2009年12月24日木曜日

Cheque, please.

ついに新型インフルエンザに罹ってダウンしてしまった.インフルエンザの流行とは関係なしに普段から手洗いうがいをかなり入念にやる方なのだが,疲れで免疫力が落ちていたのか,はたまた最近やたら電車が混んでいたせいか,原因は不明だが年内の仕事納め直前で困ったものである.講義も3コマ休講しなければならず,発表の予定だった学生の皆さんにも申し訳ない.現在はほぼ回復したが,医者には明日まで外出するなと言われている.酒を飲まずにクリスマスを過ごすのも,成人してから初めてである.

ちなみに病院でリレンザという薬を処方されたが,飲み薬ではなく吸引剤なのでいまいちちゃんと飲めているのか(吸えているのか)自信がない.パイプのようなものを口でくわえて,粉を食道ではなく気管の方へ一気に吸い込むように言われたのだが,微量な粉だしどっちに行ったかどうやって確かめればいいのだろう….

閑話休題.イギリスで2018年までに小切手の廃止が検討されているそうな.イギリスでは銀行口座を作ると小切手帳というのをくれる.30枚くらいの小切手が一綴になった冊子で,それをペリペリ破って,金額を書いて(数字だけでなく英語でも書く),サインをして,必要なら裏書して使うわけである.お年寄りなんかがスーパーのレジで小切手に金額を印字してもらって,さらさらサインをして買い物するのもたまにではあるが見かけることがある(少なくとも数年前までは).私は買い物ではさすがに使わなかったが,電話料金や学会費を払うのに郵便で小切手を送ったりしていた.逆に,小切手を貰うことも結構あって,イギリス言語学会で発表したときは,会計係の人が学生向けの旅費の補助をさらさらと小切手に書いて「はい,どうぞ」と手渡してくれた.それを自分の取引銀行の窓口に持っていって,現金化したり自分の口座に入金してもらったりするわけである.なんとなく趣があって好きだったので,廃止されるのは残念である.デビットカードやダイレクトデビットが圧倒的に多いから,仕方ないのだろうけど.

2009年12月15日火曜日

フィッシュアンドチップス

体感ではそれほど寒いと感じないが,寒波がきているとかで週間天気予報にもマイナス表示が出てきた.そろそろダウンジャケットの時期なのかな.でも通勤電車はガンガン暖房効かせている上に混雑しているから,暑いんだよな.

先週土曜日は予告通り鍋をたらふく食べ,筑前煮を大量につくり野菜不足を解消し,丸太のように眠っていた.日曜日は奥さんを上野まで見送りにいったときに,入谷改札すぐ外のアイリッシュパブでギネスを飲んだ(写真でちょっと量が少ないのは1口飲んだ後だから).ギネスはもちろん美味しかったし,雰囲気も中々出ているのだが,ちゃんとしたフィッシュアンドチップスを出して欲しい.私は色々なアイリッシュパブで飲んでいるけれど,ビールにはこだわっていても,フィッシュアンドチップスがその辺のスーパーの冷凍白身魚フライみたいなのが結構あってがっかりすることが多い(ちなみに私が経験した中で美味しいと思うフィッシュアンドチップスを出すパブは大阪淀屋橋のロイヤルハット.雰囲気もとても良く,カウンターで飲みながらゆっくり本も読める).

大学の方は,そろそろ来年度のシラバスなどを書かなければならない.来年度は前期,後期ともに英語5コマ+言語学2コマである.英語は今年の反省を踏まえ結構いじらないといけない.言語学の方は学部向けに形態論の演習と形態統語論の講義,全学向けに統語論入門,言語類型論の講義である.こちらは統語論入門の中身をまだちょっと考え中である.今日言語学の講義で少し統語論的な概念を導入したけれど,統語論は類型論や形態論と違って「目に見えない」現象が多く,難しく感じるようなので,専門外の学部生に教えるときは注意しないといけない.その目に見えないのが面白いところでもあるのは確かなのだが.

2009年12月11日金曜日

博論

雨である.自宅から駅に行くのに通る青梅街道の歩道はおそろしく狭く,傘をさして歩いていると電柱の箇所でいちいち斜めにしないと通れなくてひじょうに不愉快である.そんな歩道を自転車が傘をさしながら爆走してくると軽く殺意を覚える(いつになったらこの日本のとんでもない自転車のマナーは改善されるんだろうか).

今朝は奥さんが朝6時過ぎの新幹線に乗って,阪大まで博士論文を提出しに行った.大学と違って融通の効かない勤務形態の中,ここ何週間ほとんどまともに寝ないで追い込んで書いていたので,いつか倒れまいか心配していたのだが,なんとかなったようで一安心である.身内ながら実によく頑張ったと心から褒めてあげたい.

私もちょうど4年ほど前にイギリスで博士論文を提出したが,そのときの達成感というのは今でもはっきりと覚えている.なんせ夜型の人間なので,提出前数カ月はほぼ毎日深夜3, 4時くらいまで大学院生の研究室で執筆して,自転車に乗って自宅に帰ってシャワーを浴びて,適当なものを食べて,数時間仮眠をとって,また研究室に戻って,という繰り返しであった.最終的な仕上げが終わったのは,実に清々しい朝であった.大学はWivenhoe Parkという公園の中にあったので,徹夜明けだったが,コーヒーを手に研究室のすぐに横にある湖に行き,カモや白鳥やアヒルを晴れ晴れとした気分で眺めながら,ひとりニヤニヤしていた.

研究というのは終わりとか完成というものは通常存在しないので,研究者は(少なくとも私は)普段達成感というものを得ることはほとんどない.論文を書き終えても,科研などのプロジェクトが終了しても,特に感慨もなく次の段階の研究にさっさと進むだけである.新たな研究課題が出てくることが,すなわち当該研究が意義あるものである証なのだから.しかし博士論文は特別である.長く時に苦しい大学院生活(「入院」生活)を終了し,指導教官から離れ,研究者としての独り立ちするという,人生の経験がそこには絡んでくる.人生におけるある種の分水嶺を越えるわけだから,やはり達成感と呼ぶべき感情が生まれるのだろう.

うちの奥さんがそんな感情を抱いているかどうか不明だが,まあ帰ってきたら鍋でもつついて久々にのんびり家でも食事をしたいところである.なんせここ数カ月,まともに夫婦で食事もしていないのだ.と思ったら,この前関西人の心の友「旭ポンズ」を使いきってしまったのを思い出した.あれがないと「鍋」って感じがしない.東京でどこか売ってないのかなぁ,旭ポンズ.

2009年12月6日日曜日

国研シンポジウム

今日は気持ちの良い快晴.最近忙しくてろくに掃除もしていなかったので,布団と洗濯物を干して,大掃除をする.ただ微妙に体調が優れなかったのが悪化してしまったような気もする.今頃無理したダメージがきているのだろうか.

昨日土曜日は国立国語研究所のシンポジウムがあったので,ふらっと参加してきた.朝日新聞が後援ということもあって,会場は西武百貨店,阪急百貨店,トーホーシネマズ,松竹ピカデリーが入っている有楽町マリオン11階の朝日ホール.言語系の学術会議ではあまりない中々豪勢な雰囲気であった.

国立国語研究所は,Google検索だとまだ旧体制のページがトップに出てくるが,10月1日から大学共同利用機関法人 人間文化研究機構の一部となり,影山先生が所長になって大分印象が変わった(ウェブサイトはこちら).今回は新体制になって初めてのシンポで「ウチから見た日本語,ソトから見た日本語」というテーマで4つの講演があった.どうも一般向けの内容を狙っていたようで,参加者も学者というよりは一般のお年寄りが多かったような....朝日新聞後援だから新聞広告でも見て興味を持った人が,有楽町,銀座で買い物ついでにというノリで参加していたのかもしれない.

ということで,方言(阪大の工藤真由美さん),幼児言語獲得(バーミンガム大の喜多荘太郎さん),類型論(元東大,現国研の角田太作さん)の言語学系の話は,ほぼ知ってることばかりではあった.ただもう1人の劇作家で阪大教授の平田オリザさんの話は大変面白かった(コミュニケーションデザインセンターという中々面白いセンターに所属していらっしゃるそうな).劇作家らしい鋭い言語への考察と実に幅広い知見が感じられ,語用論,談話分析,社会言語学などを専門にしている若手研究者にとっては結構有益だったのではないだろうか.私は専門には直接関係ないが,語学の授業で活かせそうなヒントをいただいた.

帰りに会場を出ると,寒々と雨が降っていた.そのまま帰宅するのもなんなので,研究室に寄ったのだが,結局いつものように夜10時過ぎまで細々としたことをしていて,なんだか体調を微妙に崩してしまった(で,初めにつながる).

2009年12月3日木曜日

お歳暮

太平洋側は冬も天気が良くていいなぁと思っていたら,今日は一日雨.そういえば私と奥さんの恩師にお歳暮をまだ手配していなかったことを思い出し,いつもよりはやく切り上げて,帰りに池袋西武に行ってきた.東口が西武,西口が東武の池袋である.

時期的なこともあってお歳暮コーナーは7階の大催場にあったのだが,8時過ぎという時間のせいなのか不況のせいなのか閑散としていた(デパ地下は結構賑わっていたのだが).一応こんなところも見ていったのだが,あまり参考にならず,結局奥さんに電話で聞いたり,店員さんに相談したりして,まあこんなところかなぁという感じで手続きをしておいた.中々難しいなぁ,贈り物というのは.

帰宅すると,昨日出した論文がPDFなので困るというメールが.やはり・・・.取りあえず出版社にどういうファイルなら大丈夫なのかメールを送って返事待ちだが,どうせtexはだめだろうから,現在latex2rtfで変換したリッチテキストをワード形式にして編集中.latex2rtfは以前よりかなり変換できる部分が多くなって楽ではあるけど,例文と図表が全滅なので,その部分を全部書き直し.はぁ・・・.M$ Officeって名前の通りオフィス用のはずなのに,なんでアカデミックな分野までそんなのが標準になるんだろう.事務書類はまだしも,論文作成に最適化されてるとはとても思えないんだけど.

2009年12月2日水曜日

師走

気付けばもう師走.11月は毎日やることが細々あったり,週末がほぼすべてつぶれたりで,なんだか目が回りそうだった.何しろ時間がないのでブログの更新も滞ってしまった.先週末の神戸大の日本言語学会は,イギリス時代の同僚と3年ぶりくらいに会えるかと思ったが,とても行く余裕がなかったのでパスした.残念だが,仕事がつまっていたのでしょうがない.

そんな中,以前学部の紀要に論文を書くと言ってしまったので,細々とした時間でせっせと書き,一昨日,昨日と徹夜して,なんとか間に合った.とりあえず,ほっと一息である.一応,最近Blevins & Blevins (2009)の中で提案されているようなanalogical proportionとBybee流のネットワークレキシコンを絡めた枠組みを提案してみようと,ぽろぽろ考えていることがあったのだが,まだ詳細がつめきれていなかったので,試論という感じで紀要に書いてみて,結果的にはよかったかもしれない.今後コーパスも使って,少し拡張してみたいところである.

ただ例によってLaTeXで書いたので,生成したPDFを提出したのだが,少し心配ではある.日本はジャーナルなんかでもM$ Word形式を求められることが多いが(とても苦労する),実際のところ学術関係の出版社や印刷所はどういう組版をしているのだろうか.InDesignとかQuarkXpressを使うのだろうか.これらのDTPソフトを使わないので,よく分からないのだが,PDFからテキストや図表を抽出して組版するのと,ワープロのファイルから取るのとでは手間が違うのだろうか.本当は,欧米のCUP, CSLI, John BenjaminsみたいにLaTeXでそのまま入稿できると楽なのだが,やはり理工系以外では難しいのかな.とにかくWordは勘弁して欲しいなぁ.あれで論文書くのは,能率が悪すぎる.

とりあえず少し余裕ができたので,この間大学生協で買って放置していた森博嗣氏の『自由をつくる自在に生きる』を帰りの電車で読んだ.正直に言うと,同じ集英社新書から出ている前の2冊の方が面白かったかな.↑で色々書いたものの,結局のところ私はかなり自由な生き方をしてきているので,当たり前と思ってしまった感が強い.今晩は同じく大学生協で買った村上春樹の『めくらやなぎと眠る女』を読みたいと思う.実は洋書ですでに読んでいるのだが,全集にしか入っていなかった短編もあるので,日本語で読むのが楽しみである.つかの間の休息といったところか.
 
QLOOKアクセス解析