2008年12月19日金曜日

シンポジウム

今日は大学連携プロジェクトの第1回シンポジウム.私も一応(?)メンバーの1人なので,会場である駅前の「響(ひびき)のホール」へ.ついでに,阪大に行く奥さんを駅に送っていったのだが,一日に10本も走っていないという九頭竜線がホームにいたというので,写真を送ってくれた.見事な1両編成である.まあ,イギリスでもIpswichからCambridgeの電車なんか1両編成だったりするから,田舎ってのはこういうものなのかもしれない(朝5時に起きて,その電車に乗ってケンブリッジ大学に発表に行ったのを思い出す.車ならケンブリッジなんてすぐなのに・・・).

シンポジウムは,招待スピーカの方々は皆話がうまく,ひじょうに楽しく拝聴させていただくとともに,勉強になった.このプロジェクトは,「学習」というのが1つのキーであるのだけど,私が3年前イギリスから帰国して,今の大学に着任したときは,「学習」なんてこれっぽちも興味がなかった.自分の体験を一般化するのも気が引けるが,自分の研究分野の世界的研究拠点になっているような海外の大学でPhDをやった人の多くは,とにかく24時間365日研究漬け,右を見ても左を見ても,教員も大学院生も,もう当たり前のようにせっせと研究をして,毎週他の大学から研究者が講演にくるような環境にどっぷり浸かっているせいで,大学ってのは「研究」機関であって,教育機関だなんて思わないのではないだろうか(アメリカはそうでもないのかもしれないけど,イギリスは特にその傾向が強いと思う).そもそも,世界中から優秀な学生が集まっているわけで,「学生がどう学習するか」なんて深く考えなくても,皆自分から学ぶのである.

しかし,そんな環境から日本に帰ってきて,教員として日本の大学で教えていると,「これはそうも言ってられないな」という危機感を持つことになる(別に日本の大学生や私の勤務校の学生が酷いということではない.優秀な学生はもちろんたくさんいるし,こちらの頭が国際基準から国内基準に切り替わってないだけである).日本認知科学会の大会なんかに参加しても,やけに「学習,学習」と大学における教育をテーマにした発表も多い.そこで初めて二足のわらじ的に,学生がどうやったら実りある学習体験をしてくれるか,なんてことにも関心を持つことになるわけである.イギリス時代の私を知る人は「あのオトグロが・・・」と思うかもしれないけど,私の講義や演習にでるからには,やはりそこで何かを得て欲しいし,そのために努力をするのも,大学「教員」の務めなのだろうな,と変わりつつあるのが,自分でも分かる(もちろんその結果,研究のわらじを脱ぎ捨ててしまったら本末転倒だが).
イギリスの研究で思い出したが,先日RAE2008の結果が公表された.RAEというのはResearch Assessment Exerciseといって,7年(だったかな)に1回行われる,イギリス国内の大学の「研究」のレベルを評価するものである.単に業績を数値化したり,掲載雑誌のIFで測るのではなく,所属する教員の提出した研究論文を,各分野の一流の研究者が「すべて読んで」,そのレベルを評価するのである.ものすごい労力だし,時間もかかる(私の元指導教官が今回の審査員になっていて,同情するくらい大変そうだった).アメリカや日本の大学は,Times Higher Education Rankingみたいな「教育」をベースにしたランキングを重視するみたいだけど(まあこれもイギリスのTimes誌発行なんだけど),イギリス国内ではこのRAEが大学の序列を決めていると言ってもよいのではないだろうか.

私の母校エセックス大学は全121大学中9位と中々の健闘でした.内訳は,政治学科,社会学科が全英で1位,経営学科,歴史学科が2位,経済学科が3位,言語学科が4位ということでした.まあ多少これらの学科の足を引っ張ってるのがあって,総合では9位という感じだそうです.ちなみに総合1位はケンブリッジ,2位がLSE,3位がオックスフォード,以下インペリアルカレッジ,UCL, マンチェスター,ウォリック,ヨーク,エセックス,エジンバラまでがトップ10とのこと.トップ3は常連として,エジンバラが思ったより低いなぁ,という感じ.何はともあれ,出身大学の奮闘を聞くと,私もがんばらねばなぁ,と思う.
 
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