2009年7月7日火曜日

お役所

そろそろ免許の更新期限が迫ってきたので,昼過ぎに江東運転免許試験場へ.職場の早稲田からだと東京メトロ東西線で20分ほどで行かれるので,結構便利である.私はイギリスに行ってすぐに最初に取った免許の期限が切れてしまって,その後3年以上1度も日本に帰ることができず,完全失効となった(ひどい制度だな,本当に).帰国後,福井の大学に着任して,車がないと生活できないので,2006年にもう一度免許を取得した.よって,今回は初回更新で2時間の講習を受けなければならない.

福井で免許交付の時は,実質交通安全協会費が強制徴収だったが,東京ではさすがにそういうことはないようだ.しかし,例によって高圧的な教官の実につまらなく,常識人には分かり切っている講習を2時間も受け(講習料にはまったく見合わないだろう),本籍地だけが空白で,暗証番号でICチップに埋め込まれた情報が端末に表示されるという,なんだか中途半端な免許証が交付された.

すべてにおいてお役所的な手続きだなぁ,と思うわけだけれど,実際のところ私にとってはこんなのはまだましである.だってイギリスのうんざりするような在留ヴィザ更新と労働許可証交付を過去に経験しているのだから.

私はイギリスで2回のヴィザ更新と1回の労働許可申請をしている.修士課程を終えて博士課程に進むときと,博士号を取った後研究員になるときのヴィザ更新と,博士課程以降TAや研究員として働く際の労働許可申請である.労働許可はそれほど大したことはない.地元の役所に電話して予約を取って,日本でいうところのハローワークみたいなところにいって,取調室のような場所で1時間くらい面接を受けるだけである.

面倒なのはヴィザ更新である.まずお金が結構かかる.修士課程から博士課程の更新はそれほど急がなかったので郵送で確か3万円くらいだったが(でも手続きに1ヶ月以上かかる),研究員になるときは結構急いでいたので,ロンドンの移民局に直接行って即日更新(express serviceという)しなければならず,15万円くらいとられた.

そもそもその即日更新の予約が取るのが大変だった.在英のブルガリア人の友達が朝受付が開く瞬間に電話をかけると良いと教えてくれたので,必死に電話してなんとか予約ができて,数週間後ロンドンの移民局に行ったのだが,とにかく時間がかかる.朝9時に行って,うんざりするような手続きや面接の後,最終的に発行されたのが夕方5時くらいである(その後,そのブルガリア人の友達の家で夕食をごちそうになった.旦那さんは有名なオランダ人言語学者で,話も盛り上がって楽しかった).面接で揉めてる移民がかなり多く,大変時間がかかるのである.

当時は結構うんざりしたし,もう少しスマートな仕組みはできると思うが,その背後にある精神は大いに理解できる.私は,所得税や消費税(VAT)は納めていたけど,所詮イギリス人ではなかったのだから.「国」というのは,理知的な「範疇」なのである.宗教や感情的な思想でその範疇をなくそうとすると,そこに歪みが生じるということが,分からないおめでたい人々が日本にもいるようである.その代表者がスタンフォードで博士号を取った人だというから,あきれてしまう.経営工学以外は何も学ばなかったのだろうか.政権取るのもいいけど,そこだけは直さないと国が沈むよ,本当に.
 
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