2010年8月18日水曜日

真鯛

先週は大学も一斉休業期間であった.去年は研究室が古い建物で工事をしていたせいか,休業期間は1週間停電断水で大学に来ることはなかったのだが,今年は一応研究室も使用できた(不便であるのに変わりはないが).一斉休業前は,今年はオープンキャンパスの模擬講義担当だったので,40分ほど認知科学としての言語学と言語類型論を絡めた話をしてきた.果たして法学部を志望している高校生に,どの程度面白さが伝わったかは分からないが,まあ現在の私だとあんなところだろう(終わった後,質問に来てくれた学生がいたのはうれしかったが).

こういう機会があると,一般向けに言語学を紹介する試みにはどういうものがあるのか気になるもので,研究室の本棚をぼんやり眺めていたのだが,実のところあまり一般向けの良い言語学の本というのはないのではないかという気がする.ネット配信されている映像でも,Steven PinkerのTED talk(すっかりLFGから離れてしまって寂しい)や以前このブログでも紹介したChristine KenneallyのAuthors@Googleのtalkなんかも改めて観てみたが,やはりちょっと一般向けと言うにはテクニカルだし高度である.書籍では,PinkerのLanguage Instinctはよく勧められているが,あれも予備知識なしで読むにはハードルが高いようだ(イギリスでTAをしているとき,学部1年生に勧めたら,意欲的な学生数人から質問の嵐を受けた).ということで見ていくと,Mark BakerのThe Atoms of Language(郡司隆男訳『言語のレシピ』岩波書店)が一番ましかもしれない.化学とのアナロジーに若干無理があるし,P&Pのパラメータを強調している辺りが不満だけれど,その辺のテイストを薄めると,認知科学的な言語類型論という視点で中々秀逸である.他には専門書ではあるけれど,Daniela Isac & Charles ReissのI-Languageも議論のもっていき方がうまいので,結構参考になる.

オープンキャンパス後は,茨城の別宅に行っていた.ROCK IN JAPANという夏フェスが近所の海浜公園で開催されていたようだが,特に混乱もなく平穏な日々であった.せっかくだから,近所の港に行って,前にもこのブログで取り上げた店で,晩ご飯を食べたのだが,いつもにも増してコストパフォーマンスが高い食事であった.今までは,港なのでついつい刺身のような新鮮さ命の料理を注文していたのだが,今回は焼き魚定食を頼んだら,真鯛が2匹ものったものが出てきた.程良い塩加減,焼き具合で絶品であった.今度は煮魚定食を頼んでみようと思う.
 
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