実は特に発売を心待ちにしていたというほどでもないので(でかいiPod touchくらいに思っていた),土曜日に再配達してもらってもよかったのだが,ニュースで銀座のアップルストアに行列とか,Twitterで手に入れた人の感想なんかを読んでると,何か当日手にしないと損した気がするというミーハーな感情がむくむくと沸き上がってきたのである.そして実際手にしてみると,これは・・・.
いやぁ,結構衝撃的だった.初代iMacを触った時も,はんぺんiBook G3でOS Xを動かした時も,iPod touchを初めて使った時もAppleの革新的な使い心地を感じたけれど,このインパクトは凄い.タッチパネルなんて,それこそ銀行のATMや定食屋の券売機にも導入されていて,普段から触れているものだけれど,だからこそこのiPadのレスポンスの心地良さが実感できる気がする.Safariもさくさく動くし,メールもカレンダーもiPod touchとは桁違いの使いやすさである.
iPadの最大の売りの1つである電子書籍も,iBooksやi文庫HDで使った限りでは,pdfも含めすこぶる快適に読むことができた.仕事上のとある事情で2年ほど前,当時米国で本格的に売り出し始めたKindleやその他の電子書籍リーダーをかなり詳しく調べたことがあるのだが,それらと比較しても,タッチパネル同様既存のインターフェイスをまるで新たな体験のように感じさせる使い心地の良さには唸るしかない.
今後どの程度iPadや似たようなデバイスが広まるかは分からないが,少なくとも電子書籍はかなりの勢いで普及するだろう.学術書出版業界は,いつの時代も採算が厳しいと言われているが,だからこそぜひ学術書の電子書籍化に積極的に取り組んで欲しい.大学生協書店がインフラを提供して,各学術出版社が電子書籍を生協のサイトを通じて提供し,研究者が簡単に研究費で決済できるなんていう仕組みをなるべく早く確立していただきたいと思う.
大学の講義も,このような端末がノートのように普及すれば,いちいちハンドアウトをコピーして講義室で配布するなんてことはしないで済むかもしれない.今でも当然講義資料は電子ファイルで利用出来るようにはしているが,やはり講義のはじめに「今からこれをダウンロードしてね」なんて指示することはまだ現状では不可能である.実現すれば印刷と配布の手間も省けてとても楽だし,紙とトナーの節約にもなるだろう.