2009年5月26日火曜日

マスター?

通勤中,西武新宿線の電車内にアサヒが新しく出したビールの広告を見た.取りあえず,新しいビールが出ると飲むことにしているので,買ってみたのだが,う〜んいまいち.ドイツのピルスがどうのこうとうんちくは書いてあるのだけど,なんだか香りに乏しいビールだなぁ.そもそも,私はアサヒのビールでおいしいと思ったことがないので,相性が悪いのかもしれない.一番相性が良いのはサッポロで,エーデルピルス(普段は売っていないが)とエビスはコクと苦みがあっておいしいと感じる.黒ラベルも中々である.キリンも割と好きで,ラガーは余り好みじゃないものの(今は一番搾りの方が主流なのかな),ハートランドは名作だと思う.それらに比べアサヒは,スーパードライも私の舌には味気なく感じるし,熟選もこれがプレミアムビール?という印象である.

ちなみに海外のビールを含めると,ベルギーのステラ・アルトワ(Stella Artois),デンマークのカールスバーグ・エクスポート(Carlsberg Export.日本で売ってる緑の缶ではなく,金の缶のプレミアムバージョン.全然味が違う),オーストラリア・タスマニア島のカスケイド(Cascade)辺りが好み.オランダのグロールシュ(Grolsche),ハイネケン(Heineken),アムステル(Amstel)も安売りしていれば買っていた.アメリカのビールは飲まないけど,例外的にサミュエル・アダムズ(Samuel Adams)は好きで,学会でニューヨークに行ったとき毎晩飲んでいた.Robert B Parkerのボストンを舞台にした探偵小説でよく出てくるビールで,どんな味だろうと飲んでみたらおいしくて,はまったのである.

閑話休題.Michael GazzanigaのHuman: The Science Behind What Makes Us Uniqueを最近通勤電車の中でちまちま読んでいたのだが,やっと読み終えた.450ページ以上ある大部のハードカバーで,毎日鞄に入れて持ち歩くのが重かったが,中々面白かった.基本的にはGazzanigaのオリジナルな研究というより,心の理論(Theory of Mind; TOM)や道徳性(morality),共感(empathy),二元論(dualism),意識(consciousness)などを中心とするヒトに見られる独特の特性について,進化心理学,脳科学,神経科学の最新の知見をまとめた本と言った方がよいだろう.ただ,高等ほ乳類などに見られる同様の振る舞いをまったく無視するのではなく,重要な相違点を丁寧に議論していて,ひじょうに分かりやすい.参考文献も充実していて,それらを追っていくだけで,結構先行研究がカバーできるのもよい.

くしくもNew Scientistで,Gazzanigaとは対立する立場のMarc BekoffとJessica PierceのWild Justice: The Moral Lives of Animalsが今月の新刊として紹介されていた.Bekoffは,動物の心,感情に関する研究の第一人者だが,同時に彼の議論はanthropomorphicだという批判も多い(anthropomorphicで何が悪いと本人は言っているが).まあ機会があったら買って読んでみようと思う.

先日David J Bullerが進化心理学を強く批判したAdapting Mindsが古本屋から届いたので,次はこれを読もうかと思ったが,ハードカバーでGazzanigaの本以上に大部なので,取りあえず置いておいて,本棚に置いて忘れていたWilliam H CalvinとDerek BickertonのLingua ex Machina: Reconciling Darwin and Chomsky with the Human Brainを読むことにした.なんかBickertonの執筆箇所に変なフォントが使われていて読みにくいが,内容は結構面白そうである.

2009年5月25日月曜日

イケベ

月曜日は授業も会議もないので,小汚い格好+髭面(肌が弱いので必要のないときは剃らないのです)で研究室に籠もっているんだけど,今日は贈り物をしなければいけないのを思い出し,帰りに池袋の西武に行ってきました.池袋西武のギフトコーナーって,ブルガリとかの高級品が並ぶところの横にあって,↑のような格好の私は場違いな気がしたけど,ちゃんと丁寧に対応してくれて粗品(洗剤)までいただきました(ありがとう,西武のおばさん).

その後時間もあったので,池袋と言えばあそこだよなと明治通りを歩いてイケベ楽器を覗いてきた.ビックカメラに加えて,すぐ横にヤマダ電機LABIまでできていて,まるで秋葉原のようだったけど(三越跡がさらにヤマダになるらしいですね,やれやれ),イケベは昔のままたたずんでいた.何も買わずに出てきたけど(すいません),あの雰囲気はいいなぁ.

楽器店に関しては,私が高校生だった15年程前は東京とその他の地域の格差は大きかった.私の生息域だった大阪でさえ,心斎橋に石橋楽器と三木楽器(ちょっと高い.梅田にもあった),梅田にナカイ楽器(これまた高い),ワタナベ楽器(狭い)と少し離れた扇町にKEYがあったくらいで,東京ほど選択肢がなかった(まあその他の地域よりは大いに恵まれていたののは重々承知だが).オンユー(心斎橋,梅田)やWEST(心斎橋アメリカ村)のような親切な小規模の店にもお世話になったけど,いつも東京を羨ましい目で見ていた.

当時,私の父親が東京に単身赴任していたので,東京に行く機会があったのだが,その際初めて御茶ノ水の楽器店街を見て,「東京ってすげぇな」と感心することしきりであった.新宿のブートレグ屋街を徘徊して,「うわ,Eric Johnsonが地元テキサスでやったライブ映像があるやん」なんて興奮してたのもこの頃である.

そんなことを思いながらギターを手に取ると,懐かしい感触が蘇ってくる.昔から比べると随分恵まれた環境にいることだし,またちゃんとギターを弾き始めるかなぁ.最近のテクノロジーの発達のおかげで,家に籠もって弾いていても,中々楽しめそうだし.腕も大分落ちているし,昔ほど時間もないけど,やっぱり楽器を弾いているときの快感というのは,他のものには代え難いものがある.

2009年5月23日土曜日

神経科学リテラシー

今日は東大駒場で「神経科学リテラシー」というシンポジウムに出席してきた.新型インフルエンザの影響でどうなるかな,と思っていたが,何事もなく開催されて良かった.朝10時から夕方6時前までと,中々の長丁場だったが,興味深い話が多く,楽しめるシンポであった.

ここ数年,メディアにやたら登場して何でも脳に絡めて与太話をする脳芸能人がいたり,脳を鍛えるとかいう触れ込みのゲームやら本やら訳の分からないものが巷に溢れていたりして,ひじょうに気味が悪い.気味が悪いくらいで済めばいいが,この手の偽科学が広まるのはかなり危険である(子供に見せたくない番組というのを毎年PTAが発表しているが,そこに登場する常連番組より,脳に関する偽科学を扱った番組の方が,教育上遙かに危険だ).

そういう危険を察知してか,東大駒場の科学哲学の人たちが脳科学,神経科学の専門家(脳芸能人ではなく本物の)と,神経科学のリテラシーを高めるという目的で立ち上げたプロジェクトが今回のシンポの主催者の方々である.教科書を執筆し,学部教養課程の学生向けへ導入した試みを初め,脳科学・神経科学と社会との関わり,脳疾患と精神疾患,法体系の再整備,人間観の変化などについての議論も多くあり,想像以上に根深い問題がありそうだという印象を持った.

私自身,法学部に身を置く認知科学者であるので,リーガルマインドと科学リテラシー,神経科学リテラシーとの関わりというのを考えてみる良いきっかけを与えていただいた.普段教えている感触からすると,法学専攻であっても早稲田の学生はそれほど自然科学にアレルギーがないようなので,もう少し社会・法との関わりを感じられるように,脳・認知に関わる諸問題を提示できる方法を模索してみようと思う.

2009年5月20日水曜日

Boot Camp

今日はやけに暑く,うちの近所では光化学スモッグまで発令されていた.そんな中,とうとう東京でも新型インフルエンザの感染者が出た.アメリカから帰ってきたそうだけど,それ以前にもいたんじゃないのかなぁ.神戸,大阪であれだけいて,京都,名古屋,東京でゼロって・・・.要は実態を正確に把握するといったこととは別次元の発表する側の都合なんじゃないかしら.今のところ,私の勤務先の大学がどういう対応を取るのかは不明.今週初めからすでに普段より体調不良で欠席している学生が多いような気が(サンプルが少なすぎて,私の印象だけでは何とも言えないけど).

それはさておき,ネット上の各所で話題になっているけど,先日のMac OS 10.5.7のアップデートでバッファローの外付HDDがMacBookで認識されなくなってしまった.Tigerのときにも同じ事が起こって,当時使っていたMacBook Proで認識されなくて困ったのは記憶に新しい.あのときは電源をマニュアルにして,HDDの電源を入れてからUSB接続することで解消されたのだが,今回はそれでもうまくいかない.

中々アップデートで対応もしてくれなさそうだし,こんなことが頻繁に起こっては困るということで,前からやろうと思っていたBoot CampでMacBookにWindows XPを入れてデュアルブート環境を構築することにした.以前からWindowsのOfficeで作成された事務書類を処理するのに,MacのOffice 2004だと結構レイアウトがずれたりして不都合を感じることが多かったのだ.幸い大学が所有するWindows XPとOfficeのボリュームライセンスで,私のMacBookにインストールできるということなので,メディアを借りてきて,早速試してみた.

パーティションを切った後,Windows領域を一旦フォーマットせずに,そのままインストールしようとして,ちょっと失敗してしまったが(少し前のLinuxとWindowsのデュアルブートじゃないんだから,こんなの楽勝だろうと思って,マニュアルを一切見なかったのがいけなかった.反省),すんなりインストールできた.最初トラックパッドの挙動が摩訶不思議な感じであったが,アップルが提供するアップデートを実行するとまったく違和感なく動くようになった.キーボードで問題を抱える人が多いようだが,私のMacBookは英語キーボードなので,こちらもまったく問題はなかった.

Mac OS使用時に比べちょっと発熱が大きいようだが,今は奥さんの手に渡ったVAIOと同じような感じで快適に使える(CPUもメモリも同じような仕様だから当たり前だが).ちゃんと外付HDDも認識してくれて,ほっと一息である.

追伸:これを投稿した直後に大学からメールが来て(執行部の方々,深夜にご苦労さまです),通常通り講義を行うそうです.発熱等により自宅療養を必要とする学生には特別な配慮をするとのこと(これ,新型インフルエンザに限らないんですよね,当然・・・).

2009年5月16日土曜日

那珂湊

今週末は茨城の別宅(というとブルジョワな響きがするけど,単なる奥さんの住むワンルーム)に来ています.まだこの辺りを探索していなかったので,車で那珂湊と大洗の方までふらっと行ってきました.

夏には東京,埼玉,栃木からの海水浴客で大混雑するらしいけど,今日はそれほど天気も良くなかったし,もう夕方前だったので道も割と空いていた.昼ご飯を食べていなかったので,那珂湊の魚市場の辺りにある久楽というお店で魚介類をいただくことに.私は写真にある刺身定食,向かいの奥さんは久楽丼という海鮮丼.刺身はまぐろ,たこ,はまち,えび,あじのたたきの5点盛りで,どれも口の中でとろけそうなくらい新鮮でおいしかった.しじみの味噌汁も出汁が良く出ていて,満足.他にも色々メニューがあったので,また来てみよう.

その後,大洗の海のすぐ側にあるアウトレットパークに寄る.こちらは中々賑わっていた.私は何も買わなかったが,うちの奥さんは色々と物色していたようである.結局7時過ぎまでうろうろして帰宅.久々に「遊んだ」休日であった.

ネットをチェックしてみると(テレビがないのだ,この家は),新型インフルエンザが神戸,大阪の高校生の間で感染確認とのこと.大学はどうなるのかなぁ.学会も割と多いシーズンだし,関西言語学会は神戸松蔭だよな,今年は.どうするんだろう.

2009年5月14日木曜日

1Q84

村上春樹が今月末に新刊を出すとのことで,予約だけですでにアマゾンに上下巻ともランクインしている.すごいなぁ.我が家も『ウォーク・ドント・ラン』みたいな廃刊のものも含めて,村上作品はすべて揃っており,今回の新刊も楽しみである(私が初めて村上作品を読んだのは小学生のときだから,20年以上も前なんだなぁ).

「村上春樹の新刊」といって思い出すのは『海辺のカフカ』である.私がイギリスで修士を終えたあたりに発刊されて,うきうきしながらbk1で日本から取り寄せたのだが,なんと私の生まれて初めての学会発表(マンチェスター工科大学で開催されたイギリス言語学会)の前日に届いたのだ.翌日は指導教官のAndrew Spencerと朝早くに待ち合わせて,一緒にマンチェスターに向かう予定だったのだが,誘惑に勝てず徹夜して上下巻読んでしまったのを覚えている.まあ,寝てないわけだから,寝坊する心配もなくよかったのかもしれない・・・.

『アフターダーク』も同様にbk1で日本から取り寄せたのだが,届いたときにちょうど奥さん(当時はまだ結婚してなかったが)がイギリスに来ていて,私が細々とした仕事をしている隙に,先に読まれてしまっていたのを覚えている.また,せっかくイギリスにいるのだから,と大学の本屋で英語翻訳版も結構買って,主要作品は全部英語でも読んだものである(The Wind-up Bird Chronicleなんて,John Irvingもびっくりするくらい長かったけど,ストーリーを知っているからか,一気に読んでしまった).

今回の新刊は金曜日発売のようだから,仕事帰りに買って帰って,週末ゆっくり読めるなぁ,と思っていたら,土日が日本英文学会だな.困ったなぁ.金曜日の夜に読んでしまいそうな気もするけど.

そういえば,村上氏は私の現勤務校の出身なんだった.先日,学生が数人『中国行きのスロウ・ボート』を持って,何やら話し合っているのを見たけど,何かの授業で使われているのかもしれない.早稲田はベンチに座って本を読んでいる学生を見ることが割と多くて,自分の学部時代を思い出して嬉しい気分になることがある.電車の中なんかでは,漫画雑誌を読んだり,携帯をいじっていたりする人が多くて,なんだがげんなりするけど,少なくとも大学はそこまで浸食されていないようで,ほっとするひとときである.

2009年5月9日土曜日

フォーラム

今日は日本認知科学会と東大のCoREF共催の「総合学術辞典フォーラム−学問の危機と学問2.0−」というフォーラムが東大本郷であったので,ふらっと参加してきた.場所は赤門を入ってすぐのところにある情報学環の建物で,福武ラーニングシアターという中々ゴージャスなものでありました.ワインが並ぶカフェなんかもあったりして,モダンな感じのする建物.何回か東大本郷には来ているけれど,私の出身大学によって形成された「国立はぼろい」という固定観念を打ち砕かれる.歴史ある建物をきちんと維持し,モダンで綺麗な建物も違和感なく融合させていて,ヨーロッパの大学のようでいい感じである(慶應も私の勤務校の早稲田もこの辺をちゃんと考えていて,キャンパスを歩いていると何となく楽しい).

フォーラムは,昨年度末で東大を退官された原島さんの科学の歴史と今後の方向性に関する話で始まり,産総研の橋田さん,国立情報学研究所の方々の技術的な話があり,最近東大に移られた三宅さんのCoREFの取り組みについての話で終わるという流れで,中々楽しめた.特に原島さんの,パラダイムシフトが起こりえない現在の競争的資金による研究から脱却し,ギボンズ流の2つのモードとは違う第3のモードへの転換へと向かうというくだりは,研究者の端くれとしては,中々ぐっとくるものがあった(と言いつつ第1のモードでちまちま研究するのがやっぱり好きなんだけど).三宅さんは東大前総長が提言して始まった俯瞰講義について触れておられたけれど,もう少し時間がたって成果が見えてこないと,認知科学的な学習という観点からのつっこんだ話は難しいのかな,という印象はあった.始まったばかりだし,これからでしょうね.

分野横断的にそのつながりを見えるようにするという俯瞰講義の理念はひじょうによく理解できるけど,東大とはいえああいうのを学部1年生に導入するのは,中々難しいだろうなぁ.自分の経験を顧みても,取りあえず興味のあることをひたすら追求して,何か自分なりに研究と呼べるものを生み出すことから始まって,ふと周りを見渡し,なんとなくその周辺とのつながりが見えてくる,というのがむしろ普通なんじゃないかという気もする.そこから,とめどなく興味が広がっていくのが研究の面白さでもあるのだろうし.もちろん,ほとんどの人は研究者にはならないわけだし,学部生にも学問の輪みたいなものを実感してもらえたら,素晴らしいのだけど.

2009年5月4日月曜日

ダーウィン

先日richarddawkins.netで注文していたThe Genius of Charles DarwinのDVDが大学に届いていた.今年はダーウィン生誕200周年,『種の起源』出版150周年ということで,色々なところで進化論が取り上げられているが,地元イギリスでもオックスフォード大学のドーキンスがChannel 4で特番をやっており,それをDVD化したものである.ドーキンスはCharles Simonyi Professorの任を昨秋解かれたようだが,まだ積極的にメディアには登場しているようで,喜ばしい.

3部構成の割と長いドキュメンタリーだが,連休中で時間が取れたので,全部見ることができた.第1部はダーウィンの自伝的な話と,自然選択を含めた進化論の概要を紹介するのが主な内容.ダーウィンが進化論へ辿り着くまでの過程を丁寧に説明している.ライエルの『地質学原理』(Principles of Geology)からのインスピレーション,マルサスの人口論から得た自然選択へのひらめき,徹底したempiricalなアプローチ,どれもよく知られたものだが,明快で分かりやすく提示されていて,感心する.ロンドンの高校生(親の宗教上,創造論に毒されている学生が多い)にレクチャーしたり,ガラパゴス島に連れて行ってアンモナイトの化石を一緒に探したりという場面もあり,最後はその高校生たちが心境の変化を語って締めくくられる.

第2部は,Social Darwinism(進化経済学,ナチズムを含めた優生学(eugenics)など)に見られる安易な進化論へのアナロジーや誤解に対する批判,ヒトの心に関する進化論的アプローチとして進化心理学の概要が紹介される(ピンカーが第一人者としてインタヴューされていた).性選択(sexual selection),血縁選択(kin selection)といった現代進化論の重要な概念も導入され,ドーキンスが利己的な遺伝子(selfish gene)を提唱するに至った利他主義(altruism)の問題も取りあげられる.それと同時に,ヒトの親切心,道徳性という特異な利他性は利己的な遺伝子理論では説明できないもので,むしろ高度に発達した脳の利己的な遺伝子への反旗的な振る舞いである,という近年のドーキンスの見解も披露される.

第3部はドーキンスの本領発揮というか,おなじみの進化論vs創造論である.奥さんが敬虔なキリスト教徒であったダーウィンの苦悩,彼が抱いていた将来科学が世界を正しい道へ導く事への期待,それに反して創造論がいまだにはびこる現状が紹介される.例によってあきれるくらい無知でくだらない創造論者がたくさん登場する(人の話を聞かないところが,日本のテレビで醜態をさらす元社民党議員をどことなく思い起こさせるWendy Wrightやら,地球が誕生から6,000年経っていないとのたまう科学の教師などなど).一番穏健だったのがArchbishop of Canterburyだったのがなんとも皮肉なことである.ドーキンスとは違った視点から進化論を語る哲学者で,Darwin's Dangerous Ideaの著者であるデネットも後半に登場する(もう余命長くないとのこと).

全体を見て,いつも抱いている思いを一層強くさせられるDVDであった.日本はそれほど創造論がはびこっている国ではないが,slippery slopeは至る所にあると私は思っている.メディアには超自然的,オカルティックなものが多く登場し,優秀な大学生でも霊,占い,縁起などを信じるものが結構な数いるくらいである.欧米や中東,南アジアのように強く生活に密着した宗教がない分,その代替物に足をすくわれ易いこのような状況は余計に危ういとも言うことができる.90年代のオウムによる一連の事件のようなことを再び起こさないためにも,科学的思考法,科学リテラシーとはなんたるかを学生にきちんと伝えるというのは,我々のような大学教員の重要な役割なのだと強く思わずにはいられない.

2009年5月3日日曜日

Mazda3

まだ新型インフルエンザの脅威は去っていないようだが,外界とあまり接触を持たない我が家はいたって平穏である.先日までは一応警戒してイソジンでうがいをしていたのだが,かえって喉の調子が悪くなるのでやめた.ネットで調べてみると,どうもイソジンは割ときつい消毒剤で喉の細胞まで破壊するおそれがあり,健康なときに使うとかえって有害だ,という意見もあるようだ.水道水の方が軽い塩素が入っていて予防効果が高いという実験結果もあるようなので,今までの習慣通り水道水に戻した.

あえて外出したと言えば,マツダに行ったくらいか.前からオイル交換をしなければいけないと思っていたのだが,こちらに引っ越してきてから中々時間が取れず,今日初めてこちらのディーラーにお世話になったのだ.随分丁寧な対応で,担当営業,担当整備士,所長まで挨拶に来て,逆に恐縮してしまった.今のアクセラに乗り始めて2年半,走行距離も5万キロ弱なのだが,「新しいアクセラが6月に出ます」とカタログを渡された.正直新型は微妙だなぁ.フロントグリル以外あんまり変わっていないような気がする(アテンザに似せすぎてるような気も・・・).取りあえず今の車に不満はないし,10万キロは乗りたいので,「オートマチック車を買う気はないので,今後もマニュアル仕様をなくさないで下さい」とだけ要望を出しておいた.

外界(?)とのその他の接触は,警察が家にやってきたくらいか.我が家はほとんど来客がなく,休日にチャイムが鳴るとすると,宗教か新聞の勧誘くらいなので(もちろんどちらもインターフォン越しに断る),「xx警察署の者ですが,ちょっとよろしいですか」と言われて,少しびびってしまった.出てみると「巡回連絡カード」なるものの記入のお願いだった.

素直に記入して渡したけど,ネット上にはこの個人情報収集のやり方に反感を持つ人も多いようである.まあ私の場合,職業柄勤務先や年齢なんて名前でググればすぐ分かってしまうので,あの程度の個人情報を書くことにあまり違和感はない.むしろ警官が巡回することで不審者が近所に住む防波堤になるのなら歓迎したいくらいなのだが,個人情報に対する考えが甘いのだろうか・・・.地元の人間がみんな顔を知っている,まさに文字通りの「お巡りさん」がいて,ある程度お互いの情報共有があった方が,見通しの良い安全な地域になりそうな気もするのだが.
 
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