも言えないので,利用可能になったら1回90分講義を撮ってみようかな.

2010年4月27日火曜日

ミル

新学期も第4週目が終了して,もうすぐゴールデンウィークである.まあ私は特に休むことはないのだけど,講義が1週間ないだけで結構時間的に余裕ができるので,溜まっていた仕事を片付けたり,普段は時間が取れなくてできない研究にまつわる細々とした作業ができて,ありがたい.

私はカフェイン中毒,コーヒージャンキーなので,そんな作業の際家でも研究室でもひっきりなしにコーヒーを飲んでいるけれど,この度研究室のコーヒーミルを新しいものに変えてみた.別に高級なものではないのだが,セラミックの臼で磨り潰す方式のカリタC-90がAmazonで割と安く売っていたので買ってみたところ,これが中々良い.雑味(過剰な酸味やえぐさ)がなくなって,ストレートに豆の苦味と香りが出るようになって満足である.とても気に入ったので,自宅用にもう1つ購入した.実家の母親にも買って送ってあげようかと思うくらいである.

そんなコーヒーを飲みながら,研究室のリクライニングチェアで先日丸善から届いたAndrew Carstairs-McCarthyのThe Evolution of Morphologyを読むのが最近の小確幸である.私が2004年にイギリスからニュージーランドのUniversity of CanterburyにInternational LFG Conferenceで発表しに行った時に,招聘講演がAndrewであった.同じ形態論を専門とする研究者にとって,とても刺激的な話だったのだが,今回の本も音声と統語に偏った言語進化研究に新たな視点を提供する研究で,形態論学者で言語進化に関心のある人(ほとんどいないだろうが)にとっては1つのとても重要な研究の方向を示すものであると思う.私も単に頷きながら読んでいるだけではなくて,ちゃんと自身の研究に結びつけなければいけない.

2010年4月21日水曜日

丸善

なんだか天気が良いなぁと思っていたら,今日東京は夏日だったとか.先週の金曜日は真冬並みの寒さで雪が降ったというのに.私はあまり気温を確認せず適当な服装で出かけてしまうので(というか数字で見ても,いまいちどういう服装が適しているのか分からないので,この時期はこんな感じだよな,という勘で着ている),こうも気温の変動が激しいと困ってしまう.

ここしばらくやたら忙しくて,ろくに研究書を読む暇もなかったのだが,Amazonの大学生協経由で使うアカウントを見てみると,ほしい物リストに70冊も本が入っていた.年度末は2月半ばくらいから1ヶ月半ほど研究費が使えないので,年度が開けたら買おうと読むべき研究書をほいほいリストに放り込んでおいたせいである(未刊行のものも多いが).

取り敢えずすぐに発送される「在庫あり」の中から7冊ほど注文した(それだけで3万円もかかってしまうのが,洋書の専門書の悲しいところである).Amazonは在庫があるものは発送が早く数時間後にはもう発送の知らせが届いたのだが,洋書は在庫1-3週間とか2-4週間とか3-5週間というどれほど違うのかよく分からない取り寄せ状況のものがひじょうに多い.特に3-5週間と表示されているものは要注意で,過去に何度か取次店になく確保できないという理由で数カ月かかったこともある.

今回割とすぐに読みたいもので数週間かかるものがあったので,試しに丸善で在庫を調べてみると,丸の内本店に結構在庫があることが分かった(ジュンクと紀伊國屋は全滅だった).福井の大学にいるときは学会などで東京に来ると,必ず東京駅前の丸善丸の内本店で洋書を大量購入していたのだが,よく考えると最近ほとんど行っていないことに気づいた.早速帰りにクロールすることにした(クロールについてはこちらを参照).

相変わらず丸善丸の内の洋書の品揃えは充実していて,何よりLinguisticsと書かれた巨大な棚が2つもあるのは実に素晴らしい(ELTとおまけの理論系しか置いていないジュンク堂と紀伊國屋はこの点は見習って欲しい).Amazon.co.jpで入手不可で,Amazon.co.uk経由で古本屋から苦労して買った本まであったりして,びっくりである.しばらく物色した後,お目当ての本(Andrew Carstairs-McCarthyのThe Evolution of Morphologyなど)や「あっ,これもう出てたんだ」という本(Tecmseh FitchのThe Evolution of Language)その他5冊を選定カウンターに持っていって,大学に送ってもらう手続きをした.

あまり丸善を褒めるのもどうかと思うが,和書においても「言語学」という棚がちゃんとあって,しっかり品揃えしているところは相変わらず関心してしまう.結構大きな書店でも,言語学は何故か語学学習コーナーの端にあったり,哲学・思想のところに申し訳程度に置いてあったり,認知心理学の棚に一緒に置いてあったりする(こういうところは一般向けの心理テストのような本も心理学と一緒に置いてあったりする)ことが多いので,こういうのを見ると結構嬉しい.

ということで,結構読みたかった研究書がごっそり届くので,なんとか時間を確保したいところである.ゴールデンウィークも近いことだし.

2010年4月19日月曜日

お引っ越し

新年度(と言ってももう3週目に突入しているが)はただでさえ慌ただしいものだが,特に今年度の1週目は研究室の引っ越し,業務上急に持ち上がった問題,その他諸々で非常事態で猫の手も借りたいくらいの状態であった.特に研究室の引っ越しは,速やかに終わらせないと研究はおろか,授業準備やその他の事務的な仕事もできず,最優先事項であったので,ケーキを餌に奥さんの手を借りることにした.

まだ専任教員のキャリアも4年だし(20代の「若者」から三十路の分水嶺をまたぎ「おじさん」へのトランジションを経験したという意味では大きな4年だったが),そんなに研究室の荷物はないはずで,前任校から移ってきた時もせいぜいダンボール25箱くらいだったのだが,ここ1年で着々と増えているのは間違いなく,全部箱詰めする必要がある引っ越し業者に頼むと余計大変である.ということで,2人で4-5箱詰めては台車に乗せて運び新しい研究室で荷解き,というのを7-8回繰り返して,なんとかすべて移動した.

身の回りも落ち着いて,イレギュラーな忙しさも多少解消され,やっとまともな生活ができそうである.もう数十年は研究室の引っ越しもないだろうから,心置きなく本や機材も揃えることができるのもうれしい.

2010年4月4日日曜日

キャッシュ

今年度末は移動もないし楽勝と思いきや,思いの外バタバタしていて,気がつけばもう新学期である.年度末は新たな道へ進んでいく卒業生と話して心強く感じたり,新年度は初々しい新入生を見て微笑ましく感じたり,とまあそれなりに大学の春という雰囲気である.

講義開始直前の今週末は,まずセキュリティソフトを更新するため実家へ.私がイギリスから帰国したときにプロバイダとADSLの契約をして,無線LAN環境を整えたのだが,それ以来4年間まったく問題なくNECのルータが動いているのには感心する.ちなみに更新手続きをしているとき,母親に「Googleの検索結果でキャッシュって書いてあるところは,見るのにお金を払わないといけないの?」と聞かれた.カタカナで書いてあるのでcacheをcashと勘違いしたようで,怖くてクリックできなかったとのこと.中々笑える勘違いである.ちょっと前までコンピュータを起動すらできなかった私の両親であるが,メールでやり取りもできるようになり,Amazonや楽天でショッピングをし,航空券の予約をし,市立図書館の蔵書検索をし,Google検索までできるようになったのは,実は結構な進歩なのかもしれない.

翌日,車でそのまま別宅の茨城へ.日曜日は奥さんの勤務校の入学式だったので,一人家でパラパラと学会応募用のアブストラクトを書いていた.ここ数年,長期的な研究計画を睨み,意図的に学会発表を控えていたのだが,今年は少し積極的に外に出ていこうということで,その第一弾である.まあそれでも地味な研究ではあるので,どう評価されるのやら.

夕方に無事投稿し,近所の洋食屋で夕食.この辺りでは割と有名な店だそうだが,常陸牛をトロトロになるまで煮込んだシチューとこれまた常陸牛のハンバーグは大変美味であった.赤ワインなんか飲めたら最高だったんだが,車で東京に帰る直前だったのが残念である.しかし茨城の人って,本当に肉が好きなんだねぇ.

2010年3月21日日曜日

熱川温泉

新年度前最後の3連休ということで,久々に旅行に行ってきた.とは言っても,遠出は疲れるので近場の伊豆に車でさっと行って,温泉に浸かって,美味しい魚を食べて,1泊2日で帰ってこようということになり,熱海・伊東からさらに南に下った熱川温泉に行くことに.

ただ夫婦揃って東京の混雑というのに無知であるため,甘く見ていたようである.家を朝10時過ぎに出て,東名に乗るため一番近い東京ICに向かったのだが,吉祥寺を過ぎて井の頭通りから環八に入ったところで大渋滞.主要道路とあちこちで交差して車が流入してくるせいか,ちっとも動かない.2時間経ってもろくに進まないので,とりあえずファミレスで昼食(トイレに行きたかったというのもあるが).

やっと1時過ぎに東名に乗ったのだが,交通情報によると東京料金所で玉突き事故,さらに横浜町田ICを越えたところで大型トラックと乗用車の事故があったらしく,渋滞30km.絶望感に襲われつつ,なんとか4時頃海老名SAに到着.この時点で予定していた観光は諦め,とりあえず夕食時までに旅館につくことを目指す.

幸い渋滞は解消していたので,スムーズに小田原厚木道路に入る.70km/h制限のこの有料道路はどうも覆面取締のメッカらしく,あちこちで捕まっていた.熱海付近の国道135号は混雑すると聞いていたので,予定通り小田原西ICで降りて,カーグラTVの撮影場所である箱根ターンパイク(TOYO TIREターンパイク)と伊豆スカイラインという山道ルートを通ることにする.予想以上にアップダウンとカーブが激しい道であるのに加え,山の上は突風で煽られるし,濃霧で視界が悪く,運転に気を使う.さらに伊豆スカイラインを終点の天城高原ICまで行くつもりが,一つ手前の冷川ICで降りてしまい,林道かと思うような狭くて曲がりくねった急勾配の道を行くことに.変速ばかりしているので,さすがにシフトを入れる腕とクラッチを踏む左足が疲れる.

午後6時頃城ヶ崎海岸手前で国道135号に入って南下したのだが,またまた伊豆高原を過ぎるまで渋滞でノロノロ運転.ここの渋滞は交通量というより信号などの構造上の問題によるものに思える.なんとか午後7時に旅館に到着.東京から伊豆まで実に9時間弱である.

宿は部屋や浴場からの相模湾の景色が素晴らしく,料理も伊豆特産の伊勢エビ,アワビ,金目鯛などに舌包みを打ちつつ,地元の「あらばしり」という日本酒もいただき大変満足できるものだった.熱川温泉は湯質もとても良いみたいで(ちょっと湯温が高いけど),お肌もすべすべである.

日曜日は昼から夕方にかけての渋滞にはまるのはもう嫌だったので,観光もせずにさっさと帰ってきた(とは言っても,東京ICの出口,環八の渋滞にははまったのだが).どうせ観光して回らないのなら,連休時の伊豆は電車で行くべき,というなんだか妙な教訓を得た温泉旅行であった.空いていれさえいれば,山道も海沿いの道も気持ち良いんだけどなぁ.

2010年3月17日水曜日

日本語コーパスワークショップ

今週は月・火と東工大の蔵前会館で,科研費特定領域研究「日本語コーパス」のワークショップがあったので,一部に参加してきた.東急目黒線というのは初めて乗ったのだが,どの駅もピカピカで広々としたホームには防護柵があって,心地が良い.私が通勤で常用している西武新宿線とはえらい違いだ(狭くて毎晩人が溢れそうになっている高田馬場のホームをなんとかして欲しい).昼食時に東工大がある大岡山駅の商店街をうろうろしてみたが実に感じが良かった.八百屋,魚屋,肉屋,豆腐屋,米屋,酒屋が並んで普通に賑わっているのは,結構珍しいのではないだろうか.

私はデータ処理やツール作成などのコーパス自体の研究というのはやっていないが,理論的研究に統計的な視点を加えるのには興味がある.特に形態論,レキシコンの研究というのは,母語話者の直感(内省)があまり当てにならないことも多いし,使用頻度が語彙構成に与える影響というのは認知科学的な研究では無視することはできないので,コーパスの存在はとてもありがたいものである.ただ大規模なコーパス構築には人的労力が膨大になるため,今回の領域研究というのはその意味でも意義深いものである.利用する立場の我々研究者もプロジェクトに関わっている各分野の方々に感謝せねばならない.

今回のワークショップの導入で言及されていた,素人的視点の「コーパス構築は業者に委託すればいい」や「コーパスは役に立たない」といった的外れの批判もこれまであったようだけれど,国立国語研究所も独立行政法人から大学共同利用機関法人になって,運営が比較的スムーズに行きそうとのことなので,がんばっていただきたい.

2010年3月14日日曜日

EELC2010

先週末からprogramme chairをやっている学会でprogramme committeeに入ってもらう依頼のメールを色んな人に90ほど送り,返事に対応するという割とこまめな仕事をしていた.面識がない人に頼みごとをするのは割と気を使うのだが,イギリス時代の知り合いなんかにもコンタクトが取れて結構楽しい一面もある.一応それが一段落し,3月10−12日の3日間に渡って,キャンパスプラザ京都で言語進化のセミナーJAIST-EELC2010があったので参加してきた.

Tecumseh Fitchの音声・統語に関して,系統発生的視点,および同種の特性の異なる進化系統間の比較から得られる知見を分かりやすく丁寧にまとめた発表は,実に分かりやすく有益であった.Cedric Boeckxは,個人的な偏見と無知でもっとゴリゴリのミニマリストな論を展開するのかと思っていたのだが,言語学者が分野横断的な言語進化の研究をする際のポイントを的確に論じていて,共感する点が多かった.Cedricは30代にして10冊の本と100本の論文を発表していると紹介されていたが,いやはやすごい人もいるものである.

私自身は言語進化に関しては,PhDを取って以降興味があってフォローは一応してきているが,言語学者としてどう関わるかに明確な態度を示すことができないので,積極的な研究というのはしていない.これまでやってきた「言語理論」を全面に押し出した論を展開してもあまり意味がないし,かといってひじょうにgenericな形での主張をしても言語学専門の研究者としての意義のある貢献になるのかと自問してしまう.この辺のバランスがひじょうに難しく感じる.レキシコン関係でモデルを構築していけば,今やっている形態論の研究とも接点が持てる気がするが,基本的に実験系ではなく理論系の方が好きなので,悩ましいところである.

2010年3月5日金曜日

変わり目

3月に入り日中は気温も結構上がり,近所の猫たちが徘徊する姿も見えるのだが(私のお気に入りの顔の白い黒猫がいないのが気になるが),寒暖差が大きく微妙に体調を崩してしまった.幸い安静にして睡眠をたっぷりとって,本格的に寝込むことにはならなかったのだが,季節の変わり目は気をつけなければならない.

1日は午前中から夕方までいくつか会議,夜は退職者歓送会と「年度末」という空気だったが,3日には新入生向けガイダンスや来年度の打ち合わせをしたりして,もう「新年度へ向けて」という雰囲気になってきた.昨年までは公立大にいて3月はまだ12日に後期入試が控えていて落ち着かない感じだったせいもあって,感触がかなり違う.また去年の夫婦がそれぞれ別の場所に引っ越ししなければならないという慌ただしい状況に比べると,今年は多少落ち着いた生活である.

ただ研究室をとなりの建物に移動することになっているので,こちらの荷物の梱包移動などをしなければならない.早稲田に移って,研究費で本を買うようになったので,そこそこ荷物が増えていて面倒かもしれない.いつ移動なのか現時点で不明なので,まだ何もしていないのだが,運搬くらいは業者に頼もうか,自分で運ぼうか迷うところである.


2010年2月28日日曜日

実体験

早稲田は入試期間も終わり,大学も普通に開放されて,気分的にもキャンパスの風通しがよくなった(それと同時に私の研究室がある建物は耐震工事が始まってしまったが).国公立も前期入試が終わり教員の皆さんもほっと一息というところだろうか.後期がまだあるのには同情を感じるが.

今日はチリ地震による津波の警報が出るわ,雨は降るわの悪条件であったが,30万人以上が参加する東京マラソンが新宿の都庁周辺からスタートしたとのこと.私は小田急サザンタワーのFedEX Kinko'sに用があったので,研究室に寄った後その時間を避けて新宿に赴いた.幸い私が行った頃は快晴で,それほど寒くもなく空気に透明感がある清々しい気候だった.

Kinko'sで仕上がりに1時間ほどかかると言われたので,近所のドトールでコーヒーを飲みながら先日大学生協で買った森博嗣氏の『創るセンス工作の思考』を読んだ.同じ集英社新書から出ていてこのブログでも軽く触れた『自由を作る自由に生きる』と連動しているとのことであるが,個人的には『創る...』の方が楽しんで読むことができた.

私は割と手先を使って何かを作ることは好きで,幼稚園の時に夏祭りの夜店で父親に買ってもらったプラモデルをセメダインを使って必死に組み立てたのは今でもよく覚えている.その後,エルガイム,バンダイン,バイファムなんかのプラモデルを作っていて,小学校2年生のときにラジコンに興味が移りタミヤのホーネットというRCを組み立てた.その後もお小遣いを貯めて8.4Vバッテリーにテクニゴールドモーターを備えた,由良拓也氏デザインのビッグウィッグも組み立てたし,F1にはまっていたのでオンロードの1987年の中嶋悟仕様ロータスホンダも手に入れた.やっぱり通は2WDだよなどとほざきアスチュートという2輪駆動のマシンにはまっていたこともある.

こういうのはあくまで既製品の組み立てであって,森氏の言う工作には当てはまらないようだが,理想化された頭の中の世界と現実とのズレの経験という意味では多少共通するところはあるだろう.最近はコンピュータの普及もあって,比較的容易に理想化された環境というのを作り出すことができるので,所謂「実体験」というのが遠いものになりがちというのは確かである.工作的思考というのはその意味では工学分野のみならず,ある種の教養として重要なのかもしれない.

2010年2月20日土曜日

「脳科学と社会」シンポジウム

昨日ハイボールのところで五木寛之氏について言及したが,今日新宿を歩いていたら,五木氏が直木賞の選評コメントに大きな間違いをしてしまい自ら審査員を辞任する,というニュースが電光掲示板に流れていた.単なる偶然だが,誰かさんのようにここがデスブログにならないといいのだが...

今日は「脳科学と社会」のシンポジウムがあったので行ってきた.両国であったので,大江戸線という漫画に出てきそうな名前の地下鉄に初めて乗った.6の字形に走っていて,進行方向がよく分からない地下鉄である.両国駅には江戸東京博物館なんてのもあった.「江戸」と強調している割には,大して歴史のある建物がないのが東京らしい.

シンポジウムは結構大入りで盛況であった.内容も総括である日立製作所の小泉氏の導入(私の父親は若い頃日立製作所で電子顕微鏡やスーパーコンピュータを扱っていたらしいので,ちょっと親近感が湧く),JSTの研究開発センター長で元東大総長の吉川氏の基調講演は,巨視的で切り口が面白くとても楽しめた.その後の研究発表もJSTが強力に資金注入した双生児,言語習得,学習意欲,発達障害への脳科学的アプローチに関するプロジェクトの成果報告だけあって充実していたように思う.

ちなみに休憩時間に「こんにちは」と見知らぬ年配の方に声をかけられたので,この人どっかで会ったかなと困っていたら,単に脳波測定ができる人を探しいている人だった.7年間も探しているそうだが,本気で研究するつもりだとしたらありえないことである.その程度のレベルではやめておいた方が身のためですよ,とはさすがに言わなかったが.

私の分野に一番近い発表だと首都大の萩原裕子さんの言語習得のプロジェクトであるが,不純な見方ながら,お金がかかってるなぁ,というのが第一印象であった.脳波測定トポグラフィー2台を積んだ移動式トラックを作り被験者の脳波測定をして,日立製作所にデータ解析してもらうというのは,なんともすごい話である.ただ研究対象が小学生ということで,自治体,教師,保護者との交渉で大変苦労されたようだし,プロジェクトの規模が大きいだけにプレッシャーも大きかったのではないかと想像する.プロジェクトには,私のいたイギリスの大学院の先輩が参加していて(時期が数年ずれているのでお会いしたことはないが),今回の萩原さんの発表でもfirst authorで論文がいくつか言及されていたので,大いに活躍しておられるようである.

シンポの後,久々に東京の東側に来たので秋葉原に寄っていったのだが,ヨドバシをぐるりと見ただけですっかり疲れてしまって,そのまま帰ってきた.まあ色んな最新の製品を見て「すげー」と言ってるだけで,結構楽しいのでいいんだけど.

2010年2月19日金曜日

ハイボール

今週は前半は色々と忙しかったが,後半は特に予定も入らず先日出し損ねたアブストラクトをちまちまと書いたり,イギリスの元指導教官と研究の意見交換をしたり,といい感じである.

唯一面倒くさかったのは,Program Chairをしている学会の仮ウェブサイトにTravel Informationを作ったことだろうか(仮サイトなのでデザインも何もあったものではないが).東北大で開催されるので,最初は東北大の英語サイトにある交通アクセスのページにリンクを貼るくらいでいいだろうと思っていたのだが,そのサイトには仙台付近の地図が載っているだけのもの必要な情報が決定的に不足しているものしかなく,肝心の「そもそも仙台という都市に海外からどうやって行くか」がよく分からないという摩訶不思議なものであった.結局成田,羽田から東京駅,上野駅経由で仙台に行くルートを自分で細々と書くことになってしまった.学会に海外から参加するときなどは(特に日本のようにあまり英語が通じない国に行く時は),まさにこういう情報こそ必要だと思うのだが(実際は私が書いたものでも多分足りない),大学がちゃんとした交通アクセスの情報を用意してくれていないととても困る.東北大の先生は国際学会開催の際はいつもどうしているのだろうか.

閑話休題.ちょっと前から,巷ではハイボールが何やらよく取り上げられている.私が「ハイボール」という言葉に触れたのは,確か大学生時代に五木寛之の『大人の時間』を読んでいた時に見たのが初めてだったと思う.どういうものかよく分からなかったので(そもそもチューハイとかウーロンハイの「ハイ」の意味が分からなかった.hi?high?それとも英語ではないのか.今でも正確には知らない),調べてみるとウィスキーをソーダで割ったものだという.私はスコッチをロックかほんのわずかに水を加えて飲むのが好きだし,その小説の中身のせいもあって自分の親父世代(団塊世代)の飲み物な気がして試さずにいた.Zakk Wiydeが飲んでいるのを見てウィスキーコークは作って飲んだことはあるのだけれど(アメリカらしい発想の酒だった).

でも先日冷蔵庫にウォッカソーダを作ろうと買っておいたソーダ水があり,棚にバランタインもあるのを見て,ふとハイボールを作ってみることにした.結果,なるほどなぁ,という感じである.ウィスキーの仄かな香り,苦味,甘みに炭酸の爽快さが加わった面白い飲み物である.ストレートやロックではきつすぎる,水割りは味気ない,という人たちにはうってつけの飲み物なのかもしれない.私は今まで通りロックの方が好きだけど,この先痛風が怖くてビールが飲めなくなったら,ハイボールにしようかな.

2010年2月15日月曜日

学生連携

ろくにブログを更新しないまま,もう2月も半ばを過ぎてしまった.大学も入試シーズンに入り,私の所属する学部の入試も終了した.約1ヶ月間学生の立ち入りが禁止され,教員も限られた門から職員証を見せて出入りしなければならない.結構面倒である.今あるセコムのセキュリティカードで認証してキャンパスも建物も入れるようにしたら良いと思うのだが,やはり大学全体の規模でやるにはコストの問題があるのだろうか,それともセキュリティが甘くなるのだろうか.あるいは『ガタカ』みたいにするとか.

先日,今年1年間教えた1年生の学生から,この夏に東京でアジア諸国の法学生とともに様々な問題を議論する会合を開くための助成に応募するから推薦状を書いて欲しいと(とても丁寧に)お願いされた.100人以上の参加者で1週間ほど開くというから結構な規模である.趣旨もとても共感できたし,企画もよく練られていた.とても優秀なのはもちろん教えていて分かっていたけれど1年生にして実行委員長をしているその学生の活動力に素直に感心してしまった.私の推薦状がどれほどの効果があるか分からないが,無事助成をいただいて,企画を成功させて欲しいと思う(私も覗いてみたいくらいである).

そんな学生の姿を見て,ふと自分の院生時代を思い出した.2002年にマンチェスターのUMISTで開催されたイギリス言語学会で生まれて初めての学会発表をした際に,ヨーク大学の院生だったAlexandara Galaniと知り合いになり(形態論をやっている学生はほとんどいないので,すぐ知り合いになる),翌年ケンブリッジのPostgraduate Conferenceで再会したときに一緒に形態論のワークショップを定期的に開こうと意気投合してYork-Essex Morphology Meetingというのを立ち上げた(ウェブサイトは私が個人的にエセックス大学のアカウントで作っていたのでもう消えていると思ったら,お願いしなくても言語学科が引き続き管理してくれていた.ちょっと感動).イギリス言語学会に資金援助をお願いし,ありったけの人脈を使ってイギリスやヨーロッパの研究者に参加をお願いし,知り合いの大学院生にも「ちょっとでも形態論に関係あればいいから」と発表を勧めた(こうでもしないと形態論は発表者が集まらない).もちろん会場の手配,ティーブレイクの飲み物やお菓子の買出しから,会合後の懇親会の場所探し,学生用の安価なB&Bのリスト作成まで全部Alexと日々電話で相談しながら2人でやった.

今思えば無謀なことをしたものだと思うが,なんとか自分たちの専門分野を活性化したいという大学院生2人に多くの人が惜しみない援助をしてくれたのがなにより心強く,ゼロからの立ち上げということで学問以外の面でも学ぶことが多かった.世界的に見れば,長い歴史を持つアメリカのCLSやBLSも院生が立ち上げたもので,今だって院生によって運営されているし,ヨーロッパのConSOLEもそうである.イギリス国内にもPostgraduate Conferenceは複数ある.

あまり偉そうに発破をかけたくないのだが,日本もちょっとくらいそういう学生主体の全国的な学会があってもいいんじゃないだろうか.日本英語学会にStudents' Workshopというのがあるが,ああいう既存の学会に乗っかって3つか4つのワークショップをやっても盛り上がらないだろう.それよりも自主的に企画運営する学生独自のワークショップを援助してあげた方が彼らのためになるのではないかと思う.大学院生の皆さんも,こんな狭い国だし電子的に簡単に連絡が取り合えるのだから,連携して学会なりワークショップなりを立ち上げてみてはいかがだろうか.欧米でPhDを取ってきた研究者が多い今なら結構サポートもしてもらえると思うのだけど... 法学の学部生にできて,言語学の大学院生にできないはずないよね(というのはいじわるな言い方か).

2010年2月1日月曜日

大雪?

今日は東京も雪である.それほど積もってはいないが,大雪注意報も出て,電車も遅れていた.たった3年ではあるが雪国生活を経験していて良かったと思う瞬間である(「なんだこの程度か」と粋がることができる).

毎月1日は映画の日なので,予定が入ってないと大体帰宅前に新宿に寄って映画を観ている.今日はバルト9で『ゴールデンスランバー』を鑑賞.伊坂幸太郎原作小説の映画化で,小気味良い笑いとどことなく期待通りの展開で安心して楽しめた.こういうのは変にリアリティを求めて「ありえねぇよ」なんて突っ込みながら観てはいけない.調べてみたら主演の堺雅人さんは早稲田出身で(中退だけど)学生時代から演劇で活躍されていた人なのね.とても良い役者さんだ.

一転暗い話題になってしまうが,イギリスから不穏なニュースが聞こえてきた.ロンドン大学のKing's College (KCL)が全体で10%の教員数削減を計画していることに伴ない,計算機言語学を廃止し3人の教員を解雇,1人を早期退職させるという発表がなされた.KCLは我々に関係するところでは意味論の研究が強く,その解雇されるという人々も当該分野で世界有数の研究者である.私も含め世界中の335名の研究者が反対声明にサインをし,KCLの執行部に送られたがどうなるかは難しいところである.ひとまずは動向を見守るしかなさそうだ.

2010年1月30日土曜日

自由時間

そろそろ1月も終りである.このブログの更新も滞っていたが,忙しくて書く暇がないのか,ネタがないのか,ここに書けない危ないネタしかないのかは定かではない.

昨日は奥さんが博士論文の公開審査で大阪に行った.昼過ぎにウェブで「東海道新幹線運休」の文字を見てドキッとしたが,幸い朝の便で行ったので影響はなかったようである.日本の大学で博論試問がどのように行われるのかよく知らないが,取り敢えず無事終了したようである.

今日は試験最終日で正式に今年度の講義期間が終了である.高田馬場周辺では酔いつぶれた学生が多数転がっていたことだろう.レポートが残ってる人もいるかもしれないが,学生の皆さんは「長い春休み」という大学生ならではの特権的な時間が2ヶ月あまり続くので,大いに楽しんで欲しいと思う.最後の授業で書いてもらった感想で,春休みはがんばって英語の勉強をしますと書いていた人が結構いたけど,英語なんていつでも勉強できる(というか,普段からやらないと意味がない)ので,もう少し今しかできないことをやってもらいたいものである.大学を卒業したら定年退職するまで2ヶ月間の自由時間なんてないかもしれないよ,と言ってあげたい.

今日は非常勤で来ていただく方々の来年度に向けてのオリエンテーションが夕方あり,そこそこ盛り上がっていた.大学というのは非常勤の先生がいないと回っていかないので,ちゃんと専任との間で考えを交換しあえる場を定期的に設けることは重要である.そうしないとお互い不幸になる.

その後は,別件で同僚や学生さんたちと神楽坂で夕食.割とのんびりした雰囲気で,楽しい時間を過ごすことができた.神楽坂というのは初めて訪れたけれど,中々雰囲気の良いところである(中高生のときの「神楽坂エクスプロージョン」のイメージでもっとワイルドな場所だと思っていた).京都河原町周辺の裏通りの飲み屋街に似ている気がする.

2010年1月24日日曜日

後期終了

大学は来週から試験期間で,今学期は全部レポートで試験をしない私は実質今週が今年度最後の授業.言語学の講義は日曜日締切でレポートを出してもらって,採点したものを返却して解説したのだが,皆さん熱心に取り組んでくれてとてもうれしかった.講義では,できるだけ理論的な側面を避けて,データ中心に類型論的に40から50くらいの言語の様々な現象を取り上げたのだが,「目で観察できる」というのを心がけたせいか比較的好意的に受け止めてもらえたように思う.今後別の講義で,目で直接観察できない部分の理論的な面白さについて伝えられるよう考えてみたいと思う.

研究の面では金曜日の午後に富士ゼロックスからLFG ParGramのお三方に起こしいただいて,打ち合わせをした.富士ゼロックスの研究所が3月に秦野から横浜駅前の新社屋に移って近くなるということで,色々やってみようという方向性で進んでいるところ.前回ParGramで会合で秦野の研究所にお邪魔したのは1年近くも前で,まだ早稲田に着任していない頃であった.時が経つのは本当に早い.

同日夕方には同僚の先生の科研プロジェクトの一環で東北大の堀江さんのトークがあったので,そちらを聞きに行った.何度か学会でお見かけしたことはあるのだが,実際お話するのは今回が初めてである.私は所謂「認知」の人間ではないけれど,形態論的,類型論的にとても面白いお話であった.

講義期間が終り,多少時間に余裕ができたので,ギターの弦を交換してパラパラと昔コピーしたDream TheaterやExtremeを弾いていた.私は基本的にストラトをCOT 50経由でBC-30につないで鳴らすのだが,東京のマンションで弾くには結構音が大きいしヘッドフォン端子もない,おまけに我が家はお隣に赤ちゃんがいらっしゃるので,とてもじゃないけど30Wのアンプから音など出せない.ということでサウンドハウスの通販でVOXのamplug AC30を買ってみた.大して期待していなかったのだが,これが中々良い.こんなおもちゃみたいなのから,見事なVOXの音が出てくるのはちょっと前では考えられないことである.腕の衰えがなんとも悲しい限りであるが,これでしばらくリビングのソファでうだうだ弾いて楽しめそうである.

2010年1月13日水曜日

数値化

寒い.しかし,天気は良くてスカッと晴れているので気持ちが良い.ふと去年住んでいたあたりのライブカメラを見てみたら,ものすごい雪だった.今年は雪が多くて大変だろうなぁ.私は腰が悪くて,雪かきで苦労したけれど,今はそういう心配をしなくていいので,それだけでも随分気が楽である.

今日会議間の空き時間に(実は空き時間でなかったことが判明して迷惑をかけてしまったのだが),年末に買った小鳥急須でお茶を煎れ,パラパラと紀伊國屋から届いた洋書新刊案内を見ているとStatistics for Linguistics with Rという本が出るとのことである.7月刊行ということで,随分先のことだがどんな内容か興味がある.言語学で統計処理をするのは,ちょっと前まで心理言語学や第二言語習得あたりの実験系の分野が主で,私が大学院にいる頃はその手の人たちはSPSSを苦労しながらいじっていたが,今はRに切り替わってきているのだろうか(そうであって欲しい).近年,理論系でも統計処理はじわじわ広まっていて,私の専門分野の中でも統語論はOT-LFGから始まってprobablisticなアプローチは行われているし,形態論もおそらく「数値化」というものが鍵になってくるのだと思う.語形の拡散の基準にエントロピーを導入したり,パラダイムの透明度を数字で表すのも新しい数値化の試みである.

2010年1月6日水曜日

厄年でもないのに

新年もとっくに明けてしまった.何をしていたかと言うと,病に伏していたのである.新型インフルにも罹ったし,もう怖いものはない(?)と安心していたのだが,年明け3日に扁桃腺が腫れ39度以上まで熱が出てダウンしてしまった.今日からやっと通常通り活動できるようになった次第である.

年末は割とゆったりと過ごしていた.大晦日も奥さんと新宿のルミネや高島屋で買い物をして,家で年越しそばを食べ,酒を飲み,うたた寝をしながら年越しを迎えた.実に平和に2010年へ突入したわけである.元旦も朝10時までゆっくり寝て,午後1時の新幹線で奥さんの実家の大阪へ向かった.静岡までは実に天気が良く,富士山も美しかったのだが,岐阜あたりから雪が多くなり米原は豪雪.新幹線ものろのろ運転であった.

それでもまあ大事もなく奥さんの実家に着き,正月ということで義父と酒を飲んでいたのだが,どうも飲みすぎたようである.あまり食事を取らずビール,日本酒,ワイン,スコッチをそれぞれ大量に飲んだせいだと思うが,途中からの記憶がまったくない.奥さんの話だとその状態で普通に食器も片付け,風呂も入ったそうだ.

2日は多少胃腸が重い程度で,特に二日酔いもなかったのだが,3日に姉家族と両親のいる滋賀に行ったときに,駅のホームで寒風にさらされたり,初詣で京都に向かう混雑に紛れたのがどうもいけなかったらしい.姪甥と遊んだり,イヌと戯れているうちに段々扁桃腺に違和感が出てきて,あとは上述の通りである.

それでも4日には東京に戻らないといけなかったので,マスクをして新幹線に乗り,なんとか帰ってきて自宅で安静にしていた.なんだか色んな人に迷惑をかけてしまったような気がして申し訳ない限りである.どうも体が全体的に弱っているようなので,今後羽目を外さないようにしよう,と実に後ろ向きな目標でスタートした2010年である.
 
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